無料モニター募集中のi-dio Wi-Fi Tunerが届いた。2016年3月時点で放送エリア内に居住・通勤・通学している16歳以上であれば応募可能で、プレスリリースによると返却の必要もない*1ので、興味があれば応募してみるとよいのではないだろうか。
http://www.i-dio.jp/pdf/news/20160112release.pdf
i-dioとは
プレスリリースやニュースサイトなどの報じるところによると、
- 基幹放送局提供事業者は株式会社VIP
- 2016年3月から順次開始する、新しい放送サービス
- 当初は福岡・東京・大阪でサービスイン
- 地上アナログテレビ放送の終了に伴って空いた周波数帯(VHF-Low帯; 99MHz-108MHz)を利用
- 契約は原則不要(将来的に有料サービスが提供される可能性有)
と言った感じの新しい放送サービスで、対応した受信機が必要となる。
株式会社VIP
正直言って聞いたことの無い会社なのだけど、プレスリリースより引用すると、
株式会社VIPは、エフエム東京、産業革新機構、ジグノシステムジャパン、フェイス、パーク 24、NEC、大日本印刷、日本電波塔など、34 社が資本参加する V-Low マルチメディア放送(i-dio)事業全体を推進するBIC株式会社の100%出資により、全国での基幹放送局提供事業を展開するハード事業者です。2014 年 7 月 15 日に総務大臣より「特定基地局の開設計画」について認定を受け、全国の送信所ネットワークを構築すると共に、i-dio 受信機の普及促進を担っています。
ということで、2chとは関係ない。公式サイトから察するに、V-Low Infrastructure Providerの略でVIPだと思われる。i-dioのために大手企業群の資本で設立された事業会社が出資したハード事業者ということみたいですね。ちなみにBIC株式会社は、"ビーアイシー"と読むらしく、株式会社ビックカメラとは関係無い。
株式会社VIP
会社概要|BIC株式会社
特徴
公式サイトより引用しつつ紹介すると、
サービス概要 | i-dio 新放送サービス
- テレビでもラジオでもない新しい放送サービス
- 地上波最高音質の音楽チャンネルなど、多彩な音声チャンネルが展開予定
- 映像やデータ放送など、多彩なデジタルサービスをスマートフォンやカーナビゲーション・デジタルサイネージなどに展開予定
- 輻輳しない放送波の利点を生かしたデータ配信で、安心・安全情報やIoT時代のインフラサービスを提供予定
- 全国6社・7エリア(北海道、東北、関東甲信越、東海北陸、近畿、中国四国、九州沖縄)のマルチメディア放送会社が地域特性にあわせたサービスを提供予定
だそうです。
対応受信機
- i-dio Phone
- 出版社/メーカー: covia
- 発売日: 2015/12/21
- メディア: エレクトロニクス
- この商品を含むブログを見る
現時点では無料モニター用に配布されているのみで、市販されていない。
- VL-1
自治体導入向けだそうで、少なくとも現時点では一般に流通していない。
i-dio WiFiチューナー
届いたものの、現時点では放送開始前であるため何の機能性も無いハコである。とりあえず外観だけ見てみた。
外観
最近はあまり見かけなくなった細いロッドアンテナの生えた箱。3段階に伸びる。表面には電源スイッチがある。
SDカードと大きさ比較
特別巨大なことも、小さいこともない(だが、軽い)。感覚的には大容量モバイルバッテリより小さい。
裏面
Wi-Fi接続用のSSIDやパスワードが表示されている(モザイク済)。右側には謎の2次元コードが表示されている(モザイク済)が、QRコードでは無い。視聴アプリダウンロードサイトへの導線でもなく、Wi-Fi接続を容易に行うための物でもないため、恐らく製造工程での管理用。なお、取説によるとパスワードは受信機による差異は無く、全受信機が同一。まぁ、有料放送でもないし、それでもいい(?)のかもしれない。
右側面
充電用microUSB端子が配置されている。ストラップホールも用意されている。
左側面
外部アンテナ端子が配置されている。イヤホンと同じ3.5mmミニジャックだが、音声出力機能は無い。使用時は市販のF型コネクタ変換ケーブルを使用するよう取説に案内されている。
仕様
取説から抜粋すると以下の通り。
項目 | 値 |
---|---|
製造元(発売元?) | 日本アンテナ |
型番 | TUVL01 |
受信方式 | ISDB-Tsb |
通信方式 | IEEE802.11b/g |
セキュリティ | WPA2-PSK(AES) |
同時接続可能台数 | 1台 |
入力電圧/電流 | DC5V/500mA |
連続使用時間 | 約6時間 |
充電時間 | 約6時間 |
サイズ | 73x45x21(アンテナ・突起部含まず) |
質量 | 70g |
- 高速な無線LAN(IEEE802.11ac/n)には非対応であるが、屋外利用を前提としたデバイスあることからそもそも5GHz帯は利用不可である
- (IEEE802.11b/gに加えてnの2.4GHzも対応した無線LANモジュールを搭載しなかったのはコスト面による理由だろうか)
- QuickChargeのような9Vや12Vといった電圧や、USB3.0で対応した900mAの電流による急速充電には対応していない
- (USB2.0までの標準的な5V 500mAであるため、内蔵リチウムイオンバッテリ(容量不明ながらも小型軽量なため小容量と思われる)の充電に6時間もかかるのであろう)
視聴アプリ
現時点ではiOS版はAppStoreに登録されていない。Android版はGooglePlayに登録されているが、スタブというかプレースホルダ的なアプリで視聴機能は実装されていない。本放送開始前にカラーバーでも見れるかと思ったけど、現時点では何も視聴不可能である。
play.google.com
(2016/2/29追記ここから)
3/1より放送開始に伴い、Android版アプリが視聴機能を備えたものにUpdateされた。
但し、iOS版はAppleの審査中だそうで、現時点では相変わらず提供されていない。
【iOS版 i-dioアプリをお待ちの皆様へ】大変申し訳無いのですが、現在Apple社の審査完了を待っている状況です。一刻も早くお届け出来るよう、全力を尽くしております。今しばらく、お待ち下さい。
— i-dio PR (@idioPR) February 29, 2016
(2016/2/29追記ここまで)
(2016/3/1追記ここから)
iOS版もリリースされた。
主にAndroid版アプリについて、以下に記載。
wave.hatenablog.com
(2016/3/1追記ここまで)
(2016/3/2追記ここから)
iOS版アプリについて、以下に記載。
wave.hatenablog.com
(2016/3/2追記ここまで)
その他
取説にWPA Supplicantのライセンスが表示されているので、中身は組み込みLinux系で動いていると思われる。機能性のないハコでもiOS用に電源投入時はAPとして振る舞うので、PCを接続してみた。とりあえずtelnet/ssh/ftpも80番ポートも開いてないことは確認した。ポートスキャンはしていない。
閑話休題、アナログテレビ終了後の帯域で同様に展開していたdocomo系のNOTTVが500億の損失を出して事業終了するのに、新規参入するのはかなりチャレンジングだと思われるし、批判的な意見も散見される。ちなみにGoogle先生でidioまで入力すると、idiot(バカ、間抜け)が一番上にサジェストされる。
NOTTVは有料放送、i-dioは(原則)無料放送である点からして、ビジネスモデルが全く異なり、その成否を語るのはまだ早急だと考えられる。とは言っても、同様に無料である地上デジタルテレビ放送との競合や、そもそもテレビ離れが指摘される昨今の環境下で、どのように事業を軌道に乗せるか課題も多いのであろう。デジタルサイネージに広告をばらまく手段としては、収益上なかなか良い目の付け所だと思う*2。が、貴重な電波帯域を占有する事業でもある訳で、有益なメディアとして発展してほしい。
以上。