Kurzweil K1000シリーズについて
情報があまり多くないので、Kurzweil K1000シリーズ辺りの情報を調べた結果を備忘を兼ねて掲載します。
古いモデルについての情報は少なく、リリース当時と現在での評価基準も異なります。ネット上で若干見つかる古めの記事と、現在での評価基準もまた異なるでしょう。さらに、個人の主観も少なからず影響するジャンルの話題のため、情報の正確性・妥当性については保証できませんのでご留意ください。
そもそもKurzweil(カーツウェル)って?
私の個人的な話になりますが、(日本のKawaiではない)Kシリーズシンセサイザーの製造メーカーとしてKurzweilの存在はずいぶんと前から知っていました。国内メーカーのシンセサイザーより高額で、周りで持ってる人もおらず、これまでにその機材を所有したことも使ったこともありませんでした。
90年代にK2000シリーズが新品で販売されていたころ、KurzweilブランドだけではなくYoung Changブランドの製品も流通していたりと、何がどうなっているのやら。そんなわけで、私にとってはよく解らない謎の外資の楽器メーカーという認識でした。
というわけで、今一度、軽く調べてみました。
- 1982年
- Ray KurzweilとミュージシャンのStevie Wonderに加えソフトウェア開発者のBruce Cichowlasによってアメリカで電子楽器メーカーとしてKurzweil Music Systemsが創業
- 1990年
- 韓国の楽器メーカーYoung Changに買収(purchased)される
- 2004年
- Young Changが破産(bankrupt)
- 2006年
- 韓国の現代グループのHyundai Development Company(HDC)にYoung Changが取得(acquired)される
- 2018年
- HDC Young Changに改名
Kurzweil Music Systems - Wikipedia
Young Chang - Wikipedia
そんな経緯で、90年代には同一モデルでもKurzweilブランドとYoung Changブランドの製品が混在していたようです。
蛇足ながら、日本人名の英語表記は単純にローマ字表記されることが殆どですが、韓国の英語名表記はちょっと面白いです。例えば前大統領の朴(パク)氏の場合は"Park"、現大統領の文(ムン)氏の場合は"Moon"といった具合に、発音が近い英単語が充てられるようなのです。Young Changも創業者2人(キム・ジェヨン=Jai-Young Kim、キム・ジェチャン=Jai-Chang Kim)の名前に由来した企業名のようです。少し視点を移すと、中国の楊(よう)さんも"Young"表記*1だったりしますから、日本のようなローマ字表記の方が珍しいのかもしれませんね。
閑話休題、現在でもKurzweilブランドの新製品はリリースされているようですが、どこの企業の製品なのかは調べても良く判りませんでした*2。米Wikipediaによれば本社(Headquarter)はアメリカ表記ですが、そのWebサイトhttp://kurzweil.com/には所在地を含め会社情報が何も掲載されていないようですし…。
ちなみに株式会社 KURZWEIL JAPANのWebサイトhttp://www.kurzweiljapan.jp/に表記された住所をGoogleストリートビューで確認してみると、それらしき位置の建物には住宅リフォーム会社の看板が掲げられています。kurzweiljapan.jpのドメイン情報をwhoisで確認してみると、件の住宅リフォーム会社のWebサイトに表記されている社長さんの名前と登録者名が一致するので、代理店業務と兼業しているようです*3。
K1000シリーズ前後の主要モデル
個人的に気になった機材のみをピックアップしている為、網羅性はありません。
K250*4
1984年リリース。グランドピアノの複雑な音のエミュレーションに初めて成功した機材と考えられているそうです。"contoured modelling"と呼ぶ音源方式で、開発にはKurzweil社内だけではなくARP創業者のAlan R. PearlmanやMoog創業者のRobert Moogといった面々も参加していたそうです。
"contoured modelling"の説明を求められたmoog博士が、「プロプライエタリな手法、つまり、あなたに説明するつもりは無いってことを丁寧に伝えたんだけど。」みたいな回答をしてるのが面白いですね。
Yeah, it's a proprietary scheme... and 'proprietary' is a polite word for "we're not going to tell you what it is"!
Kurzweil Music Systems - Wikipedia
実体は現在のPCMと同様にROMに波形を格納しつつも、12音ポリの各音に対応して12個のDACとアナログエンベロープ(CEM 3335)を持っている構造のようです。
察するに以下の演算がリアルタイムに行えるプロセッサが(当時製品化可能な価格で)存在しなかったため、このようにデジタル/アナログで処理分担する構成となったのでしょうか。
一方で、当時高価なメモリ(ROM/RAM)を節約するために、何某かの圧縮技術が導入されていたようです。圧縮波形の展開のために貧弱なプロセッサの演算処理能力を割かれていたのかもしれませんし、単に短い波形をループしているのを圧縮と称しているだけかもしれません。
現代なら数千円で手に入るRaspberryPiシリーズのようなシングルボードコンピュータでもこの程度の処理は可能だと思われ、当時のプロセッサどんだけ貧弱なんだよと思う若い方もいるかも知れませんが、参考までに1984年のPCはどんな感じだったか振り返ってみると、11月発売のPC-9801Mで8086互換の動作クロック8MHzのプロセッサで、RAM:256KBといったスペックでした(クロック周波数もメモリ容量も単位間違えてるわけではありませんし、もちろんシングルコアです)。
K150*5
K250がサンプルプレイバック方式だったのに対して、加算演算方式を採用。恐らく1986年リリース(ちなみに翌1987年にはKawaiの加算演算方式シンセサイザーK5がリリース)。
商業音楽向け機材としては成功しなかったが、(恐らく米国内の)学術・研究機関向けにはポピュラーだったそうです。
K1000番台シリーズ*6
K250のサンプルライブラリーを安価かつ物理的に管理できる形状*7で、幅広い層に提供できるように設計されたそうで、まさにプリセットサンプラーの考え方ですね。恐らく1988年リリース(ちなみに同年Roland U-110がリリース、翌1989年から同様のプリセットサンプラー的コンセプトのE-MUのProteusシリーズがリリース。*8 )。
この狙いからして、ラックマウントモデル(Kurzweil的表現ではExpander)がメインで、派生モデルとして鍵盤モデルも用意したという感じの位置づけのようで、初期モデルは以下の4ラックマウントモデル+鍵盤モデルが存在したようです。
- 初期モデル
model | polyphony | sound |
---|---|---|
1000 PX (Professional Expander) | 24音ポリ | 120プリセット、グランドピアノ・ストリングス・クワイア・オルガン・アコースティックベース・バイブス・木管・金管 |
1000 SX (String Expander) | 20音ポリ | 99プリセット、プロフェッショナルアンサンブルストリングス・ソロバイオリン・ソロチェロ・ピチカートストリングス |
1000 HX (Horn Expander) | 20音ポリ | 100プリセット、トランペット・ミュートトランペット・トロンボーン・サックス等 |
1000 GX (Guitar Expander) | 20音ポリ | 幅広いアコースティックギターとエレキギター |
K1000 (76鍵盤モデル) | 24音ポリ | 1000 PXと同じ115プリセット |
1000シリーズラックマウントモデルはこのPX, SX, HX, GXの4種類が基本形のようです。ここまでは普通に理解できるのですが、これにアップグレードオプションや派生モデルが加わって10種類前後の複雑怪奇なバリエーションが存在するようです。
基本的には、内部に存在する12個のROMソケットを何個使って、どのROMを搭載するかの組み合わせでバリエーションが決まるようです。英語ですが以下のユーザーサイトに詳しく説明されています。
https://k1000.net/index.html
鍵盤モデルはPXに鍵盤が付いたようなもので、複雑怪奇なバリエーションは存在せず、K1000SE(Special Edition)が後に追加されたものの、違いはアフタータッチ対応のみのようです。
- サンプリング周波数
ところで、1000PX(とK1000)とそれ以外では最大同時発音数が24音と20音で1.2倍異なります。搭載波形ROMの違いだけでハードウェアの構成が基本的に同じ(同一処理性能)であるなら、サンプリング周波数も異なっている可能性がありそうです。つまり、1000PX(とK1000)は発音数優先でサンプリング周波数控えめ、それ以外は発音数を犠牲にしてもサンプリング周波数高めとなっているのではないかと想像されます。なお、Web上で見つかる過去のカタログ等を見ても、サンプリング周波数については公式なスペックは特に表明されていないようです。
但し、以下のサイトによれば、「他社が15KHzの壁を超えるのにもがいていたのに、1000PX(とK1000)はサンプリング周波数50KHz、SX, HX, GXは60KHz」といった趣旨のことが書かれています。これが事実なら丁度1/1.2倍の差ですから、同一スペックのハードウェアで実現しているならさもありなんといった感じです。
Kurzweil 1000 Series ROMpler modules
ですが、1983年に販売開始されたCD規格の44.1KHzを超え、50KHz或いは60KHzといったサンプリング周波数の音源モジュールを1988年に製造するだろうか?という疑問も感じます。K250のサンプルライブラリーを安価に供給するための廉価モデルという位置づけでも、売価だけ見れば決して安くはない機材でしたから、コストをかけて高いサンプリング周波数を採用していたのかもしれませんが…。実体は後述。
- 特殊操作
1000シリーズラックマウントモデルは隠しコマンドという訳ではありません*9が、以下の特殊操作が可能なようです。
- 自己診断
- [PROGRAM/PARAMETER▼][PROGRAM/PARAMETER▲]を同時押ししながら電源投入*10。
- SoftReset(RAMは消えない)
- [VALUE NO][VALUE YES][PLAY/EDIT]を同時押し
- HardReset(RAMも消え、全パラメータが工場出荷時に戻る)
- 電源OFF後、[VALUE YES][VALUE NO]を同時押ししながら電源投入
K2000番台シリーズ
K1000シリーズの後にリリースされたシリーズ。
V.A.S.T.(Variable Architecture Synthesis Technology)と呼ぶ音源方式を採用。K1000シリーズには存在しなかったデジタルフィルタが実装されました。つまり、YAMAHAで言うところのAWMからAWM2への進化、或いはRolandで言うところのU-220からJV-880への進化のようなものにも思えます。
それでも、V.A.S.T.は一般的なPCM系音源方式より、信号ルーティングの自由度が高いのが特徴のようです。
K2000Sのように型番に"S"が付くのがサンプラー機能付きモデルで、K2000Rのように"R"が付くのがラックマウントモデル*11。
1000 PXのサンプリング周波数を探る
そもそもこの投稿を書いているのは1000 PXを入手したからなのです。故に手元に実機があるので1000 PXの出音をサンプリングしました。
各音色プログラム(#1~63)についてNote#27~99の範囲を6半音毎(D#1, A1, ..., D#7)に24bit 48KHzで順次サンプリングしたWAVEファイルのスペクトログラムをプロットしてGIFにまとめたものが以下になります。
どう見ても、せいぜい12K~13KHz辺りまでの周波数成分しか含まれていません*12。すなわち、サンプリング周波数はその倍の24K~26KHz程度であることが判ります。前掲のサイトに記載のあった50KHzが何を根拠に書いているのか判りませんが、概ねその半分となっています*13。
ところで、このスペクトログラムを眺めていると、倍音成分の経時的変化が乏しい(せいぜい単に減衰するだけ)ことが視覚的に良く判ります。この原因は、限られたROM容量に収めた短いサンプルをループしているからだったり、EGやLFOで動くフィルタが無いからだったりするのでしょう。
1000 PXのエディット
CCだけで幅広くエディットできるような音源ではありません。
では、かつてのRoland SC,SDやYAMAHA MUシリーズ、或いはJVやTGのようにSysExメッセージでエディットできるかというとそうでもありません。
通常、マニュアルの後ろの方に載ってるMIDIインプリメンテーションチャートやMIDIデータフォーマットが大好きな人でも、本機は厳しいと思います。YAMAHA/Roland/KORGのようにパラメータアドレスと指定すべき値(とチェックサムが有ったり無かったり)をSysExメッセージに書くような手段ではありません。
K1000シリーズのマニュアルには、C言語の列挙型(enum)の定数や構造体(struct)定義がソースコードそのまま載ってます。そこからKurzweilのSysExメッセージ構文に落とし込む必要があります。それだけなら表形式で書いてあるかソースコードで書いてあるかだけの違いで、大した問題ではないように思えますが、そんな単純な話ではないのです。
一般的には、音色プログラム(やエディットバッファー)ごとにオシレータ、アンプ、フィルタ等の各パラメータが全部定義されてますが、K1000シリーズは違います。イメージとしては、各要素ごとにオブジェクトとして設定が切り出され、音色プログラムでは各要素のオブジェクトIDを紐づけるような構造です。別な表現をすると、正規化されたRDBのテーブルようなイメージです。プログラム自体に保持された設定は、アンプの設定はID X番を、LFOの設定はID Y番をといった具合で、ID Xのオブジェクト内にADSRの設定、ID Yのオブジェクトに周波数や波形の設定の実際の値が保持されているような構造っぽいです。なので、各オブジェクトのIDとその設定値が判らなければどうにもエディットできません。
すなわち、DTM全盛期のSC,SD,MUシリーズを始めとする多くの機材と同様に、特定のSysExメッセージを送ればその通りにパラメータが変わるはずであるということを期待したオープンループ制御ではK1000シリーズは飼い慣らせないということです。今の各オブジェクトの設定値どうなってますか?と問い合わせたうえで、じゃあID何番のLFO設定を使ってください。みたいな双方向の通信を行うクローズドループ制御が必要になるようです*14。
つまり、普通のMIDIシーケンサでそんなことはできないので、専用のエディターソフトウェアが必要になるわけです。かつてはATARIとかMotorola CPU時代のMacとかDOS版のエディターが存在したようですが、現代のプラットフォームで動作しそうなものは見当たらず。
本機はフィルターも無いですし現代的な観点でシンセサイザーとしてみた場合に、それほど興味深いモデルでは無さそうですから、エディターをこれから開発しようという人もたぶん出てこないのではないかと思われます。
なお、本体だけでエディットできそうなのは、いわゆるレイヤー組んだり、スプリットして使うとか、YAMAHA/Rolandで言うところのパフォーマンスモードとかKORGで言うCOMBIモードのようなエディットだけのようです。
つまり、2021年現在では本格的にエディットして使うことは事実上不可能に近く、プリセット音源モジュールとして活用することになるでしょう。どうしても音を弄りたければ、サンプリングしてサンプラー側で弄るのが手っ取り早いです。
1000 PXのプログラムチェンジ
Program#1~63とProgram#128~184の計120個がいわゆるプリセット音色で、ハードリセット後にも存在します(途中の抜けてる番号はRAMに記憶されるプログラムで、ハードリセットで消えます)。
Program#1~63とProgram#128のみ、1を減じた値をMIDI Program Changeメッセージに指定すればその音色に切り替わります。
Program#129~184はデフォルトではMIDI Program Changeメッセージでは呼び出せません。よくあるBankSelect MSB/LSBを併用するやり方でも切り替えできません。
1000 PXには内部プログラム番号(Program#1~63とProgram#128~184)とMIDI Program Changeの番号をマッピングする設定を持っていますので、MIDI Program Changeメッセージで呼び出したいプログラムの内部プログラム番号を予め紐づけるように設定しておけばMIDI Program ChangeメッセージでProgram#129~184も切り替え可能になります。
ですが、こんなのフロントパネルのボタン操作して何十個も設定してられないと思うのですが、この設定もまたオブジェクトとして管理されており、取説には以下の記載があります。
/* * MIDI List (named) * used to map MIDI Program change numbers to real program numbers */ typedef struct { uByte mlistTYPE; uByte mlistID; sWord mlistSize; sWord mlistBase; /* base MIDI program * */ sWord mlistN; /* # table entries - 1 */ sWord mlistOff; /* offset to 1st entry (byte) */ } MLIST;
これを基にシステムエクスクルーシブメッセージを書こうにも、今現在の設定値どうなってるって1000 PXに問い合わせしない限り、mlistIDもmlistSizeも解らんしtable entriesが判らんからmlistNも判らんので、書けないのです。前述のエディットが不可能に近いという話と本質的に同じです。
このため、自分の場合は以下の手段で代替しています。
- Program#128まで
- 普通にMIDIでProgram Changeが可能なので、MIDI Program Changeを使用
- Program#129~184の場合
- MIDI Program Changeで127を送信後、Remote Front PanelのSysExメッセージを使って希望のProgram#になるまでプログラム番号のインクリメントボタンを押すのと同等のSysExメッセージを複数回(Program#-128回、例: Program#129なら"F0 07 00 64 01 15 F7"を1回)送信
参考: Remote Front Panel System Exclusive Messageの構文
F0 ${MANID} ${DEVID} ${PRODID} 01 ${BTN_PROG_INC} F7
各変数値は以下の通り。
# MIDI manufacture's ID (Kurzweil / Young Chang) MANID=$((0x07)) # device ID (default:0) DEVID=$((0x00)) # K1000 series product ID PRODID=$((0x64)) # prog/param increment button code BTN_PROG_INC=$((0x15))
雑感
定評のあるピアノ音は今でも普通に使えそうな印象です。
逆に、ストリングスやクワイアなどは露骨に短いループが感じられ、実用にはちょっと厳しい感じのプログラムが多いです。短くリズムを刻むような用途なら使えなくもないですが、ストリングスは伸ばしたいことが殆どなので、厳しい。加えて、前述の通り、ナイキスト周波数が12KHz程度で、高音域が伸びないのでLo-Fi感というかこもった感じというか、いかにも古いPCMの音なので使いどころが難しいような。
オルガンとかビブラフォンのように、それほど高音域の倍音を含まない楽器では違和感は少ないです。ただ、この音源ならではという何かも無いので、積極的に使う理由も無いでしょう。
1988年時点で既にこのクオリティに達していたことは技術的に称賛に値するでしょう。けれども今現在、敢えて積極的に使う理由があるかというと…。
というか、1988年って、同様にPCM方式のKORG M1が発売された年でもあります。そう考えると、その2年後にKurzweilがYoung Changに買収されることになったのも、解る気がします*15。
現在の実用上の問題としては、プログラムチェンジから音色エディットまで、何かにつけて面倒くさすぎるので、全プログラムを予めサンプリングしてしまうことにしました。事実上エディットもできないので、それで特に不都合も無いですし。むしろサンプラー側でフィルタを通せるメリットがあるとも言えますし。
以上。
*1:中国語での発音も「ヤン」に近く、漢字が読めるが故に「よう」と発音する日本が特殊なのかも。
*2:HDC Young Chang社がKurzweilブランド製品の製造販売元なのか、HDC Young Chang社の傘下にグループ会社としてKurzweil Music Systems社がまだ存続しているのか判らなかったという意味です。
*3:自動車産業と同様に、KORG/Roland/YAMAHAといった電子楽器製造の主要メーカーの本拠地である日本国内でKurzweil製品の取り扱いだけで安定経営するのは難しいのだろうなと察せられます。
*4:そもそもK250が正式名称なのか定かでなく、Kurzweil 250或いはK250と呼称されるモデル。
*5:本機も正式名称がKurzweil 150なのかK150なのか定かではありません。
*6:正確には鍵盤モデルのみがK1000で、ラックマウントモデルがKurzweil 1000シリーズのようです。
*7:鍵盤モデル以外は2Uラックマウントで9.1kg
*8:メモリ容量等の制約から収録楽器音の種類ごとに特化した製品が存在する(或いはRoland U-110のようにメモリカードで特定ジャンルの波形を拡張する)ような状況を経て、1991年にRoland SC-55が発売される。同年GM規格も制定され幅広いジャンルの楽器音の並び等が規定され、翌1992年にYAMAHAからもGM対応のTG100が発売。蛇足ながら当時は日立も三菱もNECも半導体事業は健在で、マイクロコントローラもDRAMもマスクROMも十分競争力のあるスペックと価格で日本企業が作れた時代。実際にこの頃の国内メーカーの機材を分解してみると、NEC、東芝、日立、SHARP、三菱といった国内メーカーの半導体でほとんど埋め尽くされており、この恵まれた環境も国内電子楽器メーカーの躍進に大きく寄与したと思われ。逆に言えばKurzweilやE-MUが買収されるに至る要因の一つだったのかも。
*9:普通にマニュアルに掲載されています。
*10:恐らくマニュアル未記載ですが、MIDI OUTとMIDI INをループバック接続しないとMIDIの診断に失敗します。
*11:K2000RSのようにラックマウントかつサンプラー付きというモデルも存在します。
*12:何も鳴っていない時、極僅かに約23KHzが常に出力されているのが見えますが、可聴帯域外なので何も聞こえません。
*13:ナイキスト周波数とサンプリング周波数を取り違えて、サンプリング周波数をナイキスト周波数だと勘違いして2倍して書いちゃったとかですかね?
*14:マニュアル曰く、クローズドループは必須ではないと書いてありますが、K1000シリーズのメモリが常に工場出荷時と同じであるみたいな前提を置かないと無理じゃないかと思えるのです。
*15:世界的にM1が爆発的にヒットしたのは、K250以降PCMによる生音の再現性の良さが周知された土壌の上に、K1000というコストパフォーマンスで圧勝できる競合が居たからかも?