解体直前の旧熊谷陸軍飛行学校桶川分教場を見てきた

 旧陸軍の桶川飛行学校の建物が、2016/5/9から解体されるとの報道がありました。

旧特攻訓練場、戦前の姿に 復元へ来月解体 : 地域 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)
桶川飛行学校に物販計画? 5月9日から解体調査 - 産経ニュース

 産経新聞の記事では、保全整備に向けた協定を締結した、ものつくり大学文化財建造物修復学研究室の横山晋一准教授の言葉として、

軍の仕様書を基に建築された木造の建物は全国的にほぼ残っていない。建造物としても重要

 と、紹介されています。このような建物が現存していたことは全く知りませんでした。調査のためとはいえ、一旦解体されてしまうようなので、その前に訪れてみました。
 

事前調査

 桶川飛行学校の現所有者である桶川市のサイトには、以下の記載があります。
桶川市/旧熊谷陸軍飛行学校桶川分教場について

※土日祝日にはNPO法人旧陸軍桶川飛行学校を語り継ぐ会の会員による公開を実施しておりましたが、建物の老朽化及び安全確保のため、平成27年12月から、建物の内部の公開及びボランティアガイドについては中止しています。

 一方、桶川市のサイトでも言及されている「NPO法人旧陸軍桶川飛行学校を語り継ぐ会」のHPには以下の声明が掲載されています。
飛行学校閉鎖についての本会の見解
 こちらを読むと、現在は一般公開自体が行われていないように見受けられます。桶川市のサイトからは建物外から見学できそうに解釈できるのですが…実態がよく解らないながらも行ってみました。

 なお、桶川飛行学校の歴史や特攻隊との関連などについては、語り継ぐ会のHPに掲載されています。
旧陸軍桶川飛行場を語り継ぐ会
 

現地

案内看板

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 付近には95式1型乙練習機(赤とんぼ)がデザインされた、旧陸軍桶川飛行学校の看板が掲出されていました。
 

陸軍境界標

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 案内看板から先に進むと、このような境界標が複数存在しています。現在は民家や農地になっている土地も、かつては陸軍の土地であったことが解ります。
 

入口付近

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 進入禁止マークと共に、敷地内立入禁止看板で封鎖されていました。桶川市のサイトの表現とは異なり、建物内部の公開中止というレベルではなく、一般公開そのものが中止されているようです。
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 近づいてみると、以下の文言が掲示されています。

お知らせ
旧熊谷陸軍飛行学校桶川分教場は、毎週土日祝日にNPO法人旧陸軍桶川飛行学校を語り継ぐ会による一般公開を行ってまいりましたが、建物の老朽化等により安全確保の必要があることから、平成27年12月以降の一般公開を中止いたします。
見学をご希望の皆様には、たいへんご不便をお掛けし、申し訳ございません。
今後市は遺構の保存整理を進めてまいりますので、何卒ご理解賜りますよう、お願い申し上げます。

 ということで、中には入れないので、敷地外から見える建物を見てみます。
 

守衛所と弾薬庫

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 右側の木造建物が、かつての守衛所だったようです。また、左側のコンクリートのような石のような材質の小さめの構造物が弾薬庫だったようです。
 

守衛所

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 かなり老朽化した木造建物で、ガラスも現代のものとは違うように見受けられます。
 

弾薬庫

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 弾薬庫という用途から、防爆・耐火性の観点から木造ではないのでしょう。
 

車庫と宿舎

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 右手前側の建物が車庫、左奥側が宿舎だったようです。
 

宿舎

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 遠くてよく見えないものの、守衛所同様に老朽化が進んだ木造建物と思われます。
 

感想

 敷地外から眺めただけでは、老朽化した建物であること以外はよく解りません。
 ここで何が行われ、どんな歴史が刻まれたのかなど、解説板やガイドの方の説明などが無ければ、Web上の情報以上のことは解らず、非常に薄っぺらい理解になってしまいます。
 とは言え、建物の老朽化が進んでいるのは素人目にも明らかなため、速やかな修復・再建だけではなく、適切な維持管理が行える体制を構築することが望ましいのではないでしょうか。
 
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 荒川を挟んで対岸に位置する、ホンダエアポートに向かう桶川飛行学校跡地上空を飛ぶ飛行機。桶川飛行学校の演習施設としても利用されたという、旧陸軍川田谷飛行場跡地がホンダエアポートとして利用されているそうです。
 どちらの跡地利用が良いとか悪いという話ではないですが、ホンダエアポートには戦前からの歴史的な建物は見当たらないものの、商業的には成立していることなど、桶川飛行学校跡地の荒廃具合と対照的だと感じました。
 



以上。