人工衛星「みちびき」で知られる、日本独自の準天頂衛星システムQZSS(QuasiZenith Satellites System)を利用し、従来のGPSを補完すれば測位制度を向上させることができる。的な話を初めて聞いたのはもう数年前。当時は対応機器が少ないこともあり、しばらくは様子見かなと思っていたまま年月が過ぎました。
現在国内で流通しているようなGPS対応機器は、きっとQZSSにも対応してるんだろうと、期待を込めて対応機器を調べてみたところ、がっかりな結果だったので共有します。
QZSSについての公式情報を調べようとすると、JAXAと総務省とがヒットします。重複するような内容の説明もあったりして、税金で二重投資してんじゃねーよと思ったりもするのですが、対応機器については以下の総務省のページにまとめられていました。こちらからスマートフォン、タブレット、デジタルカメラカテゴリについて引用しつつ紹介します。
「みちびき」対応製品リスト|利用者向け情報|準天頂衛星システム(QZSS)公式サイト - 内閣府
スマートフォン
- ASUS
- ZenFone 2 ZE551ML
- ZenFone Zoom ZX551ML
- Covia
- CP-F03a
- F5(CP-F50aK)
- F4s(CP-F40s)
- F4s PLUS
- F4
- Polaroid
- Pigu
タブレット
- ASUS
- ViboTabNote 8 M80TA-WHITE
- ViboTabSmart ME400C
- ViboTab TF810C
- Toshiba
- Fujitsu
- Arrows Tab QH55/M
- Arrows Tab WQ1/M
- Arrows Tab QH55/S
- Arrows Tab WQ1/S
- Panasonic
- Tough Pad FZ-G1 (Optional)
- Tough Pad FZ-M1 (Optional)
- Microsoft
※Tough PadがLet'snoteと記載されていたりして、公的機関のサイトのくせに情報が怪しい。
デジタルカメラ
ということで、意外と少ない。GPS搭載モデルがそもそも多くないデジタルカメラ*1はともかく、スマートフォン*2・タブレットについては圧倒的少なさ。って本当に!?
そう言えば、みちびきが打ち上げられた直後に、Nexus7(2012)で受信できるという話があったのを思い出した。検索したところヒットした以下の記事より引用すると、
Nexus 7に搭載されているというGPSチップ「BroadcomのBCM4751」が準天頂衛星(QZSS)の「みちびき」に対応しているということで、ネット上ではみちびきの測位信号を利用して測位が行われているのではないかという説が流れていた。この点について製造元であるASUSに問い合わせたところ、「Nexus 7は、みちびきを利用して測位しています」という正式な回答が得られた。
【趣味のインターネット地図ウォッチ】 第147回:「みちびき」にも対応、「Nexus 7」を地図好きの目からチェック -INTERNET Watch
と記載されており、Nexus7は対応しているようなのだが、総務省リストには記載がない。
なお、引用していないものの、冒頭に記載した総務省のページにはチップレベルでも対応製品が掲載されている。Broadcom製品はBCM4752、BCM47521が掲載されているのだが、Nexus7に搭載されているBCM4751は掲載されていない。一方、BroadcomのプレスリリースではBCM4751がQZSSに対応していることは公表されている。
ブロードコム、準天頂衛星システム(QZSS)「みちびき」に採用 | 共同通信PRワイヤー
Nexus7/BCM47521は一例に過ぎないものの、この事例から察せられることは、総務省のサイトに掲載された対応製品は、やっつけお役所仕事のようで流通製品のごく一部だけのようである。どういったサイクルでリストを更新しているのか、そもそもどのように情報収集しているのかも、どこに申請すればリストに掲載されるかも明示されていないようなので、抜け漏れだらけなのではないかと想像される。
以上より、各製品のQZSS対応可否は、総務省サイトよりも製品個別に調べた方が確実なようである。なお、検索した限りではチップレベルでは対応していても、最終製品としては対応していないケースもあるようなので、最終製品メーカーの情報を調べる方が確実な模様。カオス。
以上。