2016年初頭に発表された360度カメラのまとめ

 従来はRICOH THETAの独断場だった360度カメラ(或いは全天球カメラ、VRカメラ、全方位カメラ等と呼ばれる機材)ですが、今年に入って各社から同様の製品が一斉に発表されています。2016年1月のCES、2月のMWC及びCP+までに発表されたモデルをまとめてみます。

発表時期 メーカー 製品名 ステータス 公称製品ジャンル 特徴
CES 2016 Nikon KeyMission 360 参考出品 アクションカメラ 水深30m防水、耐衝撃、耐寒、防塵、4K動画対応
MWC 2016 Sony Xperia eye 参考展示 ウェアラブルカメラ ハンズフリーで撮影を楽しめる。カメラおよびセンシング技術を最小形状にまとめ、顔や声で撮影タイミングを検知するインテリジェントシャッター搭載
MWC 2016 Samsung Gear 360 発売前 Galaxyのオプション扱い? 既に製品サイトが出来ているので公式Webサイト参照
MWC 2016 LG LG 360 Cam 発売前 Mobile Accessory 既に製品サイトが出来ているので公式Webサイト参照

 海外のCES及びMWCで立て続けに発表されたため、先月開催の国内のCP+で新規発表となった新製品はありませんでした。カメラ系メーカーだけではなくスマートフォンメーカー*1が参入しているのが最近の新たな流れでしょうか。

 特にSamsungやLGについては、HMDを装着してVR体験をするために、ソースとなる映像コンテンツを撮影する入力機材が必要だよねという意図のようにも見えます。故に、かつての3Dテレビがコケたように、VRが一過性の流行りで終わってしまうと後継製品は激減するのではないかとも危惧されます。

Galaxy Gear VR S6/S6 edge対応 SM-R322NZWAXJP

Galaxy Gear VR S6/S6 edge対応 SM-R322NZWAXJP

 SONYについてはゲーム機のオプションとしてPlaystation VRも発表・発売決定していますが、現時点ではゲーム画面を表示することに注力しているようなので、全天球カメラで映像を収録できるソリューションが提供できなくても、現時点では支障ないと判断しているのではないでしょうか。


 長期的な目線で見ると、メーカーの垣根を超えた360度画像/映像の標準的なフォーマットが決まらないと、普及は阻害されそうな気もします。(実は既存の標準的な画像/映像フォーマット・コンテナに、魚眼レンズで激しく歪んだ前後2枚の画像を、左右に並べて記録しているようなものが標準なんでしょうか?)そうなると、歪みを補正して前後像が繋がるように補正して…といったような非線形処理が再生系で必要となり、実際に目にする映像が綺麗なのかはカメラ単体ではなく、再生時のアルゴリズムによっても大きく変わってくると想像されます。また、原理的に撮影時にレンズの正面に位置した被写体と、斜めに位置する被写体のクオリティが大きく異なることにもなるはずです。たとえ4Kで全天球撮影した場合でも、通常の視野に変換した後の映像は、条件によってはFullHDにも劣る品質ということも考えられます。


 ということで、通常のデジタルカメラと異なり、何を評価軸とすればよいのか良く解りません。ここら辺の解りにくさも普及の阻害要因になりそうな気もします。明確な用途があれば導入してみようと思うけど、今の状態ではちょっと手を出しにくい感じ。とは言え、単純に面白そうなのもまた事実なので、個人的にはもうしばらく様子見していようと思います。




以上。

*1:とは言っても、SONYSAMSUNGもLGも、デジタルカメラも手掛けている。