安芯航という中華メーカーのTLC SSDを購入しました。
個人的には全く知らないメーカーですが、単に安かった(120GBで約3000円)ので試してみました。
パッケージ
パッケージ内にはSSD本体と、中国語の説明書と思われる小さな紙切れが1枚入っています。
表面
カラー印刷と言うだけではなく、銀色の箔押し印刷までされていて、この手の謎メーカーにしては無駄にコストかけてそうなパッケージです。
SMI inside, 4 channel, SATA3 6Gb/S, Coinsuranceと4点が訴求されています。
SATA 6Gbpsインタフェースに対応した、4チャンネルの米Silicon Motion製のフラッシュメモリコントローラを搭載ということになるようです。
"Coinsurance"(保険)については何言ってるのか解りません。製品保証的なことをアピールしているのであればWarranty的な英語になるはずですが…
裏面
SMART, NCQ, TRIMをサポートしているらしきことが中国語で書かれています。
工作温度0~70℃とありますが、英語翻訳を通すとOperating Temperatureのことで日本語的には動作温度の意味になります。
またACHIとの謎表記もありますが、AHCIのtypoだと思われます*1。
なお、A300というシリーズ名らしき表記と、120GBの容量表示及びJANコード(6970972850016)部はシールで張られています(製品名というか型番的なものがどこにも書かれていない)。
安芯航は深センのメーカーのようです。中国本土のメーカーだからか、産地表記が単に台湾ではなく、中国.台湾となっています。
日本メーカーの国内市場向け製品にもデザイン上のアクセント(?)として日本語に加えて英語表記が一部あるように、本製品パッケージにも英語表記は一部あるものの、基本的には中国語表記となっています。
なお、海外メーカーのPCパーツ類でありがちな国内代理店の正規輸入品を示すシールのようなものもありません。
すなわち、中国メーカーのグローバル市場向け製品と言うわけではなく、中国国内向け製品を零細並行輸入業者が買い付けて、勝手に日本国内で売っているだけのようです。
このような事情から、いわゆるメーカー保証は期待できないため、販売店独自のサポート・保証が充実しているところで購入する(または、そもそも購入しない)のが無難だと思います。
安芯航?
前述の通り、安芯航はブランド名で、深圳市安芯航科技有限公司が企業名のようです。
ちなみに私が購入したのはAmazon.co.jpではありませんが、同一製品と思われるSSDに対して、AmazonではANSHIFN*2と表記されています。
5060 ANSHIFN SSD 120GB SSD 120GB SATA3 (6Gbps) 2.5インチ/厚さ: 7mm/TLC
- 出版社/メーカー: ANSHIFN
- メディア: エレクトロニクス
- この商品を含むブログを見る
なお、安芯航の公式サイトを探してみると、以下のURLのようです(中国語)。
深圳市安芯航科技有限公司【官网】|TF闪存卡、SD卡、U盘、SSD固态硬盘、FALSH芯片等批发
公式サイト右上のボタンから言語設定をEnglishに切り替えると、社名はshenzhen AXH technology co., LTDと表示されます。
また、本SSDの製品ページは以下のようですが、特に有意な情報は掲載されていません*3。
http://www.axhkj.com/products-info.asp?id=241
Webサイトを見る限りでは、安芯航のSSDのHealth Check Monitor的なツールやFirmwareのUpdateが提供されることは恐らく無いのでしょう。
SSD本体
表面
ヘアライン加工された金属素材に安芯航のロゴが切削加工(?)されており、ここにも(無駄に)コストかけてそうです。
裏面
こちらもヘアライン加工された金属素材となっています。
本体のどこにも型番や容量の表記がありませんし、注意・禁止マークといった類のラベルもありません。
なお、外側から見る限り、ネジが使われていないようで、どうやってケースを組み立てているのか謎です*4。
取り付け
今回はLenovo Thinkpad X220に取り付けました。ちなみに、製造元のLenovo的にはX220はSATA 3Gbpsということになっていますが、搭載されているintel QM67チップセットはSATA 6Gbpsに対応しています。
安芯航のSSDをX220のHDDマウンタに取り付ける際、SSD側面に片側2箇所ずつ合計4箇所ネジ止めすることになりますが、片側だけネジ穴の位置が微妙に(1mmにも満たないが上下に)ズレており、マウンタの金属プレートに微妙に干渉しつつも無理やりネジ止めする羽目になりました。私のX220には出荷時から元々搭載されていたHDD以外に、WDのHybridDiskやMicronのSSDを過去に取り付けたことがありますが、このようなネジ穴のズレで困ったことは無いことから、(単に個体不良かもしれませんが、)安芯航の加工精度に問題があると判断できると思います。
Crystal Disk Info
Crystal Disk Infoで取得したSMART情報等は以下の通りでした。パッケージに表記のあったSMART、NCQ、TRIM、AHCIに対応していることや、X220上でSATA 6Gbpsで動作していることも確認できます。
---------------------------------------------------------------------------- CrystalDiskInfo 7.6.1 (C) 2008-2018 hiyohiyo Crystal Dew World : https://crystalmark.info/ ---------------------------------------------------------------------------- OS : Windows 10 Professional [10.0 Build 17134] (x64) Date : 2018/08/03 20:50:58 -- Controller Map ---------------------------------------------------------- + 標準 SATA AHCI コントローラー [ATA] - AIT-A300-120G - Microsoft 記憶域コントローラー [SCSI] -- Disk List --------------------------------------------------------------- (1) AIT-A300-120G : 120.0 GB [0/0/0, pd1] ---------------------------------------------------------------------------- (1) AIT-A300-120G ---------------------------------------------------------------------------- Model : AIT-A300-120G Firmware : Q0407A Serial Number : LAR8********** Disk Size : 120.0 GB (8.4/120.0/120.0/120.0) Buffer Size : 不明 Queue Depth : 32 # of Sectors : 234441648 Rotation Rate : ---- (SSD) Interface : Serial ATA Major Version : ACS-2 Minor Version : ---- Transfer Mode : SATA/600 | SATA/600 Power On Hours : 0 時間 Power On Count : 5 回 Temperature : 30 C (86 F) Health Status : 正常 Features : S.M.A.R.T., APM, 48bit LBA, NCQ, TRIM, DevSleep APM Level : 0000h [OFF] AAM Level : ---- Drive Letter : C: -- S.M.A.R.T. -------------------------------------------------------------- ID Cur Wor Thr RawValues(6) Attribute Name 01 100 100 _50 000000000000 リードエラーレート 05 100 100 _50 000000000000 代替処理済のセクタ数 09 100 100 _50 000000000000 使用時間 0C 100 100 _50 000000000005 電源投入回数 A0 100 100 _50 000000000000 ベンダ固有 A1 100 100 _50 00000000012B ベンダ固有 A2 100 100 _50 000000000001 ベンダ固有 A3 100 100 _50 00000000002A ベンダ固有 A4 100 100 _50 000000000325 ベンダ固有 A5 100 100 _50 000000000001 ベンダ固有 A6 100 100 _50 000000000000 ベンダ固有 A7 100 100 _50 000000000000 ベンダ固有 A8 100 100 _50 000000000BB8 ベンダ固有 A9 100 100 _50 000000000064 ベンダ固有 C0 100 100 _50 000000000003 アンセーフシャットダウン回数 C2 100 100 _50 00000000001E 温度 C3 100 100 _50 00000000028C ベンダ固有 C4 100 100 _50 000000000000 セクタ代替処理発生回数 C7 100 100 _50 000000000000 ベンダ固有 F1 100 100 _50 0000000003C5 総書き込み量 (ホスト) F2 100 100 _50 0000000001FD 総読み込み量 (ホスト) F5 100 100 _50 000000000504 ベンダ固有
上記は、安芯航のSSDをThinkpad X220に取り付けて、Windows10 Proをクリーンインストールして、Windows Updateを完了させた時点で取得した情報です。
電源投入回数が5となっていますが、X220に取り付けて以降、1回もシャットダウンしていませんので、OSインストール中の再起動もカウントされているのかと思い、リブートかけてみましたがカウントアップされませんでした。工場出荷前に4回程テストなどで通電したのでしょうかね?*5
また、使用時間が0時間表示のままで全くカウントアップされません。このSSDのファームウェアは使用時間を記録しないタイプのようです。
なお、後述のCrystal Disk Markを実行後にCrystal Disk Infoを再実行すると、総読み書き量は以下の通りに変化していました。
F1 100 100 _50 00000000058C 総書き込み量 (ホスト) F2 100 100 _50 000000000444 総読み込み量 (ホスト)
- 総書き込み量変化
- 0x3C5 - 0x58C = 0x1C7 (455)
- 総読み込み量変化
- 0x1FD - 0x444 = 0x247 (583)
Crystal Disk Markの1GiB×5回×4パターン=20GiBの読み書き(+バックグラウンドで動いてるWindowsの処理)でこの変化量となったので、このSSDの総読み書き量の各項目はざっくり50MB程度で1変化するようです。
Crystal Disk Mark
Crystal Disk Markでベンチマークしたところ、以下の結果となりました。
----------------------------------------------------------------------- CrystalDiskMark 6.0.1 x64 (UWP) (C) 2007-2018 hiyohiyo Crystal Dew World : https://crystalmark.info/ ----------------------------------------------------------------------- * MB/s = 1,000,000 bytes/s [SATA/600 = 600,000,000 bytes/s] * KB = 1000 bytes, KiB = 1024 bytes Sequential Read (Q= 32,T= 1) : 488.101 MB/s Sequential Write (Q= 32,T= 1) : 304.991 MB/s Random Read 4KiB (Q= 8,T= 8) : 106.311 MB/s [ 25954.8 IOPS] Random Write 4KiB (Q= 8,T= 8) : 108.154 MB/s [ 26404.8 IOPS] Random Read 4KiB (Q= 32,T= 1) : 50.499 MB/s [ 12328.9 IOPS] Random Write 4KiB (Q= 32,T= 1) : 32.117 MB/s [ 7841.1 IOPS] Random Read 4KiB (Q= 1,T= 1) : 11.193 MB/s [ 2732.7 IOPS] Random Write 4KiB (Q= 1,T= 1) : 26.702 MB/s [ 6519.0 IOPS] Test : 1024 MiB [C: 19.3% (21.5/111.3 GiB)] (x5) [Interval=5 sec] Date : 2018/08/03 20:59:31 OS : Windows 10 Professional [10.0 Build 17134] (x64)
まとめ
装着さえしてしまえば、耐久性は不明ながらも、とりあえず普通のTLCのSSDといった感じです。とは言っても、知らないメーカーの激安SSDに大事なデータを保管するのは怖いです。
私の想定ではデータを溜め込む用途で使うつもりは無く、処理を終えたデータはさっさと別のアーカイブ用DISK(NASや外付けHDD)に退避させる想定です。すなわち、万一故障した際に失われるのは処理中のデータのみに限定できます。同じような運用を前提とするユーザであれば、このようなSSDを導入してみるのもアリかもしれません。
逆に、ネジ穴の位置の工作精度が悪いことから取り付けが困難(機種によっては固定できないかもしれない)、何か問題が発見されたり改善された場合のFirmware Updateの提供が期待できない、メーカー保証が恐らく日本国内では適用されないといった事を考えると、積極的に薦める理由もありません。
本投稿記載時点では120GBクラスのSSDは約3000円台から無名メーカーの製品は複数選択肢があり、場合によっては国内代理店扱いの製品も数百円~千円程度の価格差で購入できることもあるようですので、そういった製品を選択する方が無難だと思います。
以上。