Windows 10で利用しているCreative CloudにLightroom Classic CCと共にPhotoshop CCのUpdate通知が表示されました。
これまでのPhotoshop CC 2017のマイナーバージョンアップではなく、(内部的には)Photoshop CC 2018ということでメジャーアップデートという扱いになるようです。
インストール
メジャーバージョンアップということもあってか、既存バージョンを残したまま新規バージョンをインストールすることも可能になっています。
Creative Cloudの画面から[アップデート]を押した後、[詳細オプション]を押すと、以下の画面表示となります。
デフォルトでは「以前のバージョンを削除」にチェックが入っているので、チェックボックスを非選択状態にしてから[アップデート]を押すことで既存バージョンも維持できます。
なお、インストール後はプラグインが消えた状態となっています。以下の投稿と同様に、旧バージョンのプラグインディレクトリのファイル群をコピーしてくればPhotoshop CC 2018でも利用可能になるようです(Nik Collectionはこの方法で動作することを確認しました。)。
From/To | Directory |
---|---|
コピー元 | C:\Program Files\Adobe\Adobe Photoshop CC 2017\Plug-ins |
コピー先 | C:\Program Files\Adobe\Adobe Photoshop CC 2018\Plug-ins |
※ちなみに、ディレクトリ名は"Photoshop CC 2018"という表記が見られる稀有な事例
Photoshop CCをアップデートしたらプラグインが消えたので対策した(CC2017でも同様) - 記憶は人なり
更新後バージョン
システム情報ダイアログ
Photoshop起動後にシステム情報ダイアログで確認すると、
Adobe Photoshop バージョン : 19.0 20170929.r.165 2017/09/29: 1138933 x64
となっており、どこにもCC 2018表記はありません。参考までに、従来のPhotoshop CC 2017の最新版では以下のように、2017を含むバージョン表記でした。
Adobe Photoshop バージョン : 2017.1.1 20170425.r.252 2017/04/25:23:00:00 CL 1113967 x64
Aboutダイアログ
19.0リリースと表記されており、こちらにもCC 2018表記は見当たりません。
EXIF
Photoshop CC 2018で編集後に保存した画像ファイル中のEXIFを確認すると"Software", "History Software Agent"キーのメタデータがそれぞれ以下のように設定されています。
Key | Value |
---|---|
Software | Adobe Photoshop CC (Windows) |
History Software Agent | Adobe Photoshop CC (Windows), Adobe Photoshop CC (Windows) |
システム情報ダイアログと同じくEXIF中にも2018表記が見当たりません。さらに19.0という番号すらもありませんので、バージョンが判りません。こちらも参考までに従来のPhotoshop CC 2017の最新版では以下のような設定値でした。
Key | Value |
---|---|
Software | Adobe Photoshop CC 2017 (Windows) |
History Software Agent | Adobe Photoshop CC 2017 (Windows), Adobe Photoshop CC 2017 (Windows) |
これらのことからAdobe内部でのバージョニングポリシーが変わったのではないかと想像されます。かつてのWindows同様に年号表記(のようなバージョン表示)を廃止しようとしているのかもしれません。
更新内容
英語になりますが、以下のURLに比較的細かく新機能の記載が掲載されています。
Adobe Announces New Features for Photoshop CC 2018 « Julieanne Kost's Blog
数が多いため、全てを試してみたわけではありませんが個人的に目に付いたところでは、HEIFがサポートされたと記載があります。しかも深度画像付きのHEIFにも対応し、スマートフォンで流行りの一眼もどきのボケ生成にも対応している旨記載されています。
High Efficiency Image Format (HEIF)
Photoshop now supports Apple’s High Efficiency Image Format (HEIF). If the HEIF file contains a depth map, Photoshop can read, edit, and utilize the depth map (an alpha channel) to create a depth-of-field effect using the Lens Blur filter (Filter > Blur > Lens Blur (for example). Note: Adding contrast to the alpha channel can improve the alpha channel for the Lens Blur effect.
HEIFサポート?
ファイルオープンダイアログにも保存ダイアログにも、HEIF(*.heic)の選択肢は見当たりません。
HEIFファイルをPhotoshop CC 2018にドラッグ&ドロップしてみると以下のダイアログが表示され、対応してなさそうに見えます。
※ちなみに、このダイアログのウインドウタイトルも"Photoshop CC 2018"という表記が見られる稀有な事例
調べてみると、どうやらHEIFがサポートされたのはmacOS版のPhotoshop CC 2018のみで、Windowsプラットフォームではサポートされていないような書き込みが公式フォーラムで見つかりました。
HEIF / .HEIC File Support in Photoshop? | Adobe Community
このフォーラムでAdobe社員による以下の書き込みがあります。HEICのライセンス制約上、macOSが提供する機能を使っているだけと言う旨の主張のようで、だからWindows版ではHEIFはサポートされていないようです。
Yes, the import uses macOS support as there are license restrictions with HEIC. Photoshop support is only leveraging what the OS provides, and then allowing users to see depth data in the channel information.
これについて「何のために金を払っていると思っているんだ」的にブチ切れている一般ユーザや、「HEIFとJPEGの変換ツールだってオンラインに転がってるのにAdobeに出来ないわけないだろ」といった一般ユーザの書き込みも見当たります。が、先の社員氏は以下のように、ライセンス費用の高額さを理由に挙げています。
The license restrictions on the HEIC format make it expensive.
なお、HEIFのライセンスと言っているのは、正確にはHEVC(H.265)のライセンスの事だと思われます(HEIF自体はISOで標準化もされた単なるコンテナでしかないので)。
蛇足になりますが、Adobeですら提供できないような高額なライセンス費用となるのであれば、多くの一般企業や個人開発者がうかつにHEIF*1対応に手を出すのはかなり危険そうな雰囲気がします。macOSやiOSならOSの提供するAPIを呼び出しているだけ*2という体裁で、HEIFサポートがしやすいのかもしれませんが、この有様ではHEIFはApple周りでしか普及し無さそうですね。
閑話休題。