航空自衛隊のU-125が消息不明⇒発見(追記有)

(末尾に追記有)

 昨日4/6に、航空自衛隊入間基地の飛行点検隊所属のU-125が鹿児島県上空で消息を絶ったと報じられた。
www3.nhk.or.jp

 この投稿を書いている時点で、機体はまだ発見されていない。搭乗中の6名の隊員の無事を願うばかりである。
 

 民放のニュース画面には、043とナンバリングされたU-125の機体画像が消息不明機として放送されていた。検索してみると、確かに入間基地飛行点検隊所属の飛行点検機として運用されているU-125には、機体記号が49-3043の機体が存在するようだ(他のソースで機体番号情報は見ていないので、単に同型機の意味で放送された可能性も否定できない)。

 この機体(49-3043)は昨年の入間航空祭でも、飛行する姿を披露してくれていた。
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 なお、Wikipediaによれば飛行点検機としてのU-125は、飛行点検隊(入間基地)にしか配備されておらず、3機しかないそうだ。
U-125 (航空機) - Wikipedia
航空自衛隊の装備品一覧 - Wikipedia

 同じく飛行点検機としては、先日紹介したYS-11FCも運用されているが、上記Wikipediaによると、こちらも2機しか運用されていない。
wave.hatenablog.com
 

 安全に自衛隊の飛行場設備が運用されているのは、飛行点検隊と飛行点検機の地道な活躍があってこそ。重ねて、隊員の方々がご無事でありますように。
主要装備 U-125|[JASDF] 航空自衛隊
 

(2016/4/7追記ここから)
 4/7午後になって、高隈山の御岳山頂付近で乗員6名1名の隊員が心肺停止状態で発見されたそうである(当初6名発見と報じられていたが、残念ながら1名に訂正された。未発見の隊員も引き続き発見・救助されることを願いたい。)。隊員が回復に向かうことを願うばかりである。
mainichi.jp

 一部の民放で、埼玉県の航空自衛隊入間基地所属の機体が、鹿児島県海上自衛隊鹿屋基地付近を飛行していた状況が、いまいち呑み込めていないかのようなコメントも見受けられた。そして埼玉の隊員が、不慣れな鹿児島で事故を起こしたことを示唆するかのようなコメントもあった。
 前述の通り、飛行点検隊は入間基地にしかない。陸自立川駐屯地の飛行場設備の点検を、空自入間基地所属の飛行点検機YS-11FCが実施していたのも先に紹介した通りである。海自の鹿屋基地の飛行場設備も、空自入間基地所属の飛行点検機U-125が実施することが特段変わったことではない。全国各地の自衛隊飛行場設備の点検を飛行点検隊が行い、それが埼玉県の航空自衛隊入間基地に配備されているだけの話。
 この辺の話は防衛白書でも紹介されている。引用すると、

飛行点検隊は、入間基地(埼玉県狭山(さやま)市)に所在し、隊本部と、航空機により点検を行う飛行隊、飛行点検用の航空機の整備を行う整備隊からなり、約80名の隊員で構成され、飛行点検用のYS-11とU-125(右写真の航空機)計6機を保有しています。主な業務内容は、航空機に装備した自動飛行点検装置や地上計測器材(右写真の器材)などを使って、TACAN(Tactical Air Navigation)(無線航法装置)やILS(Instrument Landing System)(計器着陸装置)などの航空保安無線施設の機能を点検することです。このため、北海道旭川から南鳥島まで陸・海・空各自衛隊の約160の点検対象施設に対し、年間約370回の点検を行っています。

自衛隊の多彩な部隊

 飛行点検隊については、Wikipediaにも簡潔に記載されている。
飛行点検隊 - Wikipedia

(2016/4/7追記ここまで)
 

(2016/4/7再追記ここから)
 新たに3名が心肺停止状態で発見されたと報じられた。残る2名の隊員の発見も期待される。
www3.nhk.or.jp

 上記NHKの報道によると、

鹿児島県海上自衛隊鹿屋基地の北の山あいで部品が見つかった自衛隊機について、航空自衛隊は、一部に健康に影響を与えるおそれがあるアスベストなどが使われており、機体の破片を見つけた場合は近づかないよう呼びかけています。

 とのこと。個人的には航空機材料としてアスベストが使われていることは知らなかったが、アスベストは2006年9月以降、国内で全面的に禁止されている。U-125は1990年度から導入されており、この規制対象となっていないのであろう。いずれにせよ、現場付近の方は自衛隊の呼びかけ通り、近づかないよう注意すべきでしょう。

(2016/4/7再追記ここまで)
 

(2016/4/8追記ここから)
 (現時点では、)何故か防衛省Webサイトによる本件の公式発表が失踪当日にしか更新されておらず、最新の状況は不明確である。が、NHKなどによると4/8午前に残る2名の隊員も心肺停止状態で発見された旨が報じられている。
防衛省・自衛隊:お知らせ
www3.nhk.or.jp
 取材ヘリによる空撮映像では、U-125の特徴的なカラーリングの機体の破片も映されていた。

 防衛省は記者会見など行っているようだが、当初6名が全員発見されたかのような誤報があったり、情報が錯綜している感も否めない。また、事故当日は時系列でファクトをサイト上に掲載しているのに、隊員が発見され始めた昨日以降はそのような発表が無い。メディア向けの会見だけでは、報道各社によって情報の鮮度が異なるし、現状どうなっているのか一般人にはよく解らない。また現地入りしていない海外メディアでも不正確な報道が為されている。
 例えば米CBSには以下のような表記がある。

U-125 search-and-rescue jet lost contact

Japan U-125 military jet missing with crew of 6 airmen - CBS News
 "search-and-rescue jet"すなわち救難捜索機が消息不明になったと報じている。救難捜索機はU-125Aであり、今回の飛行点検機(Flight Checker)のU-125とは別機体である。

 諸外国から見れば、本件は日本の軍用機が失踪したと受け取るであろう。当初海外ニュースは近隣アジア圏の各国やロシアで掲載され始めた後、英語圏のニュースが出回ったように思う。軍用機が失踪となれば、それなりに近隣諸国は警戒するだろう。何人でもアクセスできる、正確な情報開示及び広報体制の拡充が必要ではないだろうか。
 そういった観点からも、軍事機密に係るような内容を除き、このような事案では国内メディア向けに会見するだけではなく、正確な最新情報を防衛省自身がサイトで更新し続けるべきではないだろうか。

(2016/4/8追記ここまで)
 

(2016/4/8再追記ここから)
 現時点では相変わらず防衛省Webサイトのお知らせは更新されていないが、残念ながら乗員6名全員の死亡が報道された。
 亡くなられた隊員の方々のご冥福をお祈りします。
www3.nhk.or.jp

 今後は事故原因の解明と、再発防止策がとられることを期待します。

(2016/4/8再追記ここまで)
 



以上。