東芝のフラッシュメモリ系の事業を分社化して誕生した「東芝メモリ株式会社」の社名変更が2019年10月1日付で実施されることが発表されています。
東芝メモリ株式会社を「キオクシア株式会社」に社名変更 | 東芝メモリ
新社名は「キオクシア株式会社」となり、社名から「東芝」の名称は完全に消えます。
上記ニュースリリースによれば、英語表記では"Kioxia Corporation"となるそうですが、その由来は日本語とギリシャ語を組み合わせた造語だそうです。
日本語の「記憶」”kioku“とギリシャ語で「価値」を表す“axia”を組み合わせました。
なお、中国語(繁体字)表記では「鎧俠」、簡体字表記では「铠侠」となるそうです。Google翻訳によれば発音記号がKǎi xiáで、読み上げると「かいしゃ」っぽく聞こえます。日本語の「会社」っぽい発音で、会社有限公司とか何で同じことを二度言ってるのかな?みたいな混乱をしそうな気もします。
ちなみに、消えるのは「東芝」ブランドだけではなく、かつて東芝が買収したSSDメーカーのOCZ Technology由来の子会社に残っていた"OCZ"の名も、今回のキオクシアへの社名変更で消えるようです(OCZ Israel Ltd.⇒Kioxia Israel Ltd.、OCZ Storage Solutions Ltd.⇒Kioxia Technology UK Ltd.)。
ところで、東芝のSSDは東芝メモリ株式会社の製品でしたが、同じストレージ製品のHDDはどうなんだっけ?と疑問に思ったため調べてみました。
東芝のHDDの事業会社
調べてみると、2019年9月現在、東芝のHDD事業は「東芝デバイス&ストレージ株式会社」が手掛けているようです。
ストレージプロダクツ (HDD) | 東芝デバイス&ストレージ株式会社 | 日本
すなわち、「東芝メモリ株式会社」の事業ではありませんので、東芝ブランドのHDDは10月以降もキオクシア製品にはなりません。
経緯
普通に考えると、HDDだろうがSSDだろうが同じストレージ製品なのだから同じ事業会社が手掛けていそうにも思えます。
現に、東芝レビュー70巻8号(2015年8月号)特集ストレージプロダクツの技術動向と東芝の取組み(PDF)などをみると、HDDもSSDもどちらも載っていますし、今後の展望として以下の結びになっています。
当社は今後も,様々な技術開発によって,HDDや,NAND,SSDなどストレージプロダクツの記録容量や,処理性能,信頼性,可用性などを向上させ,幅広い市場要求に応えるストレージソリューションを提供していく。
やはり、何故HDDとSSDの事業会社が別れてるんだっけという疑問が生じますが、時系列では以下のようになります。
- 2017/02/10
- 「東芝メモリ株式会社」設立
※社内カンパニー「ストレージ&デバイスソリューション社」のメモリ事業(SSD事業を含み、イメージセンサ事業を除く)を分社化
http://www.toshiba.co.jp/about/ir/jp/news/20170224_1.pdf - 2017/04/27
- 「東芝デバイス&ストレージ株式会社」設立
※社内カンパニー「ストレージ&デバイスソリューション社」を分社化
https://www.toshiba.co.jp/about/ir/jp/news/20170530_1.pdf
すなわち、分社化以前の社内カンパニー時代はHDDもSSDも「ストレージ&デバイスソリューション社」の事業だったということになります。これが、東芝の経営危機によって分社化及び優良事業の売却が行われたため、現状のようになっていると理解すれば良さそうです。
雑記
国内メーカーで現在もHDDを製造しているのは東芝だけになっています。そういった意味では貴重ですが、グローバルで再編が進んだHDD業界はWesternDigitalとSeagateの2社が圧倒的に強く、東芝が今後もHDD事業を維持するメリットがあるのかは疑問でもあります。
近年の製品では私はMG03ACA300を2台使っていますが、同様の3.5inch HDDの中でもWD(RedやBlue)やSeagate(BARRACUDAやNASDISK)製品より顕著に煩い(特にスピンアップ時やデータ記録時)といった特徴があり、特別優れているとは感じません。
SSDが台頭しても、容量単価で勝るHDDの需要がなくなることは無いでしょうし、今後も大容量化や消費電力削減などの研究開発の余地は十分にあると思います。
ですが、個人的には他製品より明らかに壊れやすいといった事情が無ければ、HDDの製造元にこだわりは無く、いわゆるコモディティ化が進んだ製品ジャンルだと思っています。また、PC事業は鴻海傘下のシャープに売却していますし、グループ内でのシナジー効果もかなり限定的でしょう。そう考えると、やはりHDD事業をいつまでも東芝グループの中に持たせておくのが合理的なのかは疑問を感じます。
以上。
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