Adobe Lightroom Classic 7.1がリリースされた

 前回の7.0.1のアップデート時と同様にポップアップ表示がなかったため気付くのが遅れましたが、Creative CloudにUpdate通知が出ているのに気づきました。
 2017/12/11にLightroom Classic及びCamera RawのUpdateがリリースされていたようです*1
Lightroom Classic 7.1 Update Notify
 

 Creative Cloudの[新着情報]ボタンを押して遷移する先は以下のページとなっています。
New features | Adobe Photoshop Lightroom Classic CC
 上記ページには簡潔な説明しかありませんが、以下の通り"Adobe Sensei"が採用された事が明記されています。近年のAdobeの開発者イベントで散々見せびらかされてきた「アドビ先生」がついに実製品にも導入されたことになります!

Auto
Start your edits with Auto, which uses Adobe Sensei technology to intelligently apply adjustments based on a photo's light and color characteristics.

 ただ、この説明だけでは具体的に何の機能にAdobe Senseiが導入されたのかよく判りませんので、詳細は後述します。
 

更新後バージョン

 Aboutダイアログやシステム情報ダイアログを確認すると、バージョン表記が7.1となっていることが判ります。
Adobe Lightroom Classic 7.1
Adobe Lightroom Classic 7.1システム情報ダイアログ

Lightroom Classic バージョン: 7.1 [ 1148620 ]

 

メタデータ

 EXIF中の"Software", "Creator Tool", "History Software Agent"の3つのキー項目に記録されるメタデータは、前回の7.0.1では7.0表記のままでしたが今回は7.1表記に変更されています。

Adobe Photoshop Lightroom Classic 7.1 (Windows)

 

更新内容

 Update後の初回起動時には更新内容を簡潔に通知する以下の表示が現れます。
Adobe Lightroom Classic 7.1初回起動時

 もう少し詳しい内容は英語ではAdobe公式の以下のページに情報が記載されています。
New features summary for the October 2017 and later releases of Lightroom Classic CC
 なお、日本語でも同内容がAdobe公式の以下のページに情報が記載されていますが、"Adobe Sensei"の記述は「アドビ先生」にローカライズされることも無く、"Adobe Sensei"のままです。
Lightroom Classic CC の 2017 年 10 月以降のリリースでの新機能の概要

 より詳細な情報は、いつも通りLightroom Journalに掲載されています。
Announcing the December Update to Lightroom
 

機能追加

 上記のソースを総合すると、ざっくりと以下のような事が表明されています。

  • "Adobe Sensei"の採用で「自動補正」機能を改善
    • [露光量]、[コントラスト]、[ハイライト]、[シャドウ]、[白レベル]、[黒レベル]、[自然な彩度]、[彩度]の各パラメータの自動補正アルゴリズムAdobe Senseiを利用したものに変わった
      • [自動補正]ボタンを押さなければ自分の意に反して勝手に補正されることは無い
    • クロップ後の画像に対しての「自動補正」も可能になった*2
  • カラー範囲マスクの個々のサンプルを削除
  • Nikon D850のテザー撮影に対応

 

バグフィクス

 以下の6件が修正されたようです。私が踏んで困っているバグでは無いので改善内容は評価しかねます。

  • Capture date/time under thumbnails versus the value displayed in Edit capture time are different
  • Book Module pagination is off when printing to Blurb/PDF
  • Count for People with Face Tag gets truncated when it reaches greater than 1000 (Windows-only)
  • 'Leave As Is' when importing as 'Copy as DNG' is not case-sensitive
  • Export with 'Add to Catalog Option' duplicates images in catalogs
  • When exporting images with 'Add to Stack' checked, only one image file can be stacked with the original

 

新たにサポートされたカメラとレンズ

 以下のページに記載されています。順当に直近で発売になったカメラとスマートフォンへの対応が目立ちます。
Cameras supported by Camera Raw
Supported lenses

 

Adobe Senseiが導入された自動補正の威力

 今回のUpdateの目玉はAdobe Senseiの導入だと思いますが、その実力はどんなものか気になります。フォトグラファーも機械学習の恩恵を受けて楽できるようになるのでしょうか。
 自動補正ボタンは前述の通り階調系のパラメータと彩度のパラメータだけを自動調整してくれます。ということで、露出と発色がいまいちな画像*3で試してみました。

f:id:kachine:20171218121650j:plain
 さて、上記A~Dではどの画像が一番良さそうに見えるでしょうか?

 それぞれの画像の生成方法は以下の通りです。

画像A
RAWをストレート現像
f:id:kachine:20171218122623j:plain
曇り空とは言え画面内では相対的に明るく水面のキラキラした反射もあり、空が白飛びしないために船体が暗く写っているような一枚。
画像B
RAWを手動で調整して現像
f:id:kachine:20171218122644j:plain
空を飛ばさず、船体を明るく、それでいて変にHDRチックにならないように抑えつつ、色もなるべく自然に調整。
画像C
RAWにAdobe Senseiを利用した「自動補正」だけを適用して現像
f:id:kachine:20171218122706j:plain
全体的に明るくなっていますが、私の手動調整よりコントラストが高い分、船体が暗くなっているし、船上の水兵の白色の制服で青系の色被りが顕著。
画像D
RAWにホワイトバランス「自動」とAdobe Senseiを利用した「自動補正」を適用して現像
f:id:kachine:20171218122723j:plain
夕方みたいになったが、実際の撮影時間は午前です。

 CまたはDが良いと思った方、おめでとうございます。今後は面倒な画像補正はLightroomに任せられます。
 残念ながら主観では自分で現像したBが当然ながら最も私好みですので、機械任せで楽をすることはできません。故に、今後も私は手動で補正すると思います。

 なお、画像C、Dの自動補正結果は以下のようなパラメータ設定となっていました。

画像C現像パラメータ
Image sample C parameters
画像D現像パラメータ
Image sample D parameters

 今回検証したのはこの1画像だけなので、他の画像ではまた異なった評価となる可能性ももちろんありますが、まだまだ機械にこの分野の仕事を奪われることは無さそうに思えます。
 



以上。

*1:Creative Cloudのウインドウ上にはLightroomのバージョン表記が見当たりませんが、後述の通り今回のUpdateは7.1になるようです。また、Camera Rawは10.1になるようです。

*2:従来からクロップ後でも自動補正は可能だったが、クロップ後の領域についてのみ解析して自動補正するようにアルゴリズムが修正されたという意味だと思われる。

*3:親善訪問に訪れたニュージーランド海軍フリゲート艦Te Kaha(F77)と海上保安庁すずかぜ型巡視艇ゆめかぜ(CL-34)を東京湾で捉えた画像。