ReadyNAS RN104の内蔵DISKを追加した
NETGEARのReadyNAS RN104という4ベイのNASを使用していますが、空き容量が逼迫してきたためDISKを追加することにしました。
個人的にはこれまでにもIO DATAやBUFFALOのNASを複数モデル利用してきましたが、いずれも2ベイのため内蔵DISKを追加できない製品でした。故に、NASにDISKを追加した経験は無く、物理的にHDDを追加するのは簡単そうですが、システム上どうやって設定するのかなど、よく解っていなかったのですが、そこら辺も調べながら増設を進めました。
やりたいこと
現状、4ベイのうち2つのベイに同容量のHDDペアを装着しRAID1(ミラーリング)構成にしています。空いている2ベイにも同容量のHDDペアを装着し、既存のRAID1とは別のRAID1構成を組みたいと考えました。
なので、とりあえず空きベイにHDDを装着して、設定画面をポチポチいじればいいのかと思ったのですが、念のため実作業に移る前に現状を確認しておくことにします。
現状確認
Web管理画面にログインし、現状を確認します。ログ確認画面には、空き容量低下警告が並んでいます。
また、現在のボリュームの状態を確認すると以下の通り。ブルーのグラフィックで表示されている2台のSATA 2TB HDDがRAID 1構成となっていることが判ると共に、右側の[X-RAID]ボタン下部もグリーン表示になっています。
X-RAIDボタンを押すと以下のダイアログが表示されます。X-RAIDを無効化してFlex-RAIDに切り替えるかという趣旨の確認を求められます。どうやら[X-RAID]ボタンがグリーン表示なのは、X-RAIDが有効化されていることを示しているようです。
X-RAIDやFlex-RAIDと聞きなれない用語が出てきたので、これらの用語について調べてみました。
X-RAID・Flex-RAIDとは
NETGEAR公式では以下のページの記述が比較的簡潔にまとまっているようです。
ReadyNAS OS6 ストレージシステムでのX-RAID2 の使用 |ネットワークストレージ・ネットワーク機器のネットギア【NETGEAR】
ざっくりと「X-RAIDならDISK追加に合わせていい感じに自動で容量拡張するけど、Flex-RAIDなら自力で設定とかしてね」といった感じに読めます。これだけだとX-RAIDの方が明らかに便利なように感じるのですが、X-RAIDで検索すると注意事項だとかハメられたとか、不穏な記事が上位に見当たります。要は、良い感じに勝手にやってくれる系の機能は万能じゃないってことだと理解しました。
そもそも私がやりたいのは2組のRAID1を構築することなので、自動で良い感じにどうにかされてしまうとどういった構成になるのか解りません。故に、任意に設定が可能なFlex-RAIDで運用することにします。現状のX-RAIDのままで新規にDISKを追加すると良い感じに拡張され始めてしまうと思われ、一度拡張された後にFlex-RAIDに切り替えるとデータ消えそうな気がする*1ので、物理的にDISKを追加する前に、Flex-RAIDに切り替えることにします。
DISK増設
ReadyNASはホットスワップに対応しているため、DISK追加のために電源を落とす必要は無いそうです。
Q. ドライブを抜き差しするのに、ReadyNASの電源を落とす必要はありますか?
A. ReadyNAS はドライブのホットスワップに対応しており、電源を入れたままドライブの交換が行えます。
ReadyNAS デスクトップ型ネットワークストレージ(ホーム向け) | ネットワークストレージ・ネットワーク機器のネットギア【NETGEAR】
が、オフィス内で多数のユーザが同時にアクセスしているわけでもなく、個人で利用しているNASのため電源を落とせない事情はありませんので、無用なトラブルを避けるためにも一旦シャットダウンすることにしました。管理画面からポチっとやるだけです。
DISK増設自体はReadyNAS本体のフロントドアを開けて、空きベイのエンクロージャを引き出して、HDDを装着して、ReadyNAS本体に差し込むだけで、ドライバ等の工具も要らず非常に簡単です。
今回はWD Blueの3TBモデルであるWD30EZRZ-RTを装着しましたが、言うまでもなく本来ならWD RedやSeagate IronwolfといったNAS向けに開発されたHDDの方が適しています。
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NAS向けではなく一般的なWD Blueを選んだのは安価である事に加えて、以下の事情を考慮した結果でもあります。
- ReadyNASではディスクのスピンダウンも設定できるため常時動作というわけではない
- BUFFALOのNASのHDDを換装した際にもWD Blueを使用したが特に問題は感じられなかった
- そもそもRAID1構成とするため2台同時に障害が起きなければ問題ない
- 私用のため同時多数アクセスは無い
- デジタルカメラの画像/映像のアーカイブ先として運用するため削除も書き換えも殆どない
クリティカルな業務データを保存する用途だったり、多数同時アクセスや書き換えが激しくDISKに高負荷がかかるような運用形態であれば、無難にNAS向けのHDDを選択するべきでしょう。
増設後の設定
HDD増設後にReadyNASの電源を投入すると以下のように既存のSATA 2TBと表記された2台のHDDのグラフィックの横に、SATA 3TBと表記された2台のHDDのグラフィックが表示されています。
各DISKのグラフィックを押下すると増設したDISKが正しく認識されていることが確認できます。
この2台のDISKを選択すると、右側の[新しいボリューム]ボタンが活性化するので、押下します。
ボリューム名と保護レベル(RAID方式)を入力し、[次へ]を押下します。
クォータ制限と暗号化の有無を指定し[作成]を押下します。
処理中っぽいアニメーションが短時間表示されます。
新規作成したボリュームに対する同期処理が開始された旨の通知が表示されると共に、左下にリビルドの進行状況も表示されます(スクリーンショット取得時では残り20時間24分表示)。
数分後通知メッセージが増えるので[すべて表示]を押下すると、追加したDISK(channel3,4)が同期中からオンラインに変わったと報告される。新規に追加したDISKのため、同期するデータが無いから速いのでしょう。一方で、RAIDのリビルドは進行中。
共有設定画面を開くと新規ボリュームの設定が可能な状態になっているので、[新しい共有]を押下します。
名前と使用するプロトコル等を入力し[作成]を押下します。
新しいボリュームに新しい共有が作成されたことが確認できます。必要に応じてプラスや歯車アイコンからユーザ権限等の設定が可能です。
既存ボリューム・新規ボリューム共にクライアント端末からアクセス可能な事をコマンドプロンプトから確認してみます。参照権限はdirコマンドで、書き込み・削除も確認したければcopyやdelコマンドを使用すればよいでしょう。
ここまでに問題が無ければ、(リビルド完了を待たずに)新規に追加したDISKを使用可能です。
なお、長い時間が経過した後、新規作成したボリュームのリビルドが完了すると以下のような表示となります。
雑感
予めFlex-RAIDに切り替えておくことにさえ注意すれば、2系統のRAID1ボリュームを構築する上での障壁は特にありませんでした。
一方のデフォルトだったX-RAIDなら(RAID方式や新規ボリュームや新規共有の事など)何も考えずに新しいDISKを突っ込みさえすれば、いい感じに既存ボリュームの記憶容量が増加するのだと思います。UNCパスが変わらず従来同様の\\HOSTNAME\SHARENAME\形式でアクセスできるため、ユーザ目線では利便性も高いのだと考えられます。Flex-RAIDでは、\\HOSTNAME\SHARENAME\と\\HOSTNAME\NEWSHARENAME\の2つのパスに別れてしまうため、多人数でファイルサーバー的に利用している場合は混乱のもとになってしまいますし、既存システムで機械的にデータを吐き出す/読み出すといった処理が組まれている場合には設定変更が必要になったりするのがデメリットでしょう。
ですが、管理者目線ではDISKがどう使われるのか解らないため、意図しない動作状況となってしまいそうな気もします*2。また、(DISK障害ではなく)ReadyNASのH/W障害時に自力でデータを復旧させるのも難しそうな気がします。普通のRAID1ならなんとかできそうですが。
といった事を考えると、X-RAID・Flex-RAIDのどちらが優れているとは判断し難く、利用状況に応じてケースバイケースで適した方式を使うのが良さそうです。ただ、X-RAIDはReadyNASのウリの機能なので、使用しないなら他のNASでもいいじゃんという話にもなりそうです。4ベイNASで安かったからRN104を買ったという私のようなユーザには関係ないでしょうけれど、比較検討の上高価だけどReadyNASを選択したというようなユーザにとっては悩ましいかもしれません。
以上。