USB3.1Gen2 NVMe SSDケースORICO M2PV-C3を買った

 かなり前にM.2 SATAと間違えて購入したNVMe接続のSSDを手元に余らせています。このまま死蔵しておくのも勿体ないので、USB-NVMe変換ケースを購入することにしました。
 USB-SATAブリッジを使用した外付けHDD/SSDケースは多種多様な製品が多くのメーカーからリリースされています。一方で、SATAと比べると新しく歴史の浅いNVMeの場合は選択肢はグッと狭まり、価格もSATA用と比べるとまだまだ割高です。
 この類のインタフェース変換ブリッジチップはJMicron製品が多く使用されている印象がありますが、JMicronもUSB-NVMe変換チップをリリースしており、(NVMe用としては)比較的多くの採用製品が出回っているようです。
 今回は特にこだわりはないので、安価な製品を見比べているとJMicron JMS583と同じようなスペックのRealtek RTL9210を採用した製品がありました。
www.realtek.com
 高速なNVMeインタフェースの特性を活かすべく、ホスト側インタフェースはUSB3.1 Gen2にも対応しており、特にデメリットもなさそうなので、RTL9210を搭載したケースを購入してみました。
 

ORICO M2PV-C3

 ORICOは日本国内ではほぼ無名ですが、海外通販で多く取り扱われています。ORICO製品は以前にもUSB2.0-SATA変換ケースを購入していますが、安価でしっかり動作しているので個人的には特に不安はありません。主観ですが、特に安っぽいということもなく、値段相応以上のコストパフォーマンスだと思います。
 というわけで、今回もORICOのM2PV-C3を購入しました。
 

パッケージ
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ORICO M2PV-C3 Package
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ORICO M2PV-C3 Package (side)

※今回は海外通販で購入したので、パッケージが潰れてます。配送日数や保障など気にする方はAmazon.co.jpにORICOストアがあるので、そちらで購入するのが良いと思います。

 パッケージからはUSB3.1 Gen2(10Gbps)のUSB Type-CでUASP対応であることが読み取れます。なお、アルミニウム合金のマークがありますが、それはヒートシンクを兼ねた一面だけでその他は樹脂製です。
 なお、側面のバーコードが印字されたシールには商品コード(EAN)だけではなく、シリアルナンバーらしき番号も印字されていました*1。安価な量産中華製品でもしっかり個体管理もしているようです。
 

付属品
  • ケース本体
  • 熱伝導シート(SSDのコントローラ部分に貼るようにマニュアルに書かれています)
  • SSD固定用樹脂パーツx2(使用するのは1つなので、もう1つは予備)
  • USB Type-A to Type-Cケーブル
  • USB Type-C to Type-Cケーブル
  • 専用ドライバー(ソフトウェアではなく、ケースのネジを開けるための工具※特殊ネジ)
  • 英語/中国語マニュアル

 

中身
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Orico M2PV-C3 (after SSD installation)

 SSD装着前の状態は撮影し忘れました。
 画像中の上にあるのがアルミニウム合金製のヒートシンクを兼ねた蓋に相当するパーツで、付属の熱伝導シートをSSDのコントローラICの位置に合わせて貼っています。ただし、ご覧のように今回装着したM.2 2280形状のSSD(Samsung SM951)は表面にラベルが貼られており、熱伝導シートを張り付けることができません。仕方なく、熱伝導シートのSSD側接着面のフィルムは剥がさずに使っています。
 また、SSDの端の一般的にはネジ留めすることが多い部分には、固定用の樹脂パーツを使用します。回転させるとツールレスでSSDの着脱ができることを狙ったのだと思われます。が、上蓋(ヒートシンク)固定用のネジ穴が干渉するので360度回転させることはできません。なお、今回使用したSamsung SM951の場合、固定用パーツをねじ穴までいっぱいに回しても、SSDの取り外しができません。本来は画像中の上方向にツメを向けるのではなく、下方向にツメを向けることを意図していると思われ、その場合は取り外しができるはずですが、SM951にはツメが来る位置にチップ部品が実装されており、干渉するため仕方なく上方向にツメを向けています。この場合、ケースのネジ穴とツメの干渉をどうにかしないと固定も取り外しもできないので、一旦ケースから基板を取り外してSSDを装着し、ツメを回転させた後にケースに戻しています(ケースと基板は固定されていないので簡単に外せます)。
 

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ORICO M2PV PCB (rear-side)

 なお、基板の裏側にはカニさんマークのRTL9210が鎮座しているのが確認できます。
 SSD固定パーツ装着用の穴はM.2 2230, 2242, 2260, 2280それぞれに対応した4か所設けられています。
 ストライプ状の金属パターンは冷却効果を狙ったものと思われます。
 

ベンチマーク(参考)

 手元にUSB3.1 Gen2対応機器がないので、以下はUSB3.0接続でのベンチマーク結果になりますのでご注意ください。

Crystal Disk Mark
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Benchmark result of Samsung SM951 via RTL9210 through USB3.0

 USB3.0接続ではNVMeインタフェースの実力が十分に発揮できているかは怪しいものの、安価なUSBフラッシュメモリやSDカードとは比べ物にならない速さが出ていることが確認できます。USB3.0の最高速度は5Gbpsすなわち625MB/sですから、シーケンシャルリード時には規格上の理論値の8割弱の速度が出ていることになります。
 なお、カタログスペックでは今回使用したSSD(Samsung SM951)はRead 2000MB/s, Write 650MB/sですから、USB 3.1 Gen2対応PCで使用すればさらに高速にアクセスできることが期待できます。
 

Crystal Disk Info
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CrystalDiskInfo Samsung SM951 via RTL9210 through USB3.0

 これまで使用していたCrystalDiskInfo8.0.0では認識されませんでしたが、CrystalDiskInfoの作者様のTwitterによれば、8.1.0 Beta1からRTL9210に対応しているようです。


 というわけで、最新版(8.8.9)に更新したところ無事に認識されました。インタフェースがUASP (NVM Express)としっかりと表示されているのが確認できます。
 



以上。

*1:"RC"+YYYYMMDD(製造日?)+連番のようなフォーマット。