Android Pay登録で今ならEdy400円分貰えるが、それ以外にメリットが…

 2016/12/13に日本国内でもAndroid Payがサービスインしたと報じられました。Google公式の発表は以下。
Google Japan Blog: Android Pay を日本でも提供開始

 上記ページには以下の記述があり、単純にAndroid 4.4以上の端末で利用可能なように読み取れますが、そうでは無いようです。

Android Pay を利用するには、Google Play ストアから対応 AndroidスマートフォンAndroid 4.4 Kitkat 以上)にアプリをダウンロードします。

 

 日経ITProの以下の記事より引用すると、Android 4.4以上かつおサイフケータイに対応している必要があるようです。
ニュース - 「Android Pay」が日本上陸、おサイフケータイで楽天Edyのみに対応:ITpro

日本国内でAndroid Payを利用するには、「おサイフケータイFeliCa)」に対応し、「Android 4.4(KitKat)」以降が動作するスマートフォンが必要。「Playストア」からAndroid Payアプリをインストールして利用する。

 Android 4.4以降でもNFCだけ搭載していてもおサイフケータイではない端末では利用できず、動作要件におサイフケータイ対応端末である必要性がGoogle公式によって(恐らくどこにも)明示されていないこともあってか、Google PlayAndroid Payアプリのレビュー欄では「自分の端末で使えない」といった趣旨のクソレビューが多く見られます。
 

利用可能な手持ちの端末を探す

 個人的にAndroidおサイフケータイは常用していますが、古いキャリア端末です。というのも、SIMロックフリー端末では選択肢が限られる*1ため、おサイフケータイに対応しないSIMロックフリー端末と、おサイフケータイ用に古いキャリア端末を併用せざるを得ないという事情があります。
 私がおサイフケータイ用に使用している古いキャリア端末はSHL22で、Android 4.2.2でOSアップデート提供が止まったため、Android Payは使えません。一方、手持ちのAndroid端末ではNexus7(2013/LTE)やdesire 626辺りはAndroid 4.4以降でNFC搭載機ですが、Felica/おサイフケータイ非対応のため使えません。
 他に手持ちの機種ではXperia Z Ultra(SOL24)があり、Android 4.4かつおサイフケータイ対応のためこれでAndroid Payを試してみることにしました。(Xperia Z Ultraは6.4インチの大画面が特徴ですがそれ故に、POSや自動改札にかざし難いことからおサイフケータイとしては利用していませんでした)。
 

初期設定

 Android Payアプリをダウンロード後、初回起動すると以下のような流れで電子マネーとして利用可能になります。
(以降の掲載画像はAndroid Payのスクリーンショットを加工したものです。)

初期画面1

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↑手軽な電子マネーだそうです。イラストにはしれっとFelicaロゴが明示されています。
 

初期画面2

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電子マネーだけではなく、ポイントカードやクーポン類にも使えるようです。
 

カード追加メニュー

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↑初期画面右下の[+]ボタンをタップするとこのメニューが表示されます。
 

電子マネー選択画面

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↑カード追加メニューで[電子マネーを追加]をタップするとこの画面に遷移します。現在はEdyしか選択肢がありません。
(ちなみに、一連の作業は一貫して端末を横向きで行いましたが、本画面と次画面のみ強制的に縦画面表示にされました。)
 

規約画面

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電子マネー選択画面で[EDYカードを作成]をタップするとこの画面に遷移します。

  • 「アカウント情報」をカード発行会社および「ネットワーク」に提供することに同意って何言ってんすかね?
    「アカウント情報」が指すのがGoogleアカウントの意味なのか、口座情報の意味なのかも判らんし、「ネットワーク」と言っているのも通信キャリア的な事業者を指しているのか、「カード発行会社および(その)ネットワーク」的な意味で、例えば、楽天カード(カード発行会社)とVISA(付帯ブランドの決済ネットワーク)的な意味なのかも判らない。
  • 取引処理に必要な場合と限定されているものの、「その他の第三者」に個人情報の提供を許可しなきゃいけないんですって。緩めの表記で嫌な感じ。同意したけど。
    法令に基づく要請を行った捜査機関とか、配送業者とか、何でもありな「その他」なんて言葉は使わずに具体的に限定してほしいと思います。

"Don't be evil"や"Do the right thing"が行動規範のGoogle先生なので、日本語ローカライズがいまいちなだけで邪悪なことはしないと信じてますけど。
 

Edy作成完了画面

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Edyカードが作成された旨と、利用方法が表示されます。
 

Android PayのEdyカード画面

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Edyカードを選択すると残高やEdy番号等の情報が確認や、チャージボタンが利用可能です。
なお、今なら1/31までにAndroid Payで新規にEdyを作成すると自動的に400円分のチャージが登録されるようです。
電子マネー「楽天Edy(エディ)」 | キャンペーン情報 | 楽天Edyをアクティベート(初期設定)で、Edy400円分プレゼント♪

 

おサイフケータイより何が便利なのか

 結論から言うと、電子マネーとして評価するならば正直なところ何も優れていないと思います。

 おサイフケータイ対応端末でしか使えないのに、おサイフケータイより少ない種類の電子マネーしか使えません。具体的にはsuicananacowaonが使えません。

 なおAndroid PayでEdyを登録した状態で、おサイフケータイ対応端末で使うEdyアプリも導入してみたところ、Android PayのEdyカード画面で表示されるEdy番号と同じEdy番号のEdyが使用可能な状態となっていました。物理的に1台の端末では1つのEdyしか登録できないようです。Android Payの画面からはGoogle Walletに登録しているクレジットカードでEdyにチャージできることがメリットと言えるかもしれませんが、ポイント等を考慮すると、Edyアプリから楽天IDに登録済のクレジットカードでチャージした方が得なユーザの方が多いのではないでしょうか。

 今後Edy以外の電子マネーに対応したとしても、せいぜいおサイフケータイに追いつくだけで、Android Payならではのメリットとは言えないでしょう。おサイフケータイ非対応のNFC対応端末のサポートが行われれば、SIMロックフリー端末ユーザなどの利用が見込まれるのでしょうけれど、それって加盟店側のPOSの対応も必要なわけで、一度サービスインしてしまうと後からNFCにも対応させるのは容易なことではないはずです。

 他方、電子マネーではなくクーポンやポイントカード用のプラットフォームとして見れば、今後対応する店舗が増えたりすれば便利に使えるのかもしれません。
 が、それって純粋な"Pay"ではないわけで、Google的には支払額に応じた手数料収入が得られないのなら何のメリットもないわけです。かといって、クーポンやポイントカードを発行する事業者側に一定のプラットフォーム使用料を請求するのならば、導入しない事業者が多いままで衰退しそうな気もします。ヨドバシやビックカメラなどは既におサイフケータイでポイントカード機能を実装しているわけで、本音では二重投資なんかしたくないでしょうし。

 と、考えると結構前途多難なサービスを始めてしまったのではないかと他人事ながら心配になります。グローバルな視野で見ればApple Pay対抗という意味合いがあるのでしょうけれど、もともとFelicaが普及していた日本への導入は他国と同様にはできないのでしょうね。Appleも日本のiPhone 7にはFelicaを積みましたが、日本のAndroidは既におサイフケータイというプラットフォームがあり、そこにGoogle Payというプラットフォームをさらに載せようとして訳わからんというか、ユーザ視点では(新たな)メリットが何もない不思議なサービスインという状態になっているように感じます。いっそのことドコモから「おサイフケータイ」の技術や知財等を全て買収してしまって、Android Payに統合した方が解りやすいのではないかとも思います。
 



以上。

*1:記載時点ではarrows M02/M03, AQUOS M02/M03, Xperia J1のみ。