上海問屋のWindowsHello対応指紋リーダーを買った

 指紋認証に対応したノートPCやスマートフォンを使用していると、そうではないPCを使用する際のWindowsログオン時のパスワード入力に煩わしさを感じます。
 そのちょとの煩わしさを解消するために、上海問屋Windows Hello対応 USB指紋認証リーダー DN-915231を購入しました。
 

パッケージ

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 上海問屋は主に中華系商品を扱っていますが、基本的には製造メーカーではなく、買い付けた商品を上海問屋ブランドで販売している販社です。
 パッケージには元の製造メーカーと思われる、中国深センのBornd Technology LTDの名前が刻印されており、DN-915231ではなくCF-D02という型番も確認できます。
 JANコード上部には"915231 DN-Fingerprint dongle CF-D02"の文字列が確認でき、JANコードは4548804152311と4始まりのため日本企業の製品を意味しています。GS1事業者コードを調べると、4548804はドスパラ上海問屋を手掛ける(株)サードウェーブで登録されているため、CF-D02はBorndの内部型番を意味し、この商品は上海問屋(というかサードウェーブ系の)専売商品と思われます。

 他にもパッケージ裏面にはSpecificationとして、以下の事項が訴求されています。

  • Design for Windows 7/8/10 hello
  • 360° non-directional access
  • Access within 0.05Sec
  • Handy and secured file encryption
  • Living identification for false finger mode prevention
  • Login more than 112 World Well-known website

 ざっくりと意訳すると、以下のような感じになるはずです。

  • Windows 7/8/10で使用可
  • 360度どの向きでも使用可
  • 0.05秒以内で認識
  • 小型でセキュアなファイル暗号化 (訳注: 何を指しているのか不明)
  • 偽の指模型対策の生体識別 (訳注: modeではなくmodelのtypoだと仮定して意訳、そしてこの場合forではなくagainstの方が適切)
  • 世界でよく知られた112以上のウェブサイトにログイン可 (訳注: 何を指しているのか不明)

 何を指しているのか不明と書いた機能は、追加でユーティリティソフト等をインストールすると可能になるのかもしれません。(末尾に追記有)
 

装着例

 指紋認証機能のないLet'snote CF-NX3に装着したところ以下のようになりました。
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 上の画像ではいい感じに見えますが、角度を変えて見ると…結構な凸です。指紋センサーを収めた黒い樹脂部分が出っ張るのは致し方ありませんが、USB端子外側の金属部分がPCからはみ出しているのは解せません。
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 もしかすると無駄に出っ張るのはPCのせいかもしれないと思い、念のためPCを変えてLet'snote CF-AX3に装着したところ以下のようになりました。
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 やはりCF-NX3と同様に無駄に出っ張っています。

 机の上に置きっぱなしのノートPCなら特に気にならないかと思いますが、ノートPCを持ち運ぶような場合には、注意が必要かもしれません。具体的にはジャストフィットなサイズ感のインナーケースなどではケースが閉まらないとか、ぶつけた衝撃でUSBポートごと破損させてしまうとかそういった事態です。
 

使用

 Windows 10ではUSBポートに取り付けると自動でドライバがインストールされます。中華系ノーブランド製品に添付されたドライバをインストールする場合には、セキュリティ的に不安を覚えるかもしれませんが、Windowsが自動インストールするドライバ*1ならその点の不安は特に感じません。
 後は、指紋リーダー内蔵PCと同様にWindows Helloの設定で指紋とPINを登録すればログオンに使用可能です。

 デバイスマネージャからは以下のように、"Elan Smart-id Fingerprint"として認識されています。
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 自動インストールされたドライバはELAN Finger PrintやELAN Microelectronics Corpがプロバイダーとして表示されています。
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 ELAN Microelectronicsは半導体商社の丸文によれば、1994年設立の台湾のファブレス企業のようで、カタカナ表記はエラン*2になるようです。
エラン マイクロエレクトロニクス 取扱メーカー|丸文
 ELANのウェブサイトを見ると、指紋リーダー以外に主にタッチパッドやタッチスクリーンを手掛けている企業のようです。
ELAN Microelectronics Corp.
 軽く検索した限りでも、DELL, VAIO, ASUSといったPC各社の製品で採用されていた実績があるようですので、(個人的には知らないベンダだったのですが)安心して使えると思います。
 

まとめ

 この指紋リーダーは、台湾のELAN Microelectronicsの指紋センサーを、中国深センのBornd Technologyが指紋リーダーに組み込んで、日本の(株)サードウェーブ傘下の上海問屋が販売している製品ということになるのでしょう。

 変な角度だと認識しなかったり、理由は不明ながら何度も認識失敗を繰り返すことも稀にありましたが、個人的には概ね良好な使用感で実用には十分です。
 個人的にPCではSONY時代のVAIO, Thinkpad, LIFEBOOKなどの指紋リーダー搭載機を使ったことがありますが、それらの内蔵指紋センサの方が認識成功率は僅かに高いような気がしないでもありません。とはいえ、前述のようにELANの指紋センサ自体はPC大手メーカー各社での採用実績があるものです。指紋リーダが内蔵されている場合にはPCのキーボード面にセンサがあるため、PC側面のUSBポートに装着した場合とは指をあてる角度や方向が異なるため、こういった条件が認識精度の違いにつながっているのかもしれません。

 なお、購入前には以下のような製品と比べましたが、Windows Helloでのログオンで使うにあたって大した違いはないだろうと思い、安かった上海問屋の本製品を選択しました。

 上海問屋のノーブランド的商品ではありますが、前述のとおり素性は怪しいものではなさそうですので、出っ張りが気にならない方にはお勧めできると思います*3
 

(追記)SmartIDソフトウェア

 ファイル暗号化やWebサイトへのログイン機能などがパッケージに書かれているものの、何のことか不明と上記に記載しましたが、SmartIDというソフトウェアを導入すると使えるようです。
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 パッケージ内にはペラ紙1枚のマニュアルが入っているのですが、"Data Encryption & Fingerprint System Unlock Login"の下にhttp://www.comater.com/からダウンロードするよう書かれていました。
 ちなみにこのサイトにアクセスするとブラウザのタイトルバーに"comater.com,u90318.iyz168.com"と表示されます。なんじゃこりゃと思ってnslookupしてみると、

$ nslookup www.comater.com 8.8.8.8
Server:         8.8.8.8
Address:        8.8.8.8#53

Non-authoritative answer:
www.comater.com canonical name = u90318.iyz168.com.
u90318.iyz168.com       canonical name = hwei.iyz168.com.
hwei.iyz168.com canonical name = hwei.yz168.cc.
hwei.yz168.cc   canonical name = hk.yz168.cc.
hk.yz168.cc     canonical name = cdn-yz20.72dns.net.
Name:   cdn-yz20.72dns.net
Address: 119.28.86.224

 www.comater.comはCNAMEレコードでu90318.iyz168.comに向けられているようです。さらにそのURLも再帰的にCNAMEレコードで別のURLに振り向けられており、最終的にはどこかのCDNに間借りしてるようです。
 それはさておき、サイト右上のリンクからダウンロードページに遷移するようになっているのですが、ファイル名が"SmaetID软件使用说明书(中英文)"と表示されていたり(注: Smartのスペルがおかしい)、累計ダウンロード回数と思われるDownloadsが40回しかなかったり(注: 少なすぎる)と、個人的には怪しさを感じた*4ので私はダウンロードもインストールもしていません。
 



以上。

*1:Windows自体に同梱のドライバや、WindowsUpdate経由で取り込まれるドライバなどMicrosoftのチェックが入っているドライバ

*2:個人的には「イーラン」かと思ったのですが。

*3:各社の製品の出っ張り具合については購入前の比較手段が無さそうなので、実際に複数買ってみないと判らないと思いますが…

*4:あくまでも個人の主観であり、実際には安全なソフトウェアなのかもしれません。