外部電源不要のPCI Express用USB3.0インタフェースを導入した

 ここ数年のPCではほぼ間違いなくUSB3.0に対応しており、既にUSB3.0が普及してからかなり時間が経った感があります。
 第3世代Core iシリーズにあたるIvy Bridge世代用のチップセットIntel 7シリーズから、USB3.0のホストコントローラ機能を内蔵していることがUSB3.0の普及を後押ししたと言えるでしょう。

 一方、第2世代Core iシリーズにあたるSandy Bridge世代以前のマシンではチップセット内蔵ホストコントローラはUSB2.0までの対応のため、別途USB3.0ホストコントローラを搭載しない限りはUSB3.0は使えません。
 ExpressCardスロットのあるノートPCや、PCI Expressの空スロットがあるデスクトップPCならUSB3.0ホストコントローラを増設することが可能です。

 今となっては特に目新しいパーツではないため、バッファローやIO DATA等のメジャーメーカーから、謎の中華メーカーまで多様な業者が製造しています。
 が、前述の通り現行PCではUSB3.0に標準対応しているため、後付けのホストコントローラの需要が伸びることは無いと判断されたのか、謎メーカーの製品が微妙に減っているような気がしますし、価格帯も数年前より数百円程度上昇しているような気がします。
 ということで、今のうちにSandy BridgeなデスクトップPCにUSB3.0インタフェースを増設してしまおうと思いました。
 

取り付けるPC

 今回USB3.0インタフェースを増設することにしたのはDELL Optiplex 790 SFFです。
 Sandy bridge世代のCore i3-2120を搭載しており、チップセットIntel Q65 Expressが使われているため、標準搭載のUSBポートはフロント・リア合計で10個もありますが、いずれもUSB2.0にしか対応していません。
 なお、モデル名のSFF(Small Form Factor)が示す通り、いわゆる省スペースPCのため内蔵するPCI Expressスロットはハーフハイトかつロープロファイルとなる点に注意が必要です。
 

選択したUSB3.0インタフェース

 PCI ExpressUSB3.0インタフェースの多くは、PCI Expressスロットからの電源供給だけではなく、SATA等の外部電源の供給が必要です。
 ですが、今回取り付けるPCは前述の通りメーカー製の省スペースPCのため、一般的な自作PCとは異なり、内部に未使用の電源ケーブルが余っている訳ではありません。

 このため、購入するUSB3.0インタフェースは外部電源不要・ハーフハイト・ロープロファイルの3点を満たす必要があります。
 この条件を満たしつつ安価だった「ANBE USB3.0拡張カード 2ポート ロープロファイル Windows XP/7/8/8.1/10 対応 PCI Express x1 X4 X8 X16 用 追加電源が必要なし」を購入しました。

 Amazonの商品ページでは、「ブランド: ANBE」、「製造元リファレンス: U3N02S+」との記載がありますが、いわゆるノーブランドの中華製品です。

 Amazonマーケットプレイス扱いながらAmazon.co.jpの発送で届きました。
 PCパーツというか精密部品なのに、ゆうパケットで発送されポストに投函されていたため、壊れていないか不安だったのですが、激安中華製品にしては珍しくプチプチ袋ではなく茶箱に入った梱包形態だったため、特に損傷はありませんでした。
 

現物

 標準のブラケットが取り付けられた状態で出荷されていましたが、ネジ2本を外すだけで付属のロープロファイル用ブラケットに交換できます。

基板裏面

SU-U3N02+裏面
 裏面に実装されているパーツはありませんが、張り付けられているラベルから、深圳市速优科技有限公司というメーカーの製品だということが判ります。また、型番は「SU-U3N02S+」のようです。

 表記されているURLから本製品を探してみると、以下のページが該当するようです。
U3N02S+-USB3.0/3.1-深圳市速优科技有限公司

 ちなみに上記ページのメーカーロゴは"Shenzen Suyou Technolog Co.,Ltd."と表記されており、"Technology"ではなく"Technolog"という不思議な語が使われています。
 typoなのか意図的なのか確認するため、英語版ページのリンクがあるので切り替えてみると、404エラーで実は英語版ページは存在しない模様で、いろいろ雑な製造元みたいです…
 

基板表面

SU-U3N02+表面
 中央にあるD720202と刻印されたチップがホストコントローラICで、ルネサスのμPD720202です。

 ルネサスの製品パンフレットによれば、D720202の下に刻印された701の意味するところは動作温度が0~85℃を意味するバリエーションのようです*1

 なお、μPD720202の右側に位置する24MHzの水晶もブロックダイアグラムの通りで、μPD720202を使用するうえで必要な外付け部品になります。
 というか、恐らくは基板全体がリファレンス回路通りで、余計な設計コストをかけずに作っているのではないかという気もします*2
 

Windows10の認識

 (ドライバCDが付属していますが、)取り付け後にPCを起動するとWindows10なら自動認識されるのでドライバCDは不要です。
 デバイスマネージャで確認すると以下のように見えます。
 今回増設したUSB3.0インタフェースの取り付け前から存在するIntel Q65 ChipsetのUSBホストコントローラとは別に、Renesas USB 3.0 eXtensible Host Controllerが現れているのが確認できます。
Windows10 Device Manager μPD720202
 



以上。

*1:711だと-40~85℃で寒冷地仕様的な感じ。

*2:データシートの参照には登録が必要なので見てませんので、単なる憶測です。