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レンズマウント交換式カメラがBMDから登場

 レンズ交換式のtypoではありません。レンズマウントが交換可能なカメラがBMD(Blackmagic Design)より発表されました。
Blackmagic Design: URSA Mini Pro


 日本語では「一眼レフ」や「ミラーレス」或いはそれらを総称して「一眼カメラ」と呼んでいますが、英語圏ではそれぞれSLR(Single Lens Reflex)、Mirrorless、ILC/ILSC(Interchangeable Lens Camera / Interchangeable Lens System Camera)と表現することが多いです。今回のカメラでは"Interchangeable Lens Mounts"が訴求されているのです!
 

URSA Mini Pro

 今回、BMDから発表されたURSA Mini Proは、"The world’s first digital film camera with professional broadcast camera features and controls!"と謳っています。「世界初のプロ向け放送局での使用に耐える機能と制御を備えたデジタルフィルム*1カメラ」といった感じでしょうか。

 4.6K映像が撮影可能で15stopのダイナミックレンジでNDフィルタ内蔵といった特徴もさることながら、レンズマウントが交換できるそうです。しかもメーカーや正規サービスディーラーで行う作業ではなく、ユーザが交換できるようです。HPより記載を引用すると以下の通り。

Interchangeable Lens Mounts
Compatible with EF, PL and B4 lenses!
 

Different projects require different lenses, which is why URSA Mini Pro features a new interchangeable lens mount! Imagine shooting regular work using a photography lens but then being able to change to a PL mount cinema lens if you get a high end film job. URSA Mini Pro makes that easy because you can quickly switch between EF, PL and B4 lenses, making it compatible with the widest possible range of professional lenses. That means you can work with high quality EF photographic lenses, large PL cinema lenses, and even B4 broadcast lenses, all with the same camera! URSA Mini Pro comes with an EF mount and you can purchase optional PL and B4 lens mounts separately. With URSA Mini Pro, you get a single camera that works with virtually all professional lenses so you can choose precisely the lens you need!

 適当に意訳すると、

交換可能レンズマウント
EF, PL, B4マウントのレンズと互換性有
 

異なるプロジェクトでは異なるレンズを求められるから、URSA Mini Proは新たに交換式レンズマウントを特徴として備えた。通常業務では写真用レンズを使いつつも、ハイエンドな映像収録業務を受注したらPLマウントのシネレンズに交換することができると考えてみてください。URSA Mini Proは幅広いプロ用レンズと互換性を持たせEF、PL、B4レンズを簡単に切り替えることができ、それを簡単に実現します。高品質なEFマウント写真用レンズや、PLマウントの大きなシネレンズ、放送局向けのB4マウントのレンズの全てが同じカメラで使えることを意味します。URSA Mini ProはEFマウントで出荷され、オプションのPLマウントとB4マウントは別売です。URSA Mini Proを使えば事実上全てのプロ向けレンズが使えるカメラが手に入り、必要なレンズを的確に選択することが可能になります。

 といった感じになります。

 なお、撮影機材を紹介している海外サイトNEWSSHOOTERによれば、Nikonマウント*2にも対応予定であることが記載されています。

The other big news is that the URSA Mini Pro has user swappable lens mounts. The camera will ship with a Canon EF mount, but you will have the choice of purchasing PL, B4, and for the first time a Nikon mount.

Blackmagic Design announces the URSA Mini Pro with built in ND filters and user changeable lens mounts

 1台のカメラでCanon EF、Arri PL、SONY B4(ENG)、Nikon F(予定)に対応すると。
 そんなことが技術的・特許等の知財的に可能なら、BMDのように映像収録が主眼のカメラメーカーだけではなく、静止画メインのカメラでも是非やってほしいものです。
 

米国価格

 なお、お値段は以下の通りとなっています(2016/3/4時点のBMD公式サイト掲載価格)。

製品 価格(米ドル) 備考
URSA Mini Pro 5995 USD カメラボディ本体
URSA Mini Pro PL Mount 245 USD -
URSA Mini Pro B4 Mount 385 USD -
URSA Mini Pro EF Mount 175 USD ※ボディに付属しているため、スペアとしてリストされている

 金額の数字だけ見れば結構高いボディですが、プロ機として考えればこれまでのBMD製品同様に破格の価格設定ではないでしょうか。また、交換マウントも現実的な価格設定で、技術的にできたからアピールのために製品化したけど歩留まり悪すぎ・生産コスト高すぎで実は売る気はありませんという感じでもなく、本気で使わせようとしていることが伺い知れます。
 これでBMDの言う通り放送局レベルの需要が満たせるのなら、池上通信機など民生機ではない機材メーカーには大きな脅威になる可能性が有りそうです。
 

競合機(?)の米国価格

 放送局向けの特機の価格はあまりオープンではないため、参考までに映像撮影に強い一眼カメラの価格をアメリカのカメラ販売店で調べてみると以下の通り(2016/3/4時点のB&H Photo Video掲載価格)。

Canon EOS 5D Mark IV
約3500USD
Sony Alpha a7R II
約3200USD(さらに300USDのリベート有)
Panasonic GH5
約2000USD

※いずれもボディのみ

 出荷時状態のEFマウントだけでいいなら普通に5Dmk4を購入した方が安価ですが、BMDの言うようにPLやB4マウントのレンズで撮影を行う必要性が生じる可能性が有るユーザーならURSA Mini Proも魅力的な選択肢でしょう。また、そもそもが静止画ではなく映像収録のためにデザインされたボディですから、映像撮影用途ではコントローラ類の操作性もURSA Mini Proの方が優れているでしょうし。

 一方でURSA Mini ProのセンサーはSuper35フォーマットの25.34x14.25mmであり、35mmフルフレーム(36x24mm)の5Dやα7より小さいため、写真用レンズを取りつけると画角が約1.4倍になってしまいます。これはAPS-C機に取り付けた場合の約1.5倍に近いクロップファクターになります。同じ写真用レンズを使う場合でも、写真用レンズ本来の画角で撮影したければ5Dやα7系を使う必要があるわけです。
 また、Super35フォーマットではアスペクト比16:9のため、静止画を得ようとしてもその比率になってしまいます。かと言って3:2や4:3にクロップするとさらに画角が狭まってしまうわけです。

 これらの事を考えると、静止画で使い慣れたレンズを使うなら、一眼カメラの方が違和感ないでしょうし、映像だけではなく静止画も撮るユーザなら一眼カメラの優位性も揺るがないのではないでしょうか。
 

 個人的にはURSA Mini Proほどの映像収録用カメラを使用する用途は無いと思いますが、BMDのように各社のレンズマウント縛りを越えられる静止画メインのカメラの登場には期待したいところです。各社のミラーレス向けマウントアダプタが多く流通していることからも、ユーザはマウントで縛られることを望んでいないのは明らかですし、どこかのメーカーが製品化しませんかね?
 レンズ交換式カメラがプロだけのものではなく、普通の家電量販店でも売られる身近なものになった以上は、X社のレンズはX社のカメラでしか使えないというのは、時代錯誤感を覚えます。もちろん技術的に簡単ではないことは解りますが、BMDは現実的な価格で実現できたわけですから、できない理由にはならないと思うのです。
 



以上。

*1:デジタルフィルムって何やねんという感じもしなくもありませんが、ここで言うフィルムは媒体の事ではなく映画や映像の意味でのフィルムです。

*2:Nikon Fマウントの事と思われる。