YI M1の画像外周部がおかしい

 中華マイクロフォーサーズのYI M1ですが、操作性に不満はあるもののキーデバイスであるイメージセンサはSONY IMX269であることから、マイクロフォーサーズ最高峰の高解像度画像をまともな画質で得ることができます。

 ちなみに、国内マイクロフォーサーズ陣営で20MPクラスのセンサを搭載しているのはOlympusならOM-D E-M1 Mark IIとPEN F、PanasonicならGX8と発売になったばかりのGH5の4モデルしかありません。そしてそのいずれもSONY製センサと見られているようです。
 ところで、この4モデルの記録画素数は共通して5184x3888 pixelとなっていますが、YI M1は5200x3902 pixelで長辺が16ピクセル、短辺が14ピクセル多いのです。

 YI M1も含めた5モデルが仮に同一センサ(或いはIMX269をベースに多少のカスタマイズが施されたセンサ)であるならば、ピクセル数の差異は奇妙です。
 ちなみに以下のSONYのサイトで外販センサを探せますが、Image Sizeを"4/3rds"にして絞り込むと、20MPセンサはIMX269しか出てきません(他に16MPのIMX159がある)。
Products Line up for Camera Image Sensor for Camera | Sony Semiconductor Solutions Corporation

 画素が多い分には困らないので特に気にしていなかったのですが、画像を検査していたら悲惨なことに気付きました。
 

YI M1の撮影画像

 例として、LightroomでYI M1のRAW(DNG)データをストレート現像した画像(を掲載用にリサイズした画像)を掲載します。
YI M1撮影サンプル
(ISO:200, F5.6, 5s, M.Zuiko digital 45mm F1.8)

 (ホワイトバランスが怪しいですが、)普通に撮れています。

 (AFがあまり賢くない点とMFピーキングが頼りないことは別にして、)ピントを合わせることさえできれば、ピクセル等倍でクロップしても20MPセンサらしく十分に解像していることが判ります。
YI M1ピクセル等倍クロップ
 

画像外周部

 上に掲載したような小さいサイズにリサイズしてしまえば気付きませんが、ピクセル等倍で見ると外周部の画像がおかしいのです。具体的に測定してみたところ、左右各10ピクセル、上下各12ピクセルが壊れているようです(掲載したサンプルに限らず、YI M1で撮影した全ての画像で同様)。
 損傷具合が解りやすいように、画像をイコライズしたうえ四隅を400%に拡大してクロップした画像が以下になります。
YI M1 broken pixels of edges

 DNGファイルには5200x3902pixelの情報が記録されていますが、この損傷したかのように見える外周部を除くと5176x3882pixelしか有効画素数は無いようです。なお、Lightroomの対応カメラにYI M1は掲載されていませんので、Lightroom側の問題という可能性も無くはありません(とは言えAdobeが標準化したDNGファイルなので扱うことはできるがサポートはしないという状態)。

 ExiftoolでYI M1で生成されたDNGのメタデータを確認すると、5200x3902と5184x3888の2つの画素数が混在しており、矛盾しているように見えます。せめてDefault Crop Sizeが"5184 3888"なら言いたいことは理解できるのですけど。

Image Width                     : 5200
Image Height                    : 3902
Rows Per Strip                  : 3902
Default Crop Size               : 5200 3902
Exif Image Width                : 5184
Exif Image Height               : 3888
Original Default Final Size     : 5200 3902
Original Best Quality Size      : 5200 3902
Original Default Crop Size      : 5200 3902
Image Size                      : 5200x3902

 

対応方法

 YI M1側でFirmware UpdateでDNGファイル内が適正化されるか、LightroomがYI M1をサポートするまで、外周部の壊れた領域を取り除くべくユーザ側で適当にクロップする必要があります。
 (レンズディストーション補正等を行わずに)ピクセル位置が変わらない現像パラメータであるならば、出力画像にImagemagickで-crop 5176x3882+10+12でクロップすれば綺麗に除去可能です。
 

雑感

 賢くないAFと、良くない操作性と、動画撮影時にパラメータを設定できないことに加え、画像外周部の損傷という問題からお勧めできません。国内メーカの製品品質が当然だと思っているユーザが購入すると、落胆又は憤怒することになると思います。
 ですが、国内メーカの半額以下で入手可能な20MP機という意味では存在意義のある製品だと思います。ファームウェアアップデートでどこまで進化するかに期待していますが、ファームウェアのリリースサイクルは遅そうです。
 いつか国内メーカ並みの製品品質までキャッチアップする日が来るなら、その時は国内メーカにとって大きな脅威となるでしょうね。

(2017/11/14追記ここから)
 2017/10/30リリースのFirmware V3.0-intで(Release Noteには記載はありませんが)人知れず修正されたようです。
(2017/11/14追記ここまで)
 



以上。