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Xiaomiがマイクロフォーサーズでミラーレスカメラに参入していた

 中国のスマートフォンメーカーとして日本未進出ながらも、Xiaomiというメーカーを見聞きしたことがあるという方も多いのではないでしょうか。ハイエンド寄りのモデルでは先進的なスペックでありながら、価格は欧米メーカーや日本メーカより格安な販売価格であることなど注目に値する点が多い製品を送り出しているメーカーです。そしてその液晶パネルはJDI製だったりSHARP製だったり、カメラモジュールはSONY製だったりと、ハイエンドモデル寄りの多くのモデルで、多数の日本企業の部材が利用されています。

 かつてメディアでは中国のアップルなどともてはやされていたことも記憶していますが、最近では中国市場での販売落ち込みも報じられているのも見かけます。そして最近では空気清浄機や炊飯器などスマートフォン関連以外の家電寄りの製品も展開しているようです。

 これまでも、Xiaomi本体ではなくYiブランド(XiaoyiとかYiといった名称)で、アクションカムを販売していましたが、いつの間にかミラーレスカメラにも参入していたようです。正確には今回もXiaomi本体としてではなく、YI Technologyとしての製品になるようです。フォーサーズ規格賛同企業としていつの間にか掲載されている「シャオイテクノロジー株式会社」*1が該当する日本法人なのだと思われます。
Four Thirds | お問合せ窓口 | 賛同企業
 

YIの既存製品(アクションカム)

 YIのアクションカムの特徴を一言で表すなら、GoPro等の類似スペック機より安価でありならSONY製イメージセンサを搭載し、激安中華アクションカムより高画質。安かろう悪かろうではなく、Xiaomiのスマートフォンと同じようにコストパフォーマンスに優れた製品です。想像するにどの部材にコストをかけるべきかを、よく理解した開発体制となっているのではないでしょうか。Yiのアクションカムについては過去にも以下の投稿をしています。
Xiaomi YI Action Cameraのスペックを読み解く - 記憶は人なり
4K対応したXiaomi Yi2が登場 - 記憶は人なり
 

YIのミラーレス

 米Amazon.comを眺めていたらサジェストされた中に見知らぬレンズ交換式カメラが表示されていました。これがYIのミラーレスカメラYI M1でした(記載時点で日本のAmazon.co.jpでは取り扱い無し)。

 

価格

 記載時点では以下のプライシングとなっていました。

製品 価格 日本円換算(1USD=104JPYの場合)
12-40mm F3.5-5.6 レンズキット 499 USD 51896 JPY
42.5mm F1.8 レンズキット 599 USD 62296 JPY
ダブルレンズキット 699 USD 72696 JPY

※米Amazon.comでは日本への配送不可。GearBestでも(記載時点では42.5mm F1.8レンズキット以外は)同一価格で取り扱いがあり、日本国内への配送が可能な模様。
 

スペック

 価格だけを見ると、別に安くないじゃんと思えるかもしれませんが、よく見るととんでもない。SONY製20MPセンサを搭載し、4K録画対応で小型軽量。ざっと特徴的な個所と、基本的なポイントを抜粋すると以下の通り。

  • SONY製イメージセンサ搭載(IMX269)
  • 有効画素数20.16M
  • 最大記録画素数50MP
  • JPEG/RAW記録対応
  • マイクロフォーサーズマウント
  • 4K 30fps(H.264)動画撮影対応(FullHD 60fps, VGA 240fps)
  • 3インチ(720x480)タッチパネル搭載
  • コントラストAF(マニュアルフォーカス可 ※42.5mmレンズはAF専用)
  • ISO感度(100~25600)
  • 電子制御メカシャッター(フォーカルプレーンシャッター)搭載(1/4000s~60s)
  • 連射速度5枚/秒
  • WiFi/Bluetooth搭載
  • バッテリ持続時間450枚(CIPA基準)
  • サイズ113.5mm x 64.3mm x 33.6mm (突起部除く)
  • 本体重量280g
  • 表示言語:中国語・英語

YI Technology | Mirrorless Cameras | Action Cameras

 手ぶれ補正機能についてはボディ・レンズともに未搭載。ただし、時期は不明ながらもファームウェアアップデートで搭載予定との書き込みもAmazon.comで見受けられました。本当に搭載されたとしても、後からファームウェアで対応できるレベルなら常識的に考えれば電子式と想定され、JPEGまたは動画撮影時にしか効果を発揮しないと予想されます。
 レンズについてはいずれもフィルタ径49mmで、12-40mmが9群11枚、42.5mmが6群6枚の光学ガラス製(何故か単焦点の方はMF対応が謳われていません)。
  

ざっくり比較等

 マイクロフォーサーズで20MP機だと、PanasonicならGX8、OlympusならPEN-F、OM-D E-M1 mark IIとがありますが、いずれもハイエンドに類するモデルでYI M1より大きく重たいものばかりです。小型軽量高性能を得意としてきた日本メーカーが後れを取っているとも言えなくもない状況ですが、比較対象機は全てボディ内手ぶれ補正機構を有しているため、その分スペースが必要なのだというのも理解できます。

製品 サイズ(突起部除く) 本体質量 4K動画撮影 ボディ内手ぶれ補正
YI M1 113.5mm x 64.3mm x 33.6mm 280g o x
Panasonic GX8 133.2mm x 77.9mm x 63.1mm 435g o o
Olympus PEN-F 124.8mm x 72.1mm x 37.3mm 373g x o
Olympus OM-D E-M1 mk2 134.1mm x 90.9mm x 68.9mm 498g o o

 16MP機との比較では、98.5mm x 54.9mm x 30.4mm/173gのPanasonic GM1Sよりは大きいものの、109.8mm x 64.2 x 33.8mm/223gのOlympus PEN mini E-PM2に近い大きさで、YI M1はかなり小型であることが解ります。GM1Sは小型化優先のため、一般的なメカシャッターではなく低速時のみ使用可能なメカシャッターですし、手ぶれ補正機構も内蔵していません。一方のE-PM2は数年前のカメラですが、普通のメカシャッターに加えて手ぶれ補正機構を内蔵していることから、日本の小型軽量化技術はまだ負けていないと言えるのではないでしょうか。

 それでも今のデジタルカメラは極端に言えばレンズマウントにシャッター機構とイメージセンサがくっついただけのもの。イメージセンサがSONY製となると、国内カメラメーカーの製品と十分に張り合える画質が期待できます。

 その一方ではYI M1のコントラストAFが、どの程度の実用的な性能を有しているのは未知数でもあります。十分に高画質が得られるとしても、ピント合わせに苦労するなど、使いやすくはないという可能性はあるかもしれません。一般的にアクションカムのフォーカスはパンフォーカスで固定されているように、YIのアクションカムも固定焦点式でした。なので、会社としてAF実装に関する知見が十分に蓄積されておらず、国内メーカーほどの技術力は持っていない可能性も考えられるでしょう(Xiaomiのスマートフォン部門でカメラ担当していたエンジニアならAFアルゴリズムも詳しいかもしれませんが)。ミラーレス後発のくせにAFがポンコツだったCanon EOS Mや、PENTAX K-01も後のファームウェアアップデートで十分実用域まで進化したのを体感している身としては、改善する意思(と、改善を行えるだけの企業体力)があれば改善可能な事項だと思っているので、あまり深刻には気にしていませんが。しかもXiaomi自体はソフトウェア開発力は十分にあるメーカーだと思っているので(特許絡みは面倒かもしれませんけど)。

 なお、最大記録画素数50MPとなっていますが、数字だけ見ればOM-D E-M1 mark IIのハイレゾショット撮影時と同等でありながらも、RAW記録時にも有効なのかは明示されていませんし、センサーシフト式手ぶれ補正機構が入っているわけではないので、単なるソフトウェア補間でJPEG記録時だけ有効なのかもしれません。

 レンズについては全くの未知数ですが、どこかのサプライヤーに供給してもらっているのでしょうか?さすがに光学レンズまで自社製造しはじめたとは考えにくいのですが。12-40mmという焦点距離OlympusのF2.8 PROがありますが、開放F値が違い過ぎるので、全くの別物でしょう。42.5mmはPanasonicのF1.7レンズがあり、開放F値も近いですが光学式手ぶれ補正の内蔵有無が大きく違います。これらのレンズが残念な品質だったとしても、マイクロフォーサーズマウントなので、好きなレンズを使えばいいわけですが、そうなるとますます国内カメラ(ボディ)メーカーは厳しい状況に追い込まれるかもしれませんね。「国内メーカーのイメージセンサに国内メーカーのレンズを付けたアジア製レンズ交換式カメラ」という条件だけ見れば、多くの国内メーカーの海外製造モデルと同じ訳ですから(もちろん、設計が違うのは解りますが)。ちなみに、Amazon.comのQAを見ていると、YI M1は中国製ではなくMade in Indonesia表記のラベルが貼られているようです。

 個人的には、英語メニューさえあれば日本語メニューは無くてもいいので、もう少し安くなるか、円高になったら買ってみてもいいかなと思います。なお、現時点でAdobe Camera RAWの対応機種リストに掲載されていないのも購入を思いとどまらせる要因の一つですが、RAWフォーマットは一般的なDNGのようで、現像手段が全くないというわけでもないようです。
 



以上。

*1:当該企業に関する情報は検索しても出てこない。