キャノンが一眼カメラを増産する模様

 日刊工業新聞の以下の記事によると、キャノンが一眼レフ/ミラーレスを増産するそうです。
キヤノン、一眼レフカメラを増産。世界的なデジカメ供給懸念で

 各社共にデジタルカメラの販売不振が叫ばれて久しいですが、上記記事のタイトルにある「世界的なデジカメ供給懸念」とは何を言っているのでしょうか。

 記事を読んでみると、どうやら熊本地震によるソニーのイメージセンサ工場の被災に起因して生じる各社のデジタルカメラの供給不足の事を指しているようです。
 

 記事より一部引用すると、

 キヤノン一眼レフカメラなどレンズ交換式カメラの増産に向け、国内のデジタルカメラ全3工場を近くフル稼働する。デジタルカメラ市場は4月の熊本地震で主要サプライヤーが被災し、世界的に供給が不足する懸念がある。キヤノンもコンパクトカメラの生産に影響を受けるが、代わりに基幹部品を自社生産するレンズ交換式カメラの生産を増やし、カメラの販売機会ロスを減らす。

 とのことで、名指しこそされていないものの、熊本地震で世界的に供給が不足するデジタルカメラ向けパーツといえばソニーのイメージセンサくらいしか思い当たりません。
 具体的な製品名は明示されていませんが、Canonもコンパクトカメラの生産に影響を受けると書かれています。1インチセンサ搭載PowerShotが近年複数モデル投入されていたりしますが、その辺りの製品群がSONY製センサだったんでしょうかね。

 それにしても、コンパクトカメラの販売機会ロスを減らすために、レンズ交換式カメラの生産を増やすって戦略はどうなんでしょう。
 今コンパクトカメラ買おうって人は「スマートフォンには満足していないけれど、一眼もミラーレスもデカくて重くて嫌だ。レンズ高いし、いちいち交換なんて面倒なことしないよ。」みたいな感じの人が多いんじゃないですかね?
 仮にそうなら、初代EOS Mの結構悲惨な在庫処分が、M10やM3でも再現されることになってしまわないでしょうか。

 キヤノンの2016年のカメラ販売は、地震の影響を織り込まずに前年比15・5%減の1020万台を計画する。このうちレンズ交換式は全体の約半分を占める。

 もともと前年比1割以上減の販売計画で、それが供給不足でさらに下振れするような事態は避けたいという考えは理解できますけど…。
 

 ちなみに、記事末尾にはファシリテータによる以下のコメントがあります。

熊本地震ソニーイメージセンサーの供給に支障が出ているのが最大の要因。キヤノンは、コンパクトの市場全体で2割程度の影響を受ける可能性があるとみているようだ。

 記事本文では伏せていたのに、ソニーと明示していますね。
 この「2割程度の影響」の解釈が難しいですが、以下の3通りほどの解釈ができそうです。

  • 市場全体の製品の2割程度がSONY製センサ搭載という意味
  • SONY製センサの出荷が滞るのが数量ベースで2割程度という意味
  • SONY製センサの出荷が滞るのが金額ベースで2割程度という意味

 熊本工場が完全に停止しているわけではないので、恐らく後者2つのどちらかの意味ではないかと思われます。
 「コンパクトの」市場となると、高級コンパクトと言われるようなモデルは(ソニーのシェアが高い)まともなセンサが、最終的には一万円前後で投げ売られるような廉価モデルは(ソニー製に限らず)価格競争力のあるセンサが採用されるでしょうから、台数(数量)ベースと金額ベースでは意味合いが変わってきそうです…と言っても、廉価モデルって最近はスマートフォンに駆逐されて、市場としては壊滅状態に近いとも聞きますし…。ちょっと良く解りませんね。
 

ソニーのイメージセンサを製造する熊本工場の復旧については以下の投稿で紹介しています。
wave.hatenablog.com
 



以上。