ハンディカム2017年モデルと2016年モデルの比較

 例年1月にSONYのHandyCamの新製品が発表されていますが、今年も2017/1/10にプレスリリースが発表されました。
空間光学手ブレ補正機能、64GBメモリーとWi-Fiを搭載するHDハンディカム(R) 2機種を発売 | プレスリリース | ソニー



(2017/4/14追記ここから)
 例年のリリースサイクルとは異なり、4月に入ってから2017年の新製品第二弾とも言えるCX470が発表されました。
本体約215g、光学式手ブレ補正機能を搭載したコンパクトなHDハンディカム(R)発売 | プレスリリース | ソニー
 小型軽量化を果たしたのがCX470の特徴ですが、バッテリーが従来のHandycamシリーズで用いられてきたインフォリチウムVシリーズ(NP-FVシリーズ)ではなく、Cybershot RX1/100シリーズや一部のHX/WXシリーズで用いられてきたNP-BX1に変わっている点には注意が必要です。NP-FV50は容量6.6Whで約51g、NP-BX1は容量4.5Whで約25gとなっており、この違いだけでも撮影時重量は26gの軽量化が可能です。また、容量が減っているのも気になるところです(撮影可能時間は公表されていない模様)。そして従来ならば標準のNP-FV50以外にもNP-FV70、NP-FV100とより大容量のバッテリが選択できましたが、NP-BX1にはそのような選択肢はありません。

 以下、本投稿では前述の1/10に発表されたPJ680、CX680についてのみ言及しています。
(2017/4/14追記ここまで)



(2017/10/4追記ここから)
 再び例年のリリースサイクルとは異なり、9月末に4Kハンディカムの最上位モデルとなるFDR-AX700が発表されました。
Sony Japan | ニュースリリース | 高性能動画AFを実現、プロからハイアマチュアまでの需要に応える4Kカムコーダー3機種発売
 FDR-AX700については別途以下の投稿に記載しましたが、ハイアマチュアや一部業務向けと言った指向の強いモデルであるため、多くの一般個人の選択の俎上には上がらないと思います。4K対応ハンディカムを希望する場合には従来モデルのFDR-AX55辺りが一般個人には使い勝手が良いのではないでしょうか。
wave.hatenablog.com
(2017/10/4追記ここまで)


 
 

2017年モデル

 2017年モデルとして発表されたのはプロジェクターを搭載したHDR-PJ680と、プロジェクター無しのHDR-CX680の2モデルだけで、いずれもFull HDまでの撮影に対応し4Kは非対応です。
 この2モデルはプロジェクターの有無以外に機能的な差異は無いようで、純粋にカムコーダとしての機能は同じようです(2016年モデルのHDR-PJ675、HDR-CX675と同じような関係です)。


 2016年モデルとの比較はメーカーサイトで確認可能ですが、PJ680 vs PJ675、CX680 vs CX675で比較すると、数値的なスペックに主要な違い(イメージセンサ、レンズ、液晶モニタ等)は無さそうです。
 唯一の違いとしては、2016年モデルの内蔵メモリが32GBに対して、2017年モデルでは64GBと倍増している点が目に付きますが、2016年モデルも2017年モデルもmicroSD/microSDHC/microSDXCが利用可能なため、大した差ではありません。
比較表 | デジタルビデオカメラ Handycam ハンディカム | ソニー
 

空間光学手振れ補正

 SONYのHandyCamを選ぶ最大の理由ともいえる空間光学手振れ補正ですが、2017年モデルの製品ページに以下の記述があります。

ワイド撮影時は約15倍(*)ブレない、「空間光学手ブレ補正」
* 従来の光学式手ブレ補正機能搭載モデルのスタンダードモード時の手ブレ補正角度との比較。手ブレ補正効果は撮影条件により異なることがあります

 これ、注意して読まないと誤解するかもしれません。実は前年の2016年モデル(PJ675, CX675)と全く同じ記述です。「従来の」と言っているのは「空間光学手振れ補正」ではないオーソドックスな「光学式手ぶれ補正」のことを指しているため、誤解しないよう注意が必要です。要するに前機種(PJ675, CX675)に対して15倍ブレないわけではありません。

空間光学手振れ補正の動作
SONY独自の空間光学手振れ補正(Balanced Optical SteadyShot)が動作している様子。ブレを打ち消す方向にレンズユニットを丸ごと動かして強力に手ぶれ補正を実現できるのが特徴。
 

広角レンズ

 これも前年の2016年モデル(PJ675, CX675)から変わっていません。

撮りたい範囲がちゃんと入る広角レンズ
広い範囲を一度に捉えられる、最大広角26.8mm(*)のレンズを搭載。
* インテリジェントアクティブモードOFF時 16:9の時

 

ファストインテリジェントAF

 SONYのデジタル一眼のα由来のオートフォーカスですが、これも前年の2016年モデル(PJ675, CX675)から記述内容は変化していません。ソフトウェア的な変化(アルゴリズム最適化など)があれば普通は訴求するので、何も変わっていないのでしょう。

奥でも手前でも素早くピントを合わせる「ファストインテリジェントAF」

 

ハイライトムービーメーカー

 しつこいようですが、こちらも前年の2016年モデル(PJ675, CX675)から記述内容は変化していません。

楽しい動画がカンタンにできあがる「ハイライトムービーメーカー

 

おまかせオート

 これも前年の2016年モデル(PJ675, CX675)から変化していません。

180シーンを見分けて、自動的に鮮やかに「おまかせオート」

 

参考:従来のリリースサイクル

 ちなみに近年は4K撮影対応のFDRシリーズとFull HDまでのHDRシリーズが同時発表されていたのですが、何故か今回は4Kモデルは発表されていません。例えば昨年(2016年)は以下の通り、4K撮影に対応したFDR-AX55, FDR-AX40と、Full HDのHDR-PJ675、HDR-CX675、HDR-CX485の合計5モデルが発表されていました。
画質、音質、AFがさらに進化した4Kハンディカム(R)とHDハンディカム(R)など計5機種を発売 | プレスリリース | ソニー

 ということから察するに、4Kモデルはリリースサイクルが変更になったのかもしれません。とりあえず、当面は4KモデルはFDR-AX55, FDR-AX40が現行モデルのままなのでしょう。
 一方、2017年モデルとして発表されたHDR-PJ680、HDR-CX680は前述の通り、2016年モデルから内蔵メモリが倍増した以外に違いが見受けられません。やる気がないというか、Full HD専用機に追加投資する気は全くないことが透けて見えます。その分浮いたリソースを使って画期的な4Kモデルが遅れて登場したりするのでしょうか?
 

まとめ

 4KではなくFull HDで十分というユーザも相当数いると思いますが、内蔵メモリが増えただけのHDR-PJ680、HDR-CX680を旧モデルと比較して積極的に購入すべき理由はありません。旧モデルとなったHDR-PJ675、HDRCX675とmicroSD/microSDHC/microSDXCを購入した方が安価なら、そちらを選択した方が単純にお得でしょう。

2016年モデル(プロジェクタ搭載)
2016年モデル(プロジェクタ非搭載)
2017年モデル(プロジェクタ搭載)
2017年モデル(プロジェクタ非搭載)

 4K対応モデルが欲しいというユーザにとっては、すぐに必要なのでなければ後継機が発表されるまでとりあえずは待ってみる方がいいかも知れませんね。画質を最大の選択理由とするならば、ミラーレスカメラの方が優れていたりしますが、汎用的に使えるズームレンズの組み合わせや携帯性という観点からはハンディカムのようなビデオカメラの利便性も捨てがたいでしょうし。

 



以上。