AISで眺める伊勢志摩サミットの海上警備

 連日報道されていたとおり、2016/5/26~27に伊勢志摩サミットが開催されました。幸い目立ったトラブルもなく閉幕しましたが、会場となった志摩観光ホテルのある賢島周辺海域では、警備上の理由から航行制限が行われ、NHKの報道によれば5/21~28まで航行規制が行われるそうです。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160521/k10010529691000.html

 現場海域がどうなっていたのか、AIS情報を使って見てみたいと思います。
 

AISとは

 ざっくりとした説明としては、航空機でいうACARSの船舶版のようなものです。
 大きな船には「国際航海船舶及び国際港湾施設の保安の確保等に関する法律」によってAIS(Automatic Identification System, 自動船舶識別装置, 船舶自動識別装置)の搭載が義務付けられています。
 具体的には、海上保安庁のサイトより引用すると、以下の船舶に搭載が義務付けられているそうです。

(1) 国際航海に従事する300総トン以上の全ての船舶
(2) 国際航海に従事する全ての旅客船
(3) 国際航海に従事しない500総トン以上の全ての船舶

AIS
 

賢島周辺海域を眺める

 AIS情報を参照できるアプリ*1を使って賢島がある英虞湾周辺海域を見てみました。
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 海保の巡視船としては、しきしま、みずほ、いわみ、おおすみの4隻が当該海域に常駐していた感じに見えます。
おおすみ」は東西に大きく移動しており、洋上パトロールに従事していたと思われます(海上自衛隊にも同名の輸送艦おおすみ」がありますが、ここに居たのは海保の巡視船です)。
「みずほ」「いわみ」はAIS情報としては航行中ステータスとなっていましたが、目視できるほどは移動してなさそうな感じでした。万一、不審船が現れた際に即応するために待機していたのだと思われます。
「しきしま」も目視では移動が確認できず、そもそもAIS情報も英虞湾入り口付近で投錨状態となっていたので実際に移動していないのでしょう。
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しきしま型巡視船

 「しきしま型巡視船」はWikipediaより引用すると、

巡視船(Patrol boat)としては世界最大級で、その大きさは海上自衛隊のはたかぜ型護衛艦を凌駕し、イージス艦こんごう型護衛艦と比肩し得るものとなっている。

しきしま型巡視船 - Wikipedia
 という海保最大の巡視船で、ヘリコプター2機搭載可能、20mmガトリング砲に加えて35mm連装機銃(1番艦しきしま)又は40mm単装機銃(2番艦あきつしま)という武装まで持っています。
 (自衛隊を含まない)純粋な警察力として動員できる船舶として、これ以上ない火力の船舶を、英虞湾入り口に配置することで盤石の警備体制としたのでしょう。
 

PLH31しきしま(しきしま型巡視船1番艦)

 英虞湾入り口付近に投錨して睨みを利かせていたのが、この船です(画像は横浜で撮影)。ヘリコプター(AS332)を2機搭載可能です。
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PLH32あきつしま(しきしま型巡視船2番艦)

 こちらはサミットとは無関係ですが、参考までにしきしま型2番艦。この艦名は、艦これにも登場する水上機母艦・秋津洲が二代目で、PLH32は三代目にあたるそうです。水上機運用はできませんが、ヘリコプター(EC225)を2機搭載可能です。
 PLH31と比べて、艦首の砲が異なり単装機銃となっているのが解ります。
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以上。

*1:無料アプリだが広告有。但しアプリ内購入のNo advertisement(120円)で広告削除可能。