BUFFALOのLinkStation LS-WX2.0TL/R1という1TBのHDDを2台搭載したNASを譲り受けました。
RAID0 or RAID1に対応し、RAID0なら2TB、RAID1なら1TBのストレージとして利用可能です。
丁度、私の環境で利用しているNASの容量が尽きることもあり、譲り受けたNASのHDDを換装し3TB×2でRAID1を構成したいと思います。
LS-WXシリーズのHDD容量アップを検討している方には参考になるのではないかと思われますが、データ損失やハードウェア不具合などが生じても著者は一切責任とれませんので、挑戦は自己責任でお願いします。
換装用HDD調達
メーカーの選定
今現在HDDを製造しているメーカーはSeagate, Toshiba, Western Digitalの3社のみ。
(個人的にはMAXTORとかHITACHIが好きだったのだけど、もう無いのだから仕方ない。)
軽く調べてみると、Seagateの3TB(ST3000DM001)は故障率が異常に高いという説が各所で見られたので、ToshibaかWDにすることにした。
NAS用を謳うWD Redシリーズが今回の用途ではベストだと思うのだが、少し高価なので、WD Green/Blue辺りに目星を付ける。
ベアドライブか外付けHDDか
必要なのはベアドライブであるが、LinkStationから取り外す2台のHDDを外付けHDDとして再利用するためにHDDケースも欲しい。
価格次第ではケースを転用する目的で外付けHDDも見当の俎上に上がってくる。
要は、ベアドライブ×2+ケース×2もしくは外付けHDD×2のどちらが安いか次第である。
最終的に調達したもの
上記のような検討を踏まえ、LogitecのUSB3.0の外付けHDDであるLHD-EN3000U3WSを2台購入。
理由として他社の外付けHDDでは採用ドライブが公表されておらず、ロットによってSeagateだったりWDだったりするなど博打状態。
Logitecの上記モデルに関してはWD製HDD採用とメーカーが明示しており、かつケースを別個に購入するより安価であったため。
購入後、PCにUSB接続し正常に認識されることと、Crystal Disk Infoで異常値が検出されないことを以て動作確認とし、バラした*1。
中にはWD GreenシリーズのWD30EZRXが入っていた。
蛇足であるが、このLogitecのケースはネジが使われておらず、ツメだけで固定されている構造である。
故にマイナスドライバーなどを突っ込んで開けることになるが、相当器用な人でなければケースに多少の傷がついてしまうのが残念である。
(なお、USB3.0-SATA変換基盤にHDDケース外部からはアクセスできない謎のmicroSDスロットと思しきスロットが搭載されていたりして興味深い。)
LinkStation事前準備
ファームウェアの最新化(を試みたら何故かできない)
ファームウェアが最新ではなかったので、Web管理画面から最新のバージョン1.71へ更新を試みた。
すると、更新完了の旨が異常に速く表示されるのだが、実際には更新されていない。
LinkStationを再起動したり、別の端末から試行しても同様の状態で、何かおかしい感じがする。
LinkStationの初期化(を試みたらアクセスできなくなった)
とりあえず初期化を試みるべく、LinkStationのディスク完全フォーマットをWeb管理画面から実行。
その結果、LinkStation本体のFUNCTION LEDが常時赤点灯状態となり、Web管理画面からアクセス出来なくなった。
NAS Navigatorの導入
メーカーサイトを調べてみたが、FUNCTION LEDが常時赤点灯状態というのは説明が無く、何が起きてるのかさっぱり解らない。
BUFFALOの提供するNAS NavigatorというツールをPCに導入し状態を確認してみると、ファームウェアをアップデートするかBUFFALOサポートに連絡しろという趣旨の表示がされる。
そしてEMモードという状態になっていることが解った。
PCからファームウェアアップデート
検索してみると、どうやらファームウェアが壊れた状態らしいので、(既にアクセスできない状態のWeb管理画面からではなく)PCで実行するファームウェアアップデータを実行する。
が、ディスクがフォーマットされていない旨のエラーダイアログが表示されてアップデートできない。
色々ググったところ、アップデートツールに含まれるLSUpdater.iniの
NoFormatting = 1
を
NoFormatting = 0
に書き換えると、初期化したうえでファームウェアのアップデートが実行できるらしいことが解ったので、それで再試行したところエラーダイアログの代わりにフォーマット確認ダイアログに変わった。
そして、無事LinkStationのファームウェアが最新化され、正常に起動するようになった。
換装云々以前に、単にファームウェアを更新しようとしただけでこんな事態に陥るとは想定外*2である。
HDD換装からRAID再構築完了まで
この類のNASはファームウェア(というか、Linux系OS)をHDDに記録しているものが多いようで、ファームウェアが書き込まれたHDDが無いと起動しない。
故に、通常はファームウェアが記録されている既存HDDを1台残し、もう1台を入れ替えた状態で起動させ、入れ替えたHDDにファームウェアを書き込ませる。
その後に既存HDDも入れ替えて、先に入れ替えたHDDに書き込まれたファームウェアで起動させ、後に入れ替えたHDDにもファームウェアを書き込む。
というような手順を踏むことになる。
であるが、前述の通りHDDを換装する前に、不本意にもファームウェアが壊れた事態を経験した。
この経験を通じ、書き換えたLSUpdater.iniがあればPCからファームウェアを書き込めることが解ったので、2台のHDDを一度に交換してもPCからファームウェアを書き込めるのではないかと推測した。
結果的には失敗したのだが、何かの参考のために失敗手順も記載しておく。
一度に2台のHDDを交換し、ファームウェアを書き込む作戦(失敗)
- LinkStationに装着されている既存のHDDを2台とも取り外し、新たに調達した3TBのHDDを2台投入
- 電源投入
- PCから書き換えたLSUpdater.iniでファームウェアアップデータを実行
- エラー発生(ACP_STATE_FAILURE)
1台ずつHDDを入れ替えてファームウェアを書き込む作戦(成功)
- LinkStationに1台は既存のHDD、もう1台に新規HDDを取り付け
- 電源投入
- Web管理画面で既存HDD及び新規HDDが認識されていることを確認
- Web管理画面からエラー状態になっているRAIDアレイを削除
- 今回は既存データは無いので問題ないが、データを維持したまま作業を継続できない点に注意が必要。
- Web管理画面から新規HDDをフォーマット
- フォーマット後に約33MBの領域が使用されていることから、純粋なフォーマットだけではなく、ファームウェアも書き込まれたと想定される。
- Web管理画面から既存HDDを取り外し
- シャットダウン
- 既存HDDを物理的に取り外し、新規HDDを取り付け
- 電源投入
- Web管理画面からHDDが認識されていることを確認
- Web管理画面から新規HDD(2台目)をフォーマット
- RAIDアレイを作成
- RAIDアレイのチェック完了を待つ
- 986.3分=16時間以上掛かる表示であるが、実際にその位掛かった。
- 完了
- RAID1の3TBのNASの出来上がり。
換装前の謎のファームウェアぶっ壊れ事象のせいで大分面倒なことになりましたが、いろいろな方々の記事をありがたく参考にさせていただき無事に復旧できました。
メーカーのFAQが役に立たない一方で、LinkStation自体はメンテナビリティの高い筐体設計となっており、ドライバすら不要でフロントパネルの取り外しや、HDDの取り付け/取り外しが容易に行えます。
ソフトウェア的な問題(というかファームウェアの問題)に直面しなければ、比較的難易度の低い作業だけで大容量化が図れるのはいいですね。