ArturiaのMIDIコントローラのベタつきを解消する

 もう古い製品となりましたが、仏ArturiaのMIDIコントローラMINILABを使用しています。
 16個のアサイナブルなツマミ、8個のベロシティ対応パッド、2個のリボンコントローラが付いたミニ鍵盤なのですが、ツマミだけがベトついた状態になってしまいました。

 あらゆる道具がそうであるように、使っていれば多少の経年変化は避けられないものです。が、これはちょっと使用に耐えないというレベルに達しました(主観)ので、綺麗にしてみます。
!!警告!!
メーカー推奨外の行為になります。直接或いは間接的な被害が生じた場合でも、著者は責任を負いません。実施する際は全て自己責任となる旨ご了承ください。

 

ツマミ取り外し

 多くの機材同様に、ツマミ(ノブ)はネジ止めされているわけではないので、引っ張れば上に引き抜けます。
 

洗浄

 水をかけブラシで擦ってみましたが、全くベタつきが解消する気配がありません。
 

中性洗剤

 食器用洗剤を使用してブラシで擦ってみましたが、やはり全くベタつきが解消する気配がありません。


 皮脂などの付着が原因であれば、水や中性洗剤で洗うだけでも改善するはずですが、どうやら違うようです。
 他の原因で経年でベタつくと言えば、加水分解が思いつきます。触感を良くするための塗装がツマミに施されていたようで、それが経年に伴い加水分解してベタベタの最悪の触感になってしまったと考えられます。
 加水分解してしまった物質を除去するのに効果的な以下のような洗剤も市販されていますが、とりあえずは自宅にあるもので対処してみます。

 以降、ペットボトルを使用していますが、洗浄液をペットボトルに入れて放置すると誤飲事故等を招く危険性があります。特に同居人がいる方などは誤飲対策表示を徹底するなど十分な配慮を行ってください。
 

重曹

 ペットボトルに重曹を入れ、水で溶かした液体にツマミを浸してシェイクしてみました。すると、重曹水に大量のカスが浮かんできました!
ARTURIA sticky knob cleaning
 どうやら効いているようです。
 
 しばらく放置⇒シェイクを何度か繰り返しましたが、依然ツマミ表面に固着した物体が視認できます。
 一旦、汚れた重曹水を排出し、ツマミをブラシで水洗してみましたが、固着した物体はしぶとくこびり付いています。
 
 再度ペットボトルに重曹と水を入れ、ツマミを投入して放置⇒シェイクを繰り返します。
 それでも、ツマミ表面に固着した物体は減ってはいるものの、落とし切れていません。ブラシで擦りながら水洗すると、固着した物体が減ってきているのは実感できるのですが…

ハイター

 検索してみると、所謂キッチンハイターも加水分解した物質を落とすのに使えるようです。
 
 適当に希釈してペットボトルでツマミを浸して、適宜シェイクするという行為を重曹の場合と同様に行ってみました。
ARTURIA sticky knob cleaning
 が、やはりツマミ表面に固着した物体は確実に減ってはいるものの、残っています。
 
 今度は希釈せずに原液でツマミを浸して、適宜シェイクするという行為を重曹の場合と同様に行ってみました。
 が、やはりツマミ表面に固着した物体はかなり減ってはいるものの、残っています。


 どうやら重曹でハイターでも、(濃度や液温等にも依ると思いますが)浸け置くだけでは効果は限定的で、その後にブラシで擦るのが重要なようです*1
 ブラシで擦る際には液体が跳ねますから、その濃度を下げるために予め水洗しています。それでも、目の保護のためゴーグル等を着用したり、衣服のシミにならないよう、十分注意する必要があります。

 この後、重曹で2サイクル繰り返したところ、固着した物体は完全に無くなりました。目視してもツマミ表面に固着した物体は存在しませんし、液中にもカスが浮遊してきません。そして、乾燥後に触っても全くベタつきません。
 なお、(ほとんどが放置時間ですが)一連の作業に通算2日以上かかりました。先述のシャープシューターのような洗剤を使った方が作業時間は大幅に短縮できると思います。或いは、見た目や操作感が変わっても良ければ、ツマミ自体*2を交換してしまう方法も有効でしょう。
 

補足

 どうやらMINILABのような安価なMIDIコントローラに限らず、ArturiaのMicrobruteなどのシンセサイザーにも同様の問題がある製品もあるようです*3
 日本語で検索しても掲示板の書き込みが見つかりますが、"Arturia sticky knobs"などのキーワードで検索すると、RedditやArturia公式フォーラムなど海外の掲示板でも同様の問題が複数見つかります。
 私が持っている機材ではYAMAHAKORGRoland、Novationといったハードウェア製品を元々製造していた会社の機材ではこのような問題は起きていません。というか、ツマミは(値を示すマーキングを除き)無塗装です。
 ソフトウェアで一定の成功を収めた後、ハードウェアに参入した企業故のノウハウの無さが招いた失態なのかもしれませんね。
 



以上。

*1:重曹とハイターのどちらが効果的なのかは良く解りません。

*2:ロータリーエンコーダーはもちろんそのままで、樹脂パーツのみ

*3:特定の製品全てという訳でもないようで、ロットや生産時期にも依るのかもしれません