Handycamの互換バッテリ―使用感

本記事はメーカー純正品以外のバッテリ・充電器等の使用を推奨するものではありません。互換品の使用に伴い、いかなる損害や不利益等が発生しても著者は責任を負えません。


 先日SONYのハンディカムHDR-CX535を購入した。標準ではインフォリチウムVシリーズの最も小容量のNP-FV50という純正バッテリが付属しており、ちょっとした撮影には困らない。だが、ズームを多用したり空間光学手振れ補正を有効にしていたりすると、心もとない。というわけで、スペアの予備バッテリを導入した。

バッテリ

 対応するインフォリチウムVシリーズの純正バッテリは容量の違いで3種類提供されており、公式サイトによるとCX535の場合は以下の動作時間となる。

バッテリ型番 容量(mAh) 連続撮影時間(時:分) 実撮影時間(時:分)
NP-FV50 ソニー SONY リチャージャブルバッテリーパック NP-FV50 2 980 2:35 1:15
NP-FV70 ソニー SONY リチャージャブルバッテリーパック NP-FV70 2 1960 5:25 2:40
NP-FV100 ソニー SONY リチャージャブルバッテリーパック NP-FV100 3700 10:50 5:25

連続撮影時間は、1本の満充電したバッテリーを使用して、25℃で連続撮影した場合の時間。実撮影時間は撮影、ズーム、撮影スタンバイ、電源ON/OFFを繰り返したときの撮影時間の目安です。ビデオ再生など、撮影以外の操作は含まれていません。実際にはこれより短くなる場合があります

HDR-CX535 主な仕様 | デジタルビデオカメラ Handycam ハンディカム | ソニー
 3種類とも実撮影時間と連続撮影時間が個別に表示されているものの、概ね連続撮影時間の50%程度が実撮影時間と見れば良さそう。50%近くも目減りするのは、ズームレンズや手ぶれ補正用のアクチュエータ駆動に電力を吸われるからということでしょう。三脚に固定して手ぶれ補正はOFF、ズームも動かさないような撮影であればバッテリ消費は抑えられるでしょう。
 

充電器

 CX535*1は本体充電となっており、単独のバッテリー充電器は付属していない。本体から直接生えているUSBケーブルからの充電となり、USB端子があればどこでも充電できて便利である。一方、電力供給元によっては充電速度が遅くなってしまう。仕様には書いてないのだが、ヘルプガイドによると以下の差があると記載されている。

バッテリ型番 ACアダプター使用時充電時間 パソコン使用時充電時間
NP-FV50 165分 305分
NP-FV70 260分 555分
NP-FV100 420分 930分

25℃で充電したときの時間です。10℃~30℃での充電をおすすめします。
USB接続サポートケーブルを使わないときの充電時間です。

ヘルプガイド | 充電時間
 ACアダプタ使用時とPC使用時では概ね2倍程度の充電時間の差があることになる。なお、本体から生えているUSBケーブルは極短いもので、ノートPCの隣に置いて充電するような局面では「USB接続サポートケーブル」と称されるUSB延長ケーブルが無くても接続できるのだが、それ以外の局面では延長ケーブルの使用が事実上必須であろう。となると、注意書きに従えば上記充電時間よりさらに遅くなることになる。
 もちろん、予備バッテリがあったとしても、充電中は本体を外に持ち出せない訳で、専用のバッテリ充電器があった方が便利な場面も多いだろう。という思想で、できれば充電器も欲しいと私は思った。なお、純正品では2種類の充電器が用意されている。

  • BC-TRV
    • BC-QM1より安いが、対応しているバッテリが少ない(インフォリチウムV/H/Pシリーズ対応)。
    • (過去のCybershotの一部にも対応しているが、基本的にハンディカム等のビデオカメラ系バッテリに対応)

ソニー SONY バッテリーチャージャー BC-TRV C2

ソニー SONY バッテリーチャージャー BC-TRV C2

  • BC-QM1
    • BC-TRVより高いが、対応しているバッテリが豊富(インフォリチウムV/H/P/W/Mシリーズ対応)。
    • (BC-TRVで対応するV/H/P以外にW/Mも対応したことで、α/NEXで使われるNP-FW50等にも対応)

 

互換品選定

バッテリ容量選定

 純正の3種類それぞれの互換バッテリが存在する。何を優先するか考え方の違いで選択肢は異なるが、私の場合は以下の観点からNP-FV70相当を選択した。

  • 複数本の予備バッテリを持ち歩きたくない
  • 大容量のバッテリを買っても、使い切るのが困難
    • 使い切らないで充電してもニッカド系バッテリのようにメモリ効果は起きないが、充電する都度劣化が進む(一般に約300~500回の充放電で元の容量の半分程度にまで劣化すると言われている)
    • 劣化を嫌って充電を避けていると、大容量のメリットが無い
  • 大容量なほど大きく重い

 

セット or 単品選定

 販売店によっては、バッテリの複数本セットや、バッテリと充電器のセットといった形態でも販売されており、各自の要件に最もマッチした商品を選ぶことになる。私の場合は充電器が欲しかったので充電器セットを選択した。
 

買ったもの

 NP-FV70互換バッテリと、その充電器のセットがAmazonで安かったので購入した。※私が購入した時とは異なり、現在は以下のNP-FV70互換バッテリが2個と充電器のセットに変わっている模様。

 サイトには明示されていないのだが、届いた充電器の箱には"FOR NP-FP50"とシールが貼られている一方、"DSTD-DC04"という型番らしきシールも貼られている。この型番らしきものを検索すると米Amazonがヒットし、そこに記された対応バッテリから察するに、インフォリチウムV/H/Pシリーズに対応した充電器と思われる。

Travel and Car Charger Adapter for Sony NP-FP50 NP-FP51D NP-FP70 NP-FP71 NP-FP71D NP-FP90 NP-FP91 NP-FH50 NP-FV50 Battery

Amazon.com : DSTE® DC04 Travel and Car Charger Adapter for Sony NP-FP50 NP-FP51D NP-FP70 NP-FP71 NP-FP71D NP-FP90 NP-FP91 NP-FH50 NP-FV50 Battery : Camera And Camcorder Battery Chargers : Camera & Photo
 なお、バッテリと充電器共にPSEマークが表示されており、DSTE®というブランド名(?)の表示はあるものの、会社名の表示がない。例によって電気用品安全法を所管する経済産業省の以下のサイトから引用すると、

事業者の正式名称(個人事業者の場合は氏名)を表示します。ただし、承認を受けた略称、又は届出を行った登録商標であれば、正式名称でなくても表示できます。

http://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/denan/tetsuduki_annai/08b_houshiki.htm
 ということで、DSTEが登録商標であれば問題ないのだが、特許情報プラットフォームでDSTEという商標を検索してみるも日本では登録されていない模様。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/
 世界知的所有権機関(WIPO)のサイトでDSTEという商標を検索してみると、アメリカ及び欧州では登録(Active)されており、カナダでは保留扱い(Pending)となっているようだ。
WIPO Global Brand Database
 故に、経済産業省の言う「届け出を行った登録商標」に該当するのかは怪しいため、このPSEマークの有効性とおいうか妥当性には疑問が残る。「国内で」届け出を行った登録商標とは明示されていないものの、常識的に考えて日本の公的機関としては国内想定だろうし(私は法律の専門家ではないので判断できないが)。なお、日本のAmazonマーケットプレースの特定商取引法に基づく表記の販売業者と、国外でDSTEを商標登録した"SHENZHEN DST ELECTRON TECHNOLOGICAL CO.,LTD."の名称は一致している。
 

使用感

 最後に上記の購入品の使用感を記載する。

  • 互換バッテリは充電された状態で届いた(CX535に取り付けたら電池アイコンが3つフルで点灯)
  • 1回完全に使用後、フル充電した後に表示された残量表示は4時間8分
  • (純正のNP-FV70を持っていないので比較できないが、)純正のNP-FV50よりは当然長時間撮影できている
  • 互換バッテリのCX535本体への取り付けには支障はなくスムースに着脱可能
  • 互換充電器へのバッテリの取り付けは硬くてコツがいる
  • 特に純正バッテリを互換充電器へ取り付けるのが硬い
  • バッテリを固定する互換充電器側のツメの受け側が薄いように見える
  • 純正NP-FV50をCX525をPCに繋いでUSB充電した場合より、互換充電器で充電した方が充電時間が短い(互換NP-FV70の本体充電は未検証)

 なお、互換バッテリを利用することのリスクについては、以下の投稿に記載しているため、そちらも併せて読んでいただきたい。
wave.hatenablog.com




以上。

*1:CX670やCX675も同様