2017年6月17日に伊豆半島の石廊崎沖で、日本郵船が運行するフィリピン船籍の貨物船ACX CRYSTALと、米海軍のミサイル駆逐艦Fitz Gerald (DDG-62)の衝突事故が発生しました。
当時ニュースでも大きく取り上げられていましたが、その後の報道は少なくなっています。
(事実上の)当事者の日本郵船からはこれまでに4回プレスリリースが発表されています。これらのリリースは何れも、捜査に協力する旨と、亡くなられた方への追悼、負傷者への回復のお祈りといった内容に留まっています。
コンテナ船「ACX CRYSTAL」と米イージス艦「FITZGERALD」の衝突事故について|日本郵船
コンテナ船と米イージス艦の衝突事故について②|日本郵船
コンテナ船と米イージス艦の衝突事故について③|日本郵船
コンテナ船と米イージス艦の衝突事故について④|日本郵船
もう一方の当事者である米海軍からもリリースや画像が公表されていましたが、最近になって7月11に撮影されたと思われるFitz Geraldが横須賀のドライドック入りした際の画像が公開されましたので紹介します。
画像出典元
米海軍公式PHOTO GALLERYのパブリックドメイン画像を引用・加工(*)しています。
Navy.mil Photos -- Entire Collection
※Fitz Geraldで検索すると諸々出てきますが、dry dockも併せて指定すると今回の画像群に絞れます。
(*) 加工内容はクロップ、色・コントラスト補正、傾き補正、GIF化などで、損傷内容そのものを改変するような加工は行っていません。
7/11撮影とされる画像
Fitz Geraldのドライドック入りを支援するタグボート(YT-807)
修理と損傷の評価を継続するために(to continue repairs and assess damage)ドライドック入りするようです。
ドライドックの水が抜かれるFitz Gerald
ソースに詳細な説明は無いのですが、ドライドックの水が排水される前後と思われる画像をGIF化したもの。模型ではない船体の巨大なスクリューを目にする機会はなかなかありません。
喫水線上の損傷部分
こちらもソースに詳細な説明はありませんが、船体が大きく損傷を受けていることが判ります。別角度から撮影された同じ個所の損傷をGIF化しています。
喫水線上下の損傷部分
こちらも詳細な説明はありませんが、喫水線上部が損傷を受けただけではなく、喫水線下部も応急で補修されたようになっている箇所が小さくないことが判ります。
喫水線下の損傷部分
同じく詳細説明はありませんが、金属板とT型鋼のような材料で補修されたと思われる領域の大きさが、作業員と比較するとよく判ります。
別角度からの画像をGIF化したもの。ドライドック入りした当日にこのような補修箇所が見受けられ、しかも錆が発生しているように見えることから、衝突事故後かなり早期に水中溶接で応急処置が為されたのだと思われます。
水中溶接 - Wikipedia
過去画像との比較
米海軍が公開しているFitz Geraldの画像から、今回公開された画像に比較的近い構図のものを並べて比較してみました。
艦首付近
左が今回公開された画像で、右が2016年のメンテナンス時とされるもの。
右舷前方付近
こちらは上が2016年のメンテナンス時とされる画像で、下が今回公開されたもの。
6/17撮影とされる画像(参考)
衝突事故当日に横須賀へ曳航される途中の画像も以前から公開されていたようです。
事故原因は未だ判明していませんが、亡くなられた乗員の方々のご冥福をお祈りするとともに、負傷された乗員の方々のご回復をお祈り申し上げます。
以上。