海兵隊のオスプレイが沖縄県名護市沖に不時着

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※画像はJA2016国際航空宇宙展*1ボーイングブースのV-22 Osprey模型と、ベル-ボーイングブースのV-22ロゴ
 

 各メディアでも報じられていますが、2016/12/13にアメリカ海兵隊のMV-22オスプレイが沖縄で海上に不時着するインシデント(*)があったようです。
米軍オスプレイが沖縄県名護市沖に不時着 | NHKニュース

 (*)メディアによっては「事故」表記だったりしますが、海兵隊公式発表では"incident"や"mishap"という語を用いていますので、インシデント表記としています。
 

 恐らく、しばらくは各メディアが独自の目線で報道すると思いますので、本投稿では海兵隊自身の発表を紹介します。
※明らかな誤訳は無いように注意していますが、プロ翻訳家ではないため誤記・誤訳等があった場合もご容赦ください。 

Twitter

 まず、最も早く公式情報が流れたのがTwitterだったようで、海兵隊公式アカウントの@USMCより以下のTweetが流れています。

twitter.com
 このTweetでは本件について"mishap"(軽度な事故)という語が使われています。すなわち、「MV-22オスプレイの軽度な事故が沖縄沿岸で発生した。更新情報は@IIIMEFをフォローしてください。」的な内容となっています。なお、@IIIMEFはOfficial III Marine Expeditionary Forceすなわち沖縄に司令部がある第3海兵遠征軍の公式アカウントです。
 

 実はこの@USMCのTweetの前に、前述の@IIIMEFより第一報が発表されていました。

twitter.com
 「速報:沖縄沿岸でMV-22航空機の軽度な事故が発生したことを確認した。詳細はこのアカウントを見ていてください。」的な内容です("#Breaking"タグは"Breaking News"と機体の「損傷」のダブルミーニングでは無いと思います)。
 

 次に@IIIMEFより続報が発表されました。

twitter.com
 「更新情報:不時着したMV-22オスプレイの全搭乗員はキャンプ・フォスターの@USNHOに移送され傷の手当てを受けている。」的な内容です。なお、ここでは"downed"を「不時着した」と意訳しています(墜落なら"crashed"等を使うのが自然)。@USNHOはU.S. Naval Hospital Okinawaすなわち沖縄の米海軍病院のようです(@USNHOからは本件についてのTweetは本投稿記載時点ではありません)。
 なお、このTweetは@USMCにもReTweetされています。
 

プレスリリース

 Twitterではなく、米海兵隊公式のプレスリリースでは以下の発表が出ています。

CREW RESCUED AFTER MV-22 INCIDENT OFF COAST OF OKINAWA
MARINE CORPS BASE CAMP BUTLER, Okinawa, Japan --


All five crewmembers aboard an MV-22 Osprey with Marine Aircraft Group 36, 1st Marine Aircraft Wing were successfully rescued when their aircraft conducted a landing in shallow water off the Okinawa coastline of Camp Schwab at approximately 10:00 p.m., yesterday.
The crew was airlifted via HH-60G by the 33rd Rescue Squadron from Kadena Air Base to the United States Naval Hospital aboard Camp Foster where they are being treated for injuries.
A formal investigation into the incident has been launched. There will be no further information on the cause of the incident until the investigation is complete.
Media can contact the III Marine Expeditionary Force public affairs office at the provided email address.

Crew rescued after MV-22 incident off coast of Okinawa > The Official United States Marine Corps Public Website > Press Release Display

 ここでは本件について"INCIDENT"(事件・出来事・事故)という語が使われています。また、"landing in shallow water"(浅瀬に着陸)という表現もあり墜落を匂わせる表現は見当たりません。
 全文通しで意訳してみると、概ね以下のような内容になると思います。

沖縄沿岸でのMV-22のインシデント後に搭乗員は救助された
海兵隊キャンプバトラー、日本の沖縄県より


沖縄のキャンプ・シュワブ沿岸の浅瀬に、昨日PM10:00頃に不時着した第1海兵航空団の海兵隊第36航空群に属するMV-22オスプレイの全5人の搭乗員の救助に成功。
搭乗員は嘉手納空軍基地の第33救難航空団のHH-60Gヘリコプターでキャンプ・フォスターの米海軍病院に空輸され、怪我の治療を受けている。
本件は公式な調査が開始された。調査完了まで、事故原因に関する追加情報は無い想定。
メディア関係者は第3海兵遠征軍広報にメールでコンタクトが可能。

注.

  • "Marine Aircraft Group 36"*2は「海兵隊第36航空群」と意訳(MAG-36と略記されるようです)
  • "1st Marine Aircraft Wing"*3は「第1海兵航空団」と意訳(1st MAWと略されるようです)
  • "33rd Rescue Squadron"*4は「第33救難航空団」と意訳(こちらは海兵隊ではなく、米空軍の組織)

 ということで、米海兵隊のインシデントではありますが、救助には米空軍が、治療には米海軍が関与しているようです。
 

 MV-22に限らず航空機事故は起きてほしくないですが、地上での被害もなく全搭乗員が救助されたことは不幸中の幸いだったのではないでしょうか。搭乗員の容体についての詳細が発表されていないのは気がかりではあります。

 つい先日12/7にも米軍のF/A-18ホーネット戦闘攻撃機が高知沖に墜落し、9/22にはAV-8Bハリアー攻撃機が沖縄沖で墜落、春先の4/6には航空自衛隊のU-125飛行点検機が鹿児島で墜落し、残念ながら2016年は日本で軍用機の墜落が多かったような印象があります。それでも、それ以上に世界各地で民間機を含めて墜落事故が発生していることから、オスプレイが危険だとか、軍用機は危険だとかそういった心象にしか基づかない議論にあまり意味はないでしょう。極論すれば重力がある以上、空を飛んでいるものは何であれ落ちてくるのですから、いかにリスクを抑え、安全性を担保するかという観点が本質的に必要なのではないでしょうか。

 なお、MV-22は陸上自衛隊も取得することが決定しており、今回のインシデントの原因が操作ミスの類なのか、機体不具合なのか等についても調査結果を待った上で、必要に応じて策をとる必要があるかもしれませんね。
 



以上。