BOSS DRシリーズ一覧と違いを整理する
BOSSのドラムマシン(リズムマシン)のDRシリーズの一覧と各モデルの違い・特徴等をまとめます。
正確な情報*1を参照しているつもりですが、誤記や誤解が含まれる可能性もありますのでご注意ください。
BOSS DRシリーズ一覧
発売年順に一覧化すると下表の通りです。
モデル名 | 発売年 | 生産終了年 | 修理受付 |
---|---|---|---|
Dr.Rhythm DR-55 | 1980 | 1983 | N |
Dr.Rhythm DR-110 | 1983 | 1986 | N |
Dr.Rhythm DR-220A | 1986 | 1990 | N |
Dr.Rhythm DR-220E | 1986 | 1990 | N |
Dr.Rhythm DR-550 | 1990 | 1992 | N |
Dr.Rhythm DR-550MK2 | 1992 | 2001 | N |
Dr.Rhythm DR-660 | 1992 | 1999 | N |
Dr.Rhythm Section DR-5 | 1993 | 2003 | N |
Dr.Groove DR-202 | 1998 | 2003 | N |
Dr.Rhythm DR-770 | 1999 | 2004 | N |
Dr.Rhythm DR-3 | 2003 | 2019 | Y |
Dr.Rhythm DR-880 | 2004 | 2016 | N |
Dr.Rhythm DR-670 | 2007 | 2010 | N |
Rhythm Partner DR-01s | 2017 | - | Y |
※本投稿記載時点。最新の修理可否はRolandの以下のページから確認できます*2。
Roland - Support - 修理サービス - 機種別経過年数&修理対応期間一覧
現在でも製造されているのはDR-01sのみとなりますが、他のDRシリーズの殆どが"Dr.Rhythm"の肩書であるのに対し、DR-01sは"Rhythm Partner"となっており、だいぶ趣が異なります。自分でリズムパターンを組んでパターン再生したり指でパッドを叩いてドラム音を鳴らせるような機材ではないので、過去にDRシリーズを手放したユーザが買い直しても期待する製品とはだいぶ異なると思います。
そういった意味ではDRシリーズの事実上の最新モデルは2007年発売のDR-670、或いは2019年まで生産されたDR-3が最終モデルと見ることもできます。
各モデルの特徴
個人的に注目点をピックアップすると以下の通り*3。
DR-55
- アナログ音源
- BassDrum, SnareDrum, RimShot, HiHat
- 外部同期用にDBS及びCSQ端子有
- MIDI無
- DC6V/0.033W
DR-110
- アナログ音源
- BassDrum, SnareDrum, Cymbal, ClosedHiHat, OpenHiHat, HandClap
- 外部連携用にAccentTriggerOut端子有
- MIDI無
- DC9V/Max.12mA
DR-220A
- PCM
- BassDrum, SnareDrum, ClosedHiHat, OpenHiHat, RimShot, HandClap, HiTom, MidTom, LoTom, CrashCymbal, RideCymbal
- 12bitD/A変換
- 最大同時発音数: 6
- 外部同期用にTriggerIn/TriggerOut端子有
- MIDI無
- DC9V/30mA
DR-220E
- DR-220Aの音色がエレドラ系に差し替えられたモデル
- PCM
- ElectronicBassDrum, ElectronicSnareDrum, ClosedHiHat, OpenHiHat, Cowbell, Slap, ElectronicHiTom, ElectronicMidTom, ElectronicLoTom, ChinaCymbal, Cup
DR-550
DR-550MK2
- DR-550の音色数が約2倍近くに強化されたモデル
- PCM
- 音色数: 91
DR-660
DR-5
- 既存モデルの後継ではない新モデル
- シリーズ唯一"Dr.Rhythm Section"を冠し、ドラムだけではなく音階のある楽器(ピアノやブラスやシンセなど)や和音も鳴らせる*5
- PCM
- 音源チップはRoland SC-55MK2等と同じTC6116AFが使用されており、パーカッションではないクロマチックな楽器音を鳴らす機能も使い始めたことになる
- 音色数: 174 Percussion & 82 Chromatic
- 最大同時発音数: 19
- MIDI IN/OUT有
- Guitar Input有(単純にミックス出力できるだけではなく、単音のPitch to MIDI converterや内蔵音源を使用した簡易ギターシンセとしても使用可能*6 )
- DC9V/140mA
DR-202
DR-770
DR-3
DR-880
DR-670
その他
- 音源チップはあくまでも音源チップであり、組み合わせる波形ROMと制御ソフトウェアによって多様な音源が構成できます。つまり、同じ音源チップを搭載していても各モデルで使用機能が異なったり、異なる波形ROMを有しているため、基本的には全く同じ音が出るわけではありません*11。
- Dr.Groove DR-202は流通数が多くないためか異様に中古価格が高い傾向がありますが、同時期に大ヒットしたRoland Groovebox MC-303なら流通量が多いため中古価格もこなれており、音楽ジャンル的にもターゲットは同じなので基本的には大は小を兼ねる的に使用できるでしょう*12。
- 投稿記載時点で既にDR-3(と現行のDR-01s)以外はメーカー修理受付が終了していますので、動作未確認などと称する故障品を高額で掴まされないよう注意しましょう。
- 幸いほとんどのモデルは海外のサービスマニュアルが検索すると見つかりますので、スキルと工具と交換パーツとやる気と時間等があれば自力で修理できる可能性もあります。
- BOSSのデジタルMTRのBRシリーズの一部にリズムマシン機能が内蔵されている製品もあります。
- 同じRoland製品でもBOSSブランドではなくRoland本体からもTRシリーズ、CRシリーズ、Rシリーズのようなリズムマシンが発売されています。
- ほとんどのシンセサイザー/音源モジュールにもドラム/パーカッション音は含まれていますから、Roland/BOSSの全リズム音を収集するようなチャレンジはかなり無謀です(自戒)。
以上。
*1:製品サイト、マニュアル、サービスマニュアルなどの公式情報。
*2:このページには他にもRolandのDR-*という型番の機材が掲載されていますが、本投稿記載時点ではBOSSブランドのドラムマシンシリーズではありません。
*3:私は打ち込みで音楽を作る類のユーザーのため、MIDIで鳴らす或いはサンプリングして使います。要するに音源としての興味しかありませんので、内蔵パターンのジャンルや数には触れません。DRシリーズのメインターゲットと思われるギタリストとは注目点がだいぶ異なりますので、参考になる人とそうでない人が居るかと思います。
*4:ロールの音量変化に対応・MIDIメッセージのAftertouchには非対応
*5:DRシリーズでDR-5だけがベース以外の音階のある楽器音も鳴らせ、それらの音色でコードを鳴らすことが可能。さらに、それらの音色を使って簡易ギターシンセとして使用することまで可能。
*6:YAMAHA RY7やRY8の簡易ギターシンセ機能に近いもので、Roland GRシリーズのように各弦に対応したセンサーを取り付ける方式のギターシンセとは異なります。
*7:サンプラーのSPシリーズはRolandブランドだが、最廉価のSP-303だけBOSSブランドで発売された。
*8:ロールの音量変化に対応・MIDIメッセージのAftertouchには非対応
*10:他機種でのLC24134B-UF2の採用例は見つけられず、これの生産終了に伴ってDR-670も生産終了したと仮定すると、事実上のDRシリーズ最終モデルながらもDR-3より早く生産終了した理由も解る気がします。真相は不明ですが。
*11:もちろん、同一波形データを同じような条件で再生すれば似たような出力が期待できます。
*12:MC-303もDR-202同様に音源チップはSC-55MK2等と同じTC6116AFを使用(もちろんそれぞれの波形ROMは異なる)。
*13:違う機種でも同一波形が重複して収録されているパターンも多いですが。