今月初頭にかけて毎日のように新製品発表されたBehringerの小型シンセサイザシリーズですが、どうやら"Spirit/Soul micro synths"といった感じで呼称しているようです。各モデル名の隣に何か筆記体で印字されてるなとは気づいていましたが、それぞれJP-4000 Spirit, ProVS Soul, Saturn Soul, UB-1 Spirit, Hirotribe Soulとなっています。
SpiritシリーズがDIN5Pin MIDI端子が無く想定価格49USD、SoulシリーズはDIN5Pin MIDI端子が有りで想定価格99USDといった感じに分類できそうです。
で、こんなペースでは新製品ラッシュは続けられない的な事が書かれていたので、今回の一連の新製品発表は終わりかと思っていたのですがまだFacebookで発表されていました。
新たに発表されていたのがModel D SoulでMiniMoogの回路を基にしたシンセサイザーだそうです。
他のSoulシリーズと同様に、開発完了しており半導体が入荷次第出荷予定で価格は99USDとなるようです。
記載されていたもう少し詳しい説明を適当に意訳しておくと以下の通り。
Model D Soul
ポータブルな伝説的なアナログシンセサイザーで3VCO, クラシックなVCF、1LFO、2EGとモーションシーケンサを装備
- 1970年代のクラシックなMiniMoogに基づく
- Saw/Triangle/Shark/Square/Pulseの5つの波形から選択可能なVCO
- この類のクラシックサウンドに適したビンテージサウンドのレゾナンス付きLPF
- 4つの波形を備えたLFOで驚きのビブラートとフィルター効果
- 専用のエンヴェロープを備えたVCA
- フィルタカットオフ周波数を制御するための可変エンヴェロープ量
- 波形成性を劇的に拡張する独立したボリュームコントロール*1を備えたホワイトノイズとピンクノイズ
- 8メモリスロットを備えたツマミの動きを記録できる16ステップモーションシーケンサ
- 持ち出した先でも即座に演奏できる27タッチ鍵盤
- 全ての主要な機能に直接アクセス可能な18個の制御(注: 本体上のツマミやボタンなどのコントローラを指していると思われる)
- スマートフォンやモバイルバッテリやPCから電力供給可能なマイクロUSB端子
- 包括的なMIDI実装(全パラメータのNRPN/CC制御やバルクロード/セーブを含む)
雑感
出音がどんな感じかまだ判りませんが、この価格でMiniMoogにまで手を出してきたかという驚きがあります。
今回の新製品Soul/SpiritシリーズではRoland、SCI、Oberheim、KORGそしてMoogと各社の名機のインスパイヤ系シンセサイザーが揃いましたが、他に何を作って欲しいかみたいな投稿もされていることから、Behringerはこれで終わりにする気もなさそうです。
今回はSCIからはアナログオシレータではなくデジタルのProphetVSもどきしか出ませんでしたから、Prophet 5ベースのSoul/Spiritシリーズが可能なら欲しいと思います。
過去の主要なKORG製品は自社でハードウェアまたはソフトウェアで再現して再販されているので、Behringerが作る必要性はあまり感じません。
YAMAHA機材が全くターゲットになってないのも不思議です。普通のFMシンセは各社からハードもソフトもリリースされているので、Behringerが製造する意義は無さそうですが、アナログではCS-80辺り、デジタルではVL/VA音源、EX5シリーズのFDSP音源、FS1RのFS音源辺りが再現されると試してみたいです。触ったことが無く、製造数も少なく比較的高価でユーザ数も多くない機材はどんな音が出せるのか、そのポテンシャルがいまいち良く判らなかったりしますが、流通数が増えれば良い意味でも悪い意味でもその機材の真価が良く判ると思います。シンセに限らず、意表をついて電機ピアノのCP-80(やRhodesやWurlitzer)のミニチュア版がリリースされても楽しそうです。シンセと異なりこれらのエレピが(単なるPCM音源ではない)ハードウェアとして復興されたことは(知る限り)無いですから(現実的には物理的な機構が必要な以上は不可能に近いでしょうけど)。
他にはKAWAI K3、Chroma Polaris、Waldorf The Waveのような、興味はあるけど現物を目にしたことも実際に触ったことも無い機材が手の届く価格でそこそこ再現されると嬉しいですね。あとは90年代後期にかけてのバーチャルアナログシンセ群も気になります。SuperSawだけのJP-8000もどきを作っておきながら、先行したCLAVIA NordLeadもどきや、今や希少なYAMAHA AN1xもどきを製品化しないのも中途半端な感じが有ります*2。
以上。