日経やロイターやブルームバーグなど各メディアが、ドイツのバイエルがアメリカのモンサントを買収する旨を報じています。
独バイエル、米モンサントを買収 6.8兆円で :日本経済新聞
両社の詳細は知りませんが、バイエルは医薬品、モンサントは遺伝子組み換え食品などで耳にしたことがある企業です。
Wikipediaを参照して両社を簡潔に説明するなら、バイエルはドイツ企業で化学工業及び製薬会社、モンサントはアメリカ企業でバイオ化学メーカーという説明になりそうです。
バイエル (企業) - Wikipedia
モンサント (企業) - Wikipedia
ところで、カタカナ表記で「バイエル」と記述されていますが、本国であるドイツ語や英語では"BAYER"と表記するようです。
これ「バイエル」って読むの?と、気になってしまったので調べてみました。
カラーフィルタ編
カメラ好きの方は"bayer"という表記を見たことありませんか?
SIGMAのFOVEONやFujifilmのEXRやX-Transを除いたほぼ全てのイメージセンサーのカラーフィルターとして用いられている、ベイヤー型フィルタの「ベイヤー」が"bayer"です。
アメリカのコダックの開発者・Bryce Bayer氏の名に由来していますが、2012年に亡くなられた後、息子さんが「ベイヤー」ではなく「バイヤー」読みが正しいことを表明しておられます。
ベイヤーでなく「バイヤー」なのです - 写真にこだわる
ちなみにドイツ語の"bayer"も、Google翻訳に喋ってもらう*1と、カタカナ表記するなら「バイヤー」が近そうに聞こえます。
Google 翻訳
薬品編
冒頭で触れたドイツのバイエル傘下の、日本のバイエル薬品株式会社の会社概要のページ中の「医薬品の日本での歩み」には、
http://byl.bayer.co.jp/scripts/pages/jp/corporate_profile/history/index.php
とあり、日本における事業会社が設立された当時から「バイエル」表記のようです。
当時の日本人にはそのように聞こえたのでしょうか?
ピアノ編
ピアノ教材として多く使われるバイエルに倣って、「バイエル」表記なのでしょうか?
こちらのバイエルはドイツの作曲家・Ferdinand Beyer氏の名に由来しています。スペルが異なっており、比較対象とするのはそもそも適切では無さそうです。
フェルディナント・バイエル - Wikipedia
ちなみに"beyer"のドイツ語発音も"bayer"と同じように、「バイヤー」のように聞こえます。
Google 翻訳
「バイエル」とは一体???
サッカー編
ドイツのプロサッカーリーグ、ブンデスリーガのFCバイエルン・ミュンヘンの「バイエルン」は元は"Bayern"表記で、ドイツの地名です。
Google翻訳では"bayer"は「バイエルンの」、"bayern"は「バイエルン」と訳されることから、"Bayer"の語尾が"n"に変化した語と捉えることができるかもしれません(ドイツ語は全く知りませんので、全然違うかもしれません)。
ドイツ語の"bayern"も、Google翻訳に喋ってもらうと、カタカナ表記では「バイアン」が近そうな感じに聞こえます。
Google 翻訳
まとめ
ここまで見た限りでは、「バイエル」っぽい発音が現地語(ドイツ語)には見当たりません。
"bayer"を他言語で、具体的には英語・フランス語・スペイン語でGoogle翻訳に喋らせてみましたが「バイエル」っぽく聞こえる言語は無さそうです。
が、"bayern"についてはスペイン語で「バイエールン」的な感じに聞こえ、「バイエルン」はスペイン経由で日本に伝わったのかも?と、妄想することはできそうです。
Google 翻訳
いずれにせよ、正確なところは判りませんでした。
おまけ
バイヤー・バイエルと同様に語源がよく判らんワードとして、ファイヤ―・ファイエル問題があると思っています。銀河英雄伝説には英語で「撃て」を意味する"Fire"に相当する、「ファイエル」という謎の言葉が登場します。ドイツ語であるなら"Feuer"で、「フォイヤー」的な感じなのですけど。ちなみに、艦これに登場するドイツ艦であるビスマルクは「フォイヤー」って言ってます。
Google 翻訳
アンデルセン・アンダーセン問題もあると思っています。アンダーセン空軍基地やアンダーセンコンサルティングに対して、童話のアンデルセン。前者は英語で後者はデンマーク語に由来するはずですが、デンマーク語の"andersen"は「アンデルセン」に聞こえません。メルヘンチックな印象を受ける「アンデルセン」、どこから来たんでしょうか?
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逆に、リリース・レリーズは問題ではありません。リモート・レリーズやレリーズ・ケーブルのような、カメラ本体に触れずにシャッターを切るためのカメラ用品で使われる語です。これは"release"の英語読みが「リリース」に対して、ドイツ語読みでは「レリーズ」(レリースの方が近いかも)というだけの話で、語源は謎ではありません。はじめて目にした時にはなんじゃこりゃと思いましたが。
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今のカメラではユーザによるシャッターチャージが不要なわけで、レリーズがリリースだと解ったところで、何をリリースしてるのか解らんという人も出てきそうですけどね。
何気なく耳にしているカタカナ言葉って、実は意味解らんのが紛れているよねというお話でした。
(もちろん私は言語学者ではないし、その類の科目を履修していたことも無く、無知故の変な記載をしているかもしれませんが悪しからず。)
以上。