いつの間にかモバイル向けCore iプロセッサのMシリーズが無くなってた
タイトルの"Mシリーズ"という表現が適切かどうかは微妙ですが、第二世代Core i5-2520Mや第一世代Core i7-620Mのようにプロセッサナンバ末尾のサフィックスが"M"のモバイルプロセッサについての話です。
第二世代のCore i5/i7のノートPCを多く使っていますが、新しいマシンも当然気になります。適度な価格で調達できそうなPCは気にかけているのですが、Core iシリーズ搭載機でも最近目にするのは末尾がUの超低消費電力版ばかり。軽量なモバイルノートならともかく、何故かA4ノートにまでパフォーマンスを犠牲にした割高な超低消費電力版を積んでいるぞと思ったら、末尾がMのプロセッサってとっくに絶滅していたんですね。
なお、インテル公式のプロセッサ情報としては、以下のページにまとまっています。
インテル® プロセッサー・ナンバー:ノートブック PC、デスクトップ PC、モバイルデバイス
上記ページの情報を元に、Mが消える前後の変化を見てみます。
最後のM
第四世代Core iシリーズ(Haswell)までは、Core i5-4300M, Core i7-4600MのようなサフィックスがMの通常電圧版のモバイル向けプロセッサが存在していたようです。
また、第四世代ではM以外に以下のサフィックスのモデルが存在します。
Suffix | Desc |
---|---|
HQ | High performance graphics |
MX | Mobile eXtreme edition |
MQ | Quad-core Mobile |
U | Ultra-low power |
Y | extremelY low power |
M/U/Yを基本に、Qが付いたらQuad-core、Xが付いたらExtreme Editionといった感じで従来のネーミングとほとんど同じです。
M無き後
第五世代Core iシリーズ(Broadwell)
第五世代では以下のサフィックスになっていたようです。
Suffix | Desc |
---|---|
H | High performance graphics |
HQ | High performance graphics, Quad-core |
U | Ultra-low power |
Mに変わってHが新登場しましたが、その意味合いはQuad-coreではない(=Dual-core)のHigh performanceという意味合いのようです。
従来のMもUやYと比べると電力消費量は多いもののハイパフォーマンスでしたが、第五世代のi5-5350Hと第四世代のi5-4300Mとで比較してみると、前者はベースクロック3.1GHzでTDP47W、後者は2.6GHzでTDP37Wとなっており、単にMがHにリネームされた訳ではなく、M以上にハイパフォーマンスになったと共に消費電力も増大していることが察せられます。故に、Hという新サフィックスを割り当てたのでしょう。
第六世代Core iシリーズ(Skylake)
第六世代では第五世代のサフィックスに加え、第四世代にあったようなエクストリームエディションではなくアンロック版としてHKが追加になっています。
Suffix | Desc |
---|---|
H | High performance graphics |
HK | High performance graphics, unlicKed |
HQ | High performance graphics, Quad-core |
U | Ultra-low power |
第七世代Core iシリーズ(Kaby Lake)
第七世代ではYが復活し、現状ではUとYだけが掲載されています。(今後増えるのでしょうか?)
Suffix | Desc |
---|---|
U | Ultra-low power |
Y | extremelY low power |
まとめ
パフォーマンス観点からUよりMを選択していたユーザは、ポジティブにとらえれば選択肢が与えられた状態にあると言えるかもしれません。潤沢な予算があるなら上位のHシリーズを、そうでなければ量産効果で相対的に安価なUシリーズをといったところでしょうか。
Uなら低消費電力故にバッテリー持続時間などのメリットがありますが、基本的にはコンセントに繋いでパフォーマンス優先で使用したいユーザにとっては魅力は薄く、かと言ってHはかなり割高。Mobile Pentium 3で超低電圧版ULVシリーズが登場して以来、低消費電力は付加価値であり高価だったのが、昨今のパフォーマンスはあまり進化しないけど、消費電力は削減しているというプロセッサの進化の方向性から、低消費電力は付加価値ではなく当たり前になった結果ともいえるでしょうか。
以上。