KORG版ARP ODYSSEY(i)シリーズのコントローラビリティ比較

 アナログシンセサイザーの名機、ARP ODYSSEYをKORGが復刻して話題になりましたが、先日iOSアプリ版までリリースされました。(リビジョン違いを除くと)KORGブランドでは、ARP ODYSSEY、ARP ODYSSEY MODULE、ARP ODYSSEiの3製品がリリースされたことになります。
 ODYSSEY MODULEはODYSSEYからキーボードを取り除いたもの、ODYSSEiはその回路をエミュレーションしiOSアプリ化したもの、といった感じにざっくりと理解されている方が多いのではないかと思いますが、外部コントローラからの制御という観点から比較すると、大きく違うことが判りました。
 

比較

 MIDIインプリメンテーションチャートや取説を眺めると、これらの3モデルが理解可能なMIDIメッセージはかなり異なることが判ります。実用上、大きく異なる点を中心にまとめると以下の通り。

項目 ODYSSEY ODYSSEY MODULE ODDYSEi
Note On Velocity x o? *1 o *2
PitchBend x o o
ControlChange x x o *3
ProgramChange x x ? *4

 要するに、

  • ODYSSEYは演奏中に本体上のコントローラで演奏表現をする為の楽器
  • ODYSSEY MODULEはお気に入りの外部キーボードコントローラを繋いで演奏中に本体上のコントローラで演奏表現をする為の楽器(或いは、シーケンサから鳴らしつつ、音色変化のみリアルタイムにパフォーマンスするための楽器)
  • ODYSSEiはDAW等の外部シーケンサから複雑なパラメータコトロールされながら演奏させるための楽器

 と言い換えることができるでしょう。

 シーケンサから鳴らす音源としての利用を主眼にしている場合は、MODULEよりアプリ版の方がパラメータ制御が動的に行えため適していると言えます。一方では、リアルアナログならではの音が欲しいのであって、モデリング音が欲しいのではないという場合には、ODYSSEY/ODYSSEY MODULEを選択することになるのでしょうけれど、パラメータを変化させるのは人力依存だし、その変化を再現させる手段は無いということになります。
 また、直接キーボードコントローラで演奏する場合でもベロシティに対応しないのであれば、強く弾こうが弱く弾こうが出音は全く同じなので、鍵盤楽器としての演奏表現のための手段が限定されてしまうことも念頭に置くべきでしょう。と言っても、(ビンテージ)アナログシンセサイザーの多くがそういうものなので、そこら辺を理解しているシンセサイザー奏者にとっては大きな問題ではないかもしれません。
 

雑感

 ODYSSEYが復刻された際、欲しいと思いつつも現実的な理由*5で購入せず眺めていただけでした。ODYSSEY MODULEも同様に購入していなかったのですが、今回のODYSSEiは置き場所に困らないため購入してしまいそうです。
 KORGの多くのiOSアプリは購入しているのですが、ODYSSEiは既存製品より要求スペックが上がっています。iPadならmini2/Air以降のみ対応し、iPhoneも5S以降の対応となっています。個人的にはDOCKコネクタ用のMIDIインタフェースは持っているのですが、Lightning用のインタフェースは持っていないため、ODYSSEiだけ買っても使えないなぁということから二の足を踏んでいるところです。それでも今月末(2016/11/30)までは2400円(通常3600円)となっているため、期間中に入手してしまいそうです。

ARP ODYSSEi

ARP ODYSSEi

  • KORG INC.
  • ミュージック
  • ¥2,400

 

*1: "× 9n, V=1-127"という解釈に困る表記となっている。note on message(9n)で1-127を取れるのなら対応しているはずだが、頭に×が付いている。

*2: "VEL スイッチ"パラメータ有。CC54でVelocity Desitnation、CC55でVelocity Intensityが制御可。

*3:VCO,VCF,VCA,EG,LFO,EFX系のパラメータが(ほぼ?)全て制御が可能。詳細はARP ODYSSEi/iOS CC# LIST参照。

*4:記述無し

*5:置く場所が無いとか。