東京スカイツリーは東京タワーの何倍高いのか

 何を今更という感もありますが、掲題の件について考えてみます。
 

単純計算

 東京タワーは333m、東京スカイツリーは高さ643mであることは多くの人がご存知かもしれません。
 故に、単純に計算するならば、
\frac{634}{333} \fallingdotseq 1.90
 と約1.90倍の高さに相当します。

 ですが、両タワーが建っている場所は異なります。標高を加味してみるとどうでしょうか。

標高も加味

 地理院地図で両タワーの標高を確認してみると、東京タワー付近は21.8m、東京スカイツリー付近は1mだそうです。
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画像出典:地理院地図

 故に、
\frac{634 + 1}{333 + 21.8} \fallingdotseq 1.79
 と、約1.79倍まで小さくなります。

標高値誤差も加味

 なお、地理院地図|地理院地図で得られる値等についてに記載の通り、この標高値は以下の精度だそうです。

データソース 測量方法 標高精度(標準偏差)
DEM5A 航空レーザ測量 0.3m以内*1
DEM10B 1/2.5万地形図等高線 5.0m 以内

 東京タワー周辺はDEM5Aで、東京スカイツリー周辺はDEM10Bとなっていることから、それぞれの標高は21.8±0.3m、1±5mの範囲内にあることになります。

 故に、
\max \{ \frac{634 + 1 \pm 5}{333 + 21.8 \pm 0.3} \} \fallingdotseq 1.81
\min \{ \frac{634 + 1 \pm 5}{333 + 21.8 \pm 0.3} \} \fallingdotseq 1.77
 と、概ね1.77~1.81倍ということになります。
 

まとめ

 単に感性の問題ですが、1.9倍と言われると2倍近く高いと感じますが、1.7倍と言われると1.5倍よりちょっと高い程度かとも感じます(主観)。
 広範囲に電波を送出したい電波塔としての機能を評価するうえでは、標高も加味するのが妥当だと思いますが、建築技術を評価するうえでは純粋に塔体の高さで語られるのが適切なようにも思います。

 だからどうしたと言われると困りますが、東京タワーとスカイツリーの標高は結構違うものだなと。20m程度も違うということは、ビルの6~7階辺りに相当する高さです。
 それだけ不利な立地に世界一高い自立式電波塔を建て、運用している技術力はすごいと思います。一方、東京タワーを建てた時もその立地は熟考したのであろうことが察せられます。
 



以上。

*1:0.3m以内という値は、地表面測定値がある標高点に限ります。