私用で電圧を測りたい用途があるため、適当なテスタが必要になりました。
秋月で探すとZhangzhou WeiHua Electronic Co., Ltd.のDT-830Lというデジタルマルチテスターが最も安価なようで、記載時点で700円となっています。
デジタルマルチテスター DT−830L マニュアルレンジ: 測定器・計測器関連 秋月電子通商 電子部品 ネット通販
近日秋葉原まで行く予定が無かったためAmazonで探してみると、「ミニデジタルテスター(MINI DIGITAL TESTER)小型デジタルテスター」が最も安価なようです。複数の業者が扱っており、価格変動もあるようですが概ね500円前後のようです。
ミニデジタルテスター(MINI DIGITAL TESTER)小型デジタルテスター
- 出版社/メーカー: ファントム
- メディア: その他
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ということで、Amazonで購入したテスタがどんなシロモノか軽く紹介します。
パッケージ
Amazonの販売ページのようにテスタというよりは、パッケージのようにDMM(Digital Multi Meter)という表記の方が適切に製品を表しています。
なお、販売ページには製造元メーカーや型番の記載が見当たりませんでした。パッケージにも製造元の記載は見当たりませんが、"830 series"の表示があります。また、箱の表裏で黄色と黒筐体の2種類が印刷されていますが、現物は黒です。
本体
シュリンクラップで包まれていましたが、何か埃っぽいものも一緒に包まれています。筐体は値段相応のプラスチッキーな素材でできており、DT-830Bという型番らしき表示も確認できます。
裏面には警告表示が刻印されています。
WARNING
TO AVOID ELECTRICAL SHOCK, REMOVE INPUTS BEFORE OPENING CASE.
TO PREVENT FIRE, INSTALL FUSE WITH AMP/VOLT RATING SHOWN: F0.5A/250V
POWER SUPPLY: 9V.ONE BATTERY
BATTERY TYPE: NEDA 1604 6F22
適当に意訳すると、概ね以下の通り。
- 電気ショックを避けるため、ケースを開ける前に入力を外してください。
- 発火を避けるため、0.5A/250Vのヒューズを装着してください。
- 電源: 9V電池(1個)
- 電池種類: NEDA 1604 6F22(所謂四角い電池)
ヒューズを取り付けろということは、出荷時には付いてないってことでしょうか。Amazonのレビュー欄にはヒューズ付きという書き込みと、付いてないという書き込みの両方が見当たりますが、私に届いた個体には付いていないようです(後述)。
また、この警告表示の下の細長い長方形の空白欄がありますが、製造番号シールなどを貼る位置にも思えますが、何もありません。値段が値段だけに、そのような管理はしていないのでしょうね。
内部
Amazonの販売ページには「使用電池:9V角型電池×1個(テスト用付属)」と記載されているのですが、完全に見落としており電池は別売りだと思っていたので電池装着のために裏蓋を開けました。普通の+ネジ2本で固定されているだけで、簡単に開きます。
内部にも埃っぽいチリが混入しています。安いとはいえ、どんな劣悪な環境で製造しているのでしょうか。
そして確かに電池は付いているのですが、液漏れでもしたのか露骨に錆びて腐食しているのが目に付きます。
幸い、ケースや基板に腐食は及んでいないようなので、あらかじめ用意していたダイソーのバッテリに交換します。指定された6F22ではなく6LR61ですがマンガンかアルカリかの違いなので、実用上は問題無いと思います*1。
基板
基板中央左側の三角形とFUSE1のシルク印刷がある付近の2つの四角い端子にヒューズのソケットが付きそうな気もしますが、ソケットは付いていません。そもそもこの2端子間にも配線パターンが見えているため、ここにヒューズを付けても無意味なように見えます。
或いは、左上の基盤固定ネジの下のFUSE 1A表記のある端子にリード付きヒューズを付けたとしても、先述の三角形のシルク印刷のあるパターンと並列になり安全対策としてのヒューズとして機能しなさそうです。ヒューズを付けたければパターンカットしろということなのでしょうか?(現にヒューズを取り付けずとも動作していますから、パターンカットが必要、或いは見えない位置に実はヒューズが付いているということなのでしょうか?)
なお、基板上部の黒く封印された部分にDMMの機能を司る主ICがあるようです。
基板下部にはRCU 0.01とリビジョン或いはバージョン表記と思われるシルク印刷も見当たります。
液晶
普通の反射型液晶のようで、特に見づらいとか見やすいといった事はなく、至って普通です。
入力端子部
ソケット側かプラグ側かどちらの問題か判りませんが、差し込みが硬いものの普通に動作しています。Amazonのレビュー欄をみるとこのテスタリードの接続部は壊れやすいようなので、挿しっ放しにしようと思います。なお、各端子にはFUSED/UNFUSEDの表記がありますが、先述の通り実態はどちらもUNFUSEDだと思われます。
また、このDMMには値段に見合わず電圧・電流・抵抗測定だけではなく、トランジスタのhFE測定機能まで備わっていますが、PNP側のコレクタ(C)端子挿入部はプラスチック形成のバリが盛大に残っています。
まとめ
マイコン回りなど低圧・低電流の電子工作系用途では実害はほぼ無いと思います*2が、ヒューズ周りの怪しさは気になるところです。計測対象によっては意図せぬ過大電流が流れて、ヒューズが無いために発火・炎上する事故に至る可能性も否定できないでしょう。
それでも型番らしきDT-830Bで検索すると、複数のバリエーションの基板画像が見つかります。基盤がまるで違うものや、ヒューズが付いているものもありますし、全てのDT-830Bが粗悪品というわけでも無さそうです。
当たり外れのリスクや、電池交換やヒューズの取り付けを前提とするなら秋月のDT-830L*3と事実上価格差は無いようなもので、実店舗まで行けるなら秋月で購入した方が安心感はあるのではないでしょうか。或いは多少値段は上がっても、まともなメーカーの製品を利用するのが安心でしょうね。
OHM(オーム電機) デジタルマルチテスター TDB-401 (04-1891)
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以上。