HEIF(HEVC image)検証#7
下記投稿からの続きです。
HEIF(HEVC image)検証#1 - 記憶は人なり
HEIF(HEVC image)検証#2 - 記憶は人なり
HEIF(HEVC image)検証#3 - 記憶は人なり
HEIF(HEVC image)検証#4 - 記憶は人なり
HEIF(HEVC image)検証#5 - 記憶は人なり
HEIF(HEVC image)検証#6 - 記憶は人なり
検証結果まとめ
- スクリーンショットのように単色背景にテキストが乗っているような画像に対してはHEVCはJPEGより優れる(JPEGと同等の差分量でファイルサイズはより小さい)
- オリジナルとの差分を定量的に比較すると、普通の写真ではどのような被写体であってもJPEGより劣る(同一ファイルサイズならJPEGの方が差分は少ない)
- 差分はCRF値に関わらずエッジ部分に明確に出現し、CRF値が大きくなるにつれて類似する階調を省くような挙動が強くなる傾向がある
- CRF値が大きくなるにつれ出来の悪いノイズリダクションを強烈にかけたような画像となり、加えてブロックノイズも強烈になり高解像度である意味が無くなる*1
- (主観含む) 一見する限りではHEVCのCRFが「十分に」小さな値の場合は、汚いとか劣化を感じることは無い(視覚的・心理的に気にならない情報を旨く捨てることに成功している)
- (主観含む) 「十分に」の具体的な値はコンテンツにより異なるため、決め打ちすることはできないが、ざっくりと一桁ならあまり劣化は気にならない
- (主観含む) オリジナルやJPEGと見比べて注視すると違いは見つかるが、HEVCでエンコード後でもリサイズして縮小して見るとある程度大きなCRF値でも劣化を感じにくい
以上より、画質が優先される写真の記録用にHEVCを積極的に利用するメリットは無いと判断できます。
但し、Web掲載用などファイルサイズが小さいことが優先され、オリジナルとの差分云々は重要ではない用途には適していますので、制作過程では非圧縮フォーマットを用い、公開用データにはHEVC iamgeを含んだHEIFを利用するというようなワークフローはアリでしょう。
ですが、HEVC(H.265)はロイヤリティフリーで利用可能なテクノロジーではなく、パテントホルダーに対する特許利用料を支払わなければなりません。
H.264はMPEG LAがライセンス窓口となっていましたが、H.265は統一された窓口は無くパテントホルダーも1社ではないため、使用許諾を得るだけも一仕事になると思われます。